コロナ禍で大手から転職。年収200万円減でも「後悔は全くない」ワケ

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 コロナ不況が長引き、会社の業績悪化や生活環境の変化に伴う「コロナ転職」が取り沙汰される昨今。SNSには、すでに「辞めた同僚が出戻りしてきた」などの声もチラホラ。

 転職したいと考えても先行きが見えない状況ゆえに、二の足を踏んでいる人も多いはずだ。そこで、実際にコロナ禍で転職した人の「その後」に追った。いま、後悔はないのか?

◆大手の看板を外したときに「自分には何もない」

 現在は、IT企業で働いているももさん(Twitter:@momo__hsp)。前職は人材系の大きな会社で、法人営業を行なっていた。給料が高く福利厚生も整っている。そんな安定した仕事に就いていたにもかかわらず、コロナ禍で転職を決意した理由は何だったのか。

大量の仕事に忙殺される日々で、このまま続けて得られるものがあるのか疑問が湧いて……会社の看板を外したときに、自分には何もないなと気づいたんです。また、これからの時代は社内で評価されることよりも個人の力を伸ばす必要があるのではないかと考えました」

◆個人のスキルを育てるべくIT業界に

 営業の仕事をする一方で、社内の体育会系のノリや対人関係に苦手意識もあったという。

「成果が出ないのは努力が足りない、気合と根性で乗り切れ、という社風が合いませんでした。また、わたし自身HSP(※)の気質があるので、商談や張り詰めた雰囲気が得意ではなくて。だんだん、あまり人と会わない仕事がしたいと思うようになりました」

 悩んでいた矢先、コロナ禍に突入した。そして去年の11月、個人のスキルを育てるべく、Webマーケティングの世界に足を踏み出したのだ。
 
(※)外部刺激に敏感で、感受性が強い特性を持った人。最近では“繊細さん”とも呼ばれて注目を集めている。

◆転職をして自分らしくなれた

 現在の会社で新たなスタートを切ってから1年近く。果たして、転職は成功したと言えるのだろうか。

「正直、順調ってほどではないんです(笑)。まったく違う業界に転職したので、今まで学んできたことや、経験がなかなか活かされないと感じています。32歳にしてゼロベースから学び、仕事をしている状態で……わからないことも多く成果もなかなか出にくい。会社側は中途採用で入社した人には即戦力を期待しているので、スキルのない自分との闘いにたびたび苦しめられます」

 異業種転職のため苦労する部分も多いのだとか。しかし前職よりは自分らしく過ごせていると感じるため、日々頑張れるそうだ。

「前の会社では自分にバリアを張っていました。学歴が高い人ばかりだったので、まわりから馬鹿だと思われないよう、殻をかぶるのに必死でした。今の会社はみんな素で生きているように見えるので、前よりもラクですね」

 以前は常に劣等感に苛まれていたという。

「優秀で尚且つ仕事が楽しくてたまらないという人たちばかり。そのなかで、自分はどうしても浮いてしまっていました。企業の口コミサイトでも上位にある会社だったため、誇りをもって仕事をしていた人が多かったのかなと。まわりと比べてばかりで、だんだん自分のことまで嫌いになっていたので」

◆実働時間は同様、年収200万円減でも「後悔は全くない」

 今回のコロナ転職で年収はどのくらい変わったのだろうか。

「前職と比べると200万円ほど落ちました。でも、今の仕事内容のほうが自分には合っているので特に不満はないです」

 年収は大幅に下がったようだが、実働としてはいかがなものか。

「前の会社はフルフレックスだったので特に決まった出勤時間はなかったんです。早いと朝6時から働いて、17時に上がる感じでしたね。今は10時出勤で、20時〜21時頃まで仕事するので実働時間は、それほど変わっていないです」

 ももさんは、それでも「後悔は全くない」と清々しい表情で言い切る。

◆「自分自身の心が満たされる働き方をしていきたい」

 今後は、どんな働き方をしていきたいかも聞いてみた。

「給料を上げたいとか昇格したいという気持ちはなくて。今の役職と年収のまま、できることをもっと増やしたい。なにより、自分自身の心が満たされるような働き方をしていきたいなと思っています」

 今、コロナ不況で会社から数字の成果ばかりを求められ、気に病んでいる人も多いはずだ。しかし、人生の主役は自分。イキイキとする彼女の姿から学ぶこともあるかもしれない。

<取材・文/桃沢もちこ>

―[「コロナ転職」のその後]―

【桃沢もちこ】
愛知県出身、'93年生まれ。好奇心旺盛の雑食オタクライター。主にアイドルを追っかけてます。趣味はサウナ、旅行、飲酒、カルト映画など。アングラカルチャーが好きです。Twitter:@mochico1407

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