結婚3年、30代夫婦。持ち家アリで経済的余裕もあるはずなのに、それでも妻が子作りを拒否するワケ

“男女平等”が叫ばれている、昨今。

しかし「6歳未満の子を持つ夫婦の、1日あたりの家事・育児関連時間」は妻が平均7時間34分。

それに対し、夫は1時間23分(総務省「社会生活基本調査」)ほどだという。

日本における夫の家事参加率は、先進国の中でも最下位なのだ。

家事・育児に非協力的な夫。それに対し不満を抱き、愛想を尽かす妻たち。

これは、そんな「夫力(オットリョク)」皆無の男が、離婚を免れるために日々成長していく物語である…。

◆これまでのあらすじ

イケメンYouTuber・流星に触発されて、家事を頑張り始めた俊平。妻の柚葉から褒められたことで、いい気になっていた。

その裏で、柚葉と流星が2人きりで会っていたことも知らずに…。

▶前回:最近、やたらとゴキゲンな妻。夫が帰宅すると、フローリングに見覚えのない男の毛が落ちていて…


妻から離婚を切り出されて、早3ヶ月が経った。いろいろと思うことはあるけれども、日々自分なりに学んでいるつもりだ。

なので今日は、帰りが遅い妻のために、僕が夕食を作ることにした。

俊平:今夜のご飯は、僕が作るね(^^)

そうLINEを打ち、いそいそとスーパーへ出かける。…料理を作るのなんて、いつぶりだろうか。

一人暮らししていたときに、何度か料理しようと試みたこともあった。しかし1人分だけの材料を購入するよりも、出来合いのものを買ったほうがコスパが良くて、結局諦めてしまったのだ。

コロナ禍になって以降、家で食事することが多くなった。でも毎回、柚葉が作ってくれていたので僕の料理スキルは上がっていない。

― それでも、とりあえずやってみることが大事だよな。

僕はネットでレシピを探し、必要な材料を見ながらとりあえず買い出しに出かけたのだった。

意気揚々と夕食作りに取り掛かった夫が、気づいていないコト

夫の考える“食材買い出しとご飯作り”


「え〜っと。牛ひき肉と、パン粉とクミン…。というか、クミンってなんだ?」

今日は、柚葉が大好きなハンバーグを作ると決めた。きっと喜んでくれるに違いない。

そして買い出しをしているうちに楽しくなってきて、両手いっぱいの食材を抱えて家に帰った。自宅へ到着したら、休む暇なく食事の準備に取り掛かる。

パン粉なんて人生で初めて使うが、とにかくネットに書かれているレシピ通りに。試行錯誤しながら、なんとかお手製のハンバーグが完成した。

「ただいま。なんかいい匂いがする!」
「でしょ?今日は柚葉の好きなハンバーグだよ」
「え〜嬉しい!ありがとう」

しかし満面の笑みだった柚葉が、キッチンを見た瞬間フリーズしたように見えたのは気のせいだろうか。

「え…。俊平、何を作ったの?」
「ハンバーグだよ?」
「そ、そうなんだ。しかもハンバーグにしては、材料多くない?」

キッチンには、使った食材の残りをそのまま置いていた。

「これ、全部新しく買ったの?」

調味料一式を見ながら、柚葉が驚いた声を上げている。

「うん。いろいろと必要かなと思って」
「そっか…。パン粉とか他の物、家にあったんだけどな。でもありがとう、作ってくれて」

こうして僕たちは食卓を囲み、2人で一緒にハンバーグを食べたのだった。


「うん、俊平。これ美味しい!」
「本当?良かったぁ。一番高いお肉買ったからね。やっぱ素材って大事だね」
「う、うん…。ちなみに、総額いくらだったの?」
「1万5千円くらいかなぁ。あと帰りにお酒も買ったから、もう少しするけど」

すると食事を終えた柚葉が、なぜだか暗い顔で食器洗いを始めた。…先ほどは、ちゃんと喜んでくれたはずなのに。どこか腑に落ちない自分がいる。

— あれ?僕、また何かやらかしてたのかな。

そして今夜も、妻がお風呂へ入っている間に動画を開く。今日は「夫力向上委員会チャンネル」で、過去にアップされていた“夫と料理”というテーマの動画を見てみた。

― みなさんこんにちは。今日は料理について話していきたいと思います。


今回の流星は、エプロン姿でキッチンに立っている。清潔でとても綺麗なキッチンだ。

― ちなみに料理ってどこから始まり、どこで終わるかわかりますか?ただ材料を切って、煮て、焼くだけじゃないんです。食材を準備するところから始まり、食後の片付けやキッチンリセットまでして、料理と言います。


また僕は間違えたようだ。ふと先ほどの、料理を終えた直後のキッチンを思い出してみる。

…流星の背景に映るキッチンとは、大違いだ。

― ちなみに材料費もちゃんと考えるのが、良き夫です。こちら、本日僕が買った物のレシートなんですけど…。


そう言いながら、レシートをカメラに向ける流星。「個人情報は大丈夫なのか?」と思いながらそれを見た瞬間、なぜか背中がヒヤッとした。

「あれ…?彼って、結構近くに住んでるのかな」

流星のレシートには、柚葉がよく買い物をしている、近所のスーパーマーケットの店舗名がプリントされていたのだ。

少しずつ、違和感を覚えだした夫。一方の妻は…?

妻側から見た、料理と夫


玄関のドアを開けた瞬間、私はテンションが上がった。部屋の中から、いい香りがしてきたからだ。

今日は俊平が料理を作ってくれるらしい。だがキッチンを見て、絶句してしまった。

使った物は出しっぱなし。材料もかなり散らばっている。どうやら見た感じ、すべて調味料から揃えたようだ。

― えっ、マジか…。

俊平なりに変わろうとしてくれているのはわかる。だから何も言えず、私はとりあえず笑顔で夫が作ったハンバーグを食べることにした。


「どうするのが正解なんだろう…」

一通りの片付けを終え、湯船に浸かりながら考える。ここ最近、ずっと考えてきた。

夫婦とは何か。夫婦生活を続けていくには、どうすればいいのか。

なかには「たかが夫が家事をしないくらいで、離婚なんてありえない」と笑う人もいるだろう。「家事は妻の務めだ」と言う人もいると思う。

でも私も働いているし、ただ家事くらい平等に分担したいと願うのは贅沢なのだろうか。

令和になった今でも、“家事=妻の仕事”と考えている人が多い。だから声を大にして言えない自分がいる。

先日、女友達に話したときも「家事くらいで怒るなんて、柚葉が悪いよ」と言われてしまった。それ以上何も言えず、自分がやればいいと思うようにもなっていた。

「家事くらいで、大袈裟なのかな…」

ブクブクと息を吐きながら、顔を湯船に沈めてみる。

今はまだ夫婦2人だからいいけれど、これで子どもができたらどうなるのだろうか。世の中のママたちは、どれほど頑張っているのだろう。

「子ども、かあ…」

夫は子どもを欲しがっている。でも今の状況を考えると、子作りに積極的になれないのだ。

不意に、先日会った流星の言葉を思い出した。

「大丈夫、柚葉さんは悪くないから」

彼の甘い声が、耳にこだまする。なぜか私を気に入ってくれたようで、最近はホテルのロビーなどでお茶をする仲になっていた。

ただお茶だけして解散なのだが、いつもニコニコと私の話を聞いて、ふんふんと頷いてくれる。

― そもそも流星くんは何で、私とお茶しているんだろう?楽しいのかな?

謎に包まれている彼。でもただのファンとして会えるだけでも嬉しかったし、イケメンを目の前で拝めるのは眼福でしかない。

流星:柚葉さん、次はいつ会えますか?

彼から届いていたLINEのメッセージ。既読はつけたものの、急を要するものではないと思い、私はすっかり返信を忘れていた。

…だが、この2週間後。

私と俊平。そして流星の、トライアングルの関係が動き始めてしまったのだ。


▶前回:最近、やたらとゴキゲンな妻。夫が帰宅すると、フローリングに見覚えのない男の毛が落ちていて…

▶NEXT:10月12日 火曜更新予定
流星が、柚葉に近づく理由とは…?

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