前田敦子、転機は出産…フラットに取り組む女優業「迷っているヒマがない」【連載PERSON vol. 35】

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人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」vol.35は、Hulu オリジナル『死神さん』(全6話/毎週金曜、新エピソード配信)に出演中の前田敦子さんが登場します。

前田さんは2005年にAKB48でデビュー。中心メンバーとして活躍し、選抜総選挙では1位、シングルも大ヒットを連発するなど、名実ともに日本を代表するアイドルとなりました。2012年に卒業後、女優として映画『クロユリ団地』、ドラマ『伝説のお母さん』『リモートで殺される』など、数々の作品に出演。10月には主演映画『睡眠倶楽部のすすめ』の公開が控えています。

本作では、クセモノ刑事・儀藤堅忍(田中圭)こと“死神さん”をサポートする警視庁広報課巡査長・南川メイを熱演。前田さん自身も「2人の自分勝手感がすごく面白い」と述べるように、儀藤とのコンビネーションは抜群!

今回、インタビューをしてみると、図らずも過去・現在・未来の前田さんを垣間見ることができました。フラットに女優業に取り組んでいるという彼女の“ターニングポイント”となった出来事とは――。

――影響を受けたテレビ番組を教えてください。

ドラマ『オレンジデイズ』が大好きでした。放送当時は小、中学生でしたが、(登場人物達が)すごく大人に見えたんです。今思うと、“(物語の中心となっていた)大学生って若いな”と思いますが、その頃は青春の一番年上の世代なので、“大人になると、ああいう世界があるんだ”って子供ながらに思っていました。

あと小さい頃に『家なき子』を見ていたのも覚えています。当時2、3歳でしたけど、ませていたんだと思います(笑)。

――配信系はご覧になっていますか?

TVerはよく利用しています。撮影の空き時間が長かったり、泊まりの仕事があったりするとき、今やっているドラマをなんとなく追っています。あと、母が韓流ドラマ好きなので、一緒に見ることがあります。コロナ禍では『梨泰院クラス』とか『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』などを見ていました。

――韓国のドラマは、日本のドラマとはまた違った魅力がありますよね。

向こうの恋愛ドラマは、大人の恋愛がすごく多いので、絵のようでおしゃれなんですよね。“美しいな”と思いながら見ています。母は(韓流ドラマが)『冬のソナタ』からずっと好きですし、最近は配信でも見られるようになったので、より楽しんでいる印象があります。

――影響を受けたエンタメ界の人を教えてください。

小さい頃、お笑いが好きで、ロバート(秋山竜次、馬場裕之、山本博)さんを追いかけていました。『はねるのトびら』も見ていましたし、AKB48に入る前はイベントも見に行ったことがあります。特に秋山さんが大好きで、『はねトび』だと、秋山さんが演じていらっしゃった「チューリップの会」とか「グローバルTPS物語」とか怪しくてクセのあるコントが好きでした。

――かなり通ですね。

ヨシモトファンダンゴTV(お笑い専門チャンネル)で配信されていた『ワイ!ワイ!ワイ!』という番組の観覧にも行ったことがあります。

――役者をする中で、今の軸となるような先輩俳優からのアドバイスを教えてください。

この間、野田秀樹さんがプロデュースされている野田地図(NODA・MAP)の公演『フェイクスピア』に出演したとき、橋爪功さんとご一緒したんですよ。もともとかわいがっていただいていたんですが、(稽古を通じて)距離も近くなって当たり前に一緒にいられるようになった頃、私が肋間神経痛になってしまって……。

声を出すたびに激痛が走っていたんですが、橋爪さんが「役者の仕事は、自分の命を削るものではない。手を抜くところは抜きなさい。命をかけてやるものじゃないよ」って。そこで、“そうだよな”と。自分が体を壊したら、元も子もないし、何でも全力でやればいいわけではない。自分の限界を超えて使い物にならなくなったら、その時点で終わりだなって。

――確かに大事なことですね。

ずっと「抜き方を知りなさい」って言われてはいたんですが、それでも私は本番になると本気でやっちゃう。「十分に(声が)聞こえているから、それ以上出すな」って(笑)。橋爪さんのアドバイスは、すごくありがたかったです。

――昔から全力でやるタイプだったんですか?

そうですね。無茶してしまうと人間ってすぐ壊れちゃうじゃないですか。気持ちの面では、“限界を乗り超えてもなお頑張る”というやり方でいいと思うんですけど、体はちょっと違うのかなって学びました。

――アイドルから転身後、俳優としてさまざまな経験をされていますが、お仕事との向き合い方に変化はございましたか?

最近だと、いい意味で緊張しなくなってきたなと思います。だからこそ追える場所を見つけられるようになったというか……。ちょっと遅いですが、この仕事にやっと慣れてきたのかなと思います。迷いがなくなってきました。

――何かターニングポイントになった出来事があったんですか?

子供を産んでからですかね。“自分はこれをやるしかない”って、すごく明確になれたし、迷っているヒマがないんです。私はいま1人で育てているので、“この仕事を追求していかないと”っていう方向に向かったら、仕事をしているのが当たり前になったというか。

子供がもう少し小さいとき、母と子供が現場に来てくれることがあったんですよ。家族の前で仕事をする姿って普段なかなか見せられないじゃないですか。それが当たり前のように近くで見てくれたのが、いい“鍛え”になったんですよね。普通家族の前で何かをやるって恥ずかしいけれど、やらないといけない環境があったので、それがすごくよかった。今は、“家にいる自分”と“仕事をしている自分”の境目がなく、フラットになれているなって思います。

――今後、挑戦してみたいことを教えてください。

“コロナが落ち着いたらこんなことしたい”って皆さん妄想されていると思うんですけど、私は、外国に行ける状況になったら、海外でお仕事をしてみたいです。アメリカというよりは、アジア圏の監督さんが“どんな演出をされるんだろう”と興味があります。

以前、黒沢清監督と映画祭に行ったとき、黒澤監督に憧れている海外の監督さんがたくさんいらっしゃったんですよ。「わぁ! 黒沢清がいるの!?」って声をかけられていて、“すごいな”と思いました。そうやって映画祭に行くたび、“世界の監督ってどんな方なんだろう?”って思うようになって……。もし、違う国で仕事ができるんだったら、チャレンジしてみたいですね。

(撮影・取材・文:浜瀬将樹)

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