冷え性、浅い眠り…サウナは自律神経が乱れがちな女性にこそオススメだった

 近年ブームが続き、多くの芸能人や著名な経営者からも熱狂的な支持を得ているサウナ。とはいえ、サウナ―(サウナ愛好家)は男性メインというイメージがあり、まだサウナ未体験の女性も少なくないのでは?

 しかし、「日本サウナ学会」代表理事を務める医師の加藤容崇先生によると「サウナは男性よりも女性にこそおすすめ」なのだとか。その理由を詳しく聞きました。

◆女性の乱れがちな自律神経が整う

 女性にこそサウナがおすすめの理由は、ずばり「女性のほうが自律神経が乱れがちだから」と加藤先生。

「女性は常にホルモンバランスの変化にさらされていますが、ホルモンは自律神経に直接作用するので、どうしても自律神経が乱れやすくなります。そして、自律神経が乱れると、疲れや冷えなどさまざまな症状が出てしまう。実際、『病気ではないのに不調になりやすい』という女性は多いのではないでしょうか」

 そこで役立つのがサウナ。サウナには自律神経を整える効果があるため、そうした症状が改善しラクになるというのです。

「サウナの効果を調べる実験結果を見ても、男性より女性のほうが自律神経やホルモン値の変化が大きい。自律神経が乱れやすいぶん、サウナの恩恵を受けやすいといえます」

◆睡眠の質が上がりさらに体調アップ

 また、サウナには睡眠の質を上げる効果もあるとか。

「人間の体は深部の体温が下がると眠くなり、入眠する仕組みになっています。スムーズに入眠するために、サウナはまさにうってつけ。サウナに入ると一時的に深部体温が上がりますが、時間が経つと逆にサウナに入らなかったときよりも深部体温が下がります。サウナは入浴よりもずっと効果的に深部体温を上げ、その後にはいつもよりも深部体温を下げることができるので、寝つきがとてもよくなり、深く眠れるんです。サウナに入るとノンレム睡眠(深い睡眠)の時間が長くなるという実験データもあります」

 より寝つきをよくするには、体温の下がるタイミングを考えて、就寝の2~3時間前にサウナに入っておくのが理想的だそう。

「ただ、サウナに入れば自律神経の機能自体が高まるので、就寝前に入ることができなくても睡眠の質の向上は見込めます。体温調節には自律神経の働きがとても大事ですから。自律神経が乱れて体調が悪くなると、睡眠が浅くなり、よけい体調が悪くなるという悪循環に陥りがちになります。サウナで睡眠の質を上げて、さらなる体調アップを目指しましょう」

◆女性向けの効果的なサウナの入り方とは?

 サウナは、サウナ→水風呂→外気浴を繰り返すことで心身ともに整った状態になります。よく耳にするサウナ用語の「ととのう」ですね。その快感がやみつきになり、「ととのう」ことを目指して自分を追い込むサウナ―は少なくありません。

 

 しかし、加藤先生によると、女性の場合は決して激しく追い込んではいけないのだとか。

追い込みすぎると逆に自律神経が乱れ、月経不順などのトラブルの原因になります。体に負担をかけないよう、体調に気を付けながら入り、しんどさを感じたらすぐに中断するのが鉄則です」

 そこで、具体的に挙げてもらった「女性向けのサウナの5ルール」をひとつずつ見ていきましょう。

◆①軽い運動をしたときの心拍数を目安に切り上げる

体に負担をかけないためには、心拍数を上げすぎないことが大切だそう。

「自分がウォーキングなどの軽い運動をしたときの心拍数を把握しておき、それ以上に心拍数を上げないようにしましょう。スマートウォッチなどで確認しながら入り、自分の基準に達したら切り上げるのがおすすめです。もちろん、基準に達する前でも、しんどさを感じたら迷わず切り上げてください」

◆②サウナの中では顔をタオルで覆う

「顔は感受性が高いので、顔が直接熱気を受け続けると、ストレスを感じホルモン値の変動が大きくなりすぎる心配があります。また、顔は火照りやすいので、体が完全に温まる前にクラクラしてしまうことも。これらを防ぐために、サウナの中ではタオルなどで顔を覆いましょう」

 タオルに好きな香りのアロマを吹き付けておけば、よりリラックスして過ごせます。

◆③水風呂はマスト

 冷え性で冷水が苦手でも、サウナ後の水風呂は必ず入るべき。

「サウナから水風呂に入ると、交感神経の働きがめちゃくちゃ高まります。そもそも自律神経調節機能が弱っていることが冷えの原因なのですから、『冷えるかも』などと恐れずに入るようにしてください。極端な冷水に入る必要はなく、水温17~18℃くらいでちゃんと効果を得られます

◆④外気浴はたっぷりめに

 普段にない刺激を与えた体を落ち着かせるために、外気浴は欠かせません。

「『ととのう』のはここ。目安は5~10分ですが、好きなだけたっぷりと心身ともに気持ちのいい状態を楽しんでください。目をつむってゆっくり呼吸する、特にゆっくり息を吐くのがおすすめです」

◆⑤回数は週に2~3回で十分

 サウナはハマると頻繁に入りたくなりますが、入りすぎは厳禁。

入りすぎると確実に体に負担がかかります。毎日朝晩2回1時間ずつサウナに入った結果、7割を超える女性が月経不順になったというデータも。週に2~3回で十分な効果が得られるので、これを目安にしましょう」

 いかがでしたか? 決してハードではないゆるめな入り方ですが、これでも「ととのう」ことは十分可能だそう。ストレス状態にあるほどととのいやすいそうなので、「今日はしんどいな」というときがサウナにGOのタイミング。サウナでしか味わえない快感を楽しみながら、不調を改善していきましょう。

【加藤容崇先生プロフィール】

慶應義塾大学医学部特任助教、医師。専門は癌遺伝子検査。サウナに関する研究成果を発信する団体「日本サウナ学会」の代表理事。サウナによる予防医療のほか、鍼治療など伝統的な健康習慣・医療技術の研究を第二の専門としている。医師、医学博士とプロの鍼灸師により発足した鍼によるセルフケアプロジェクト「ココハル」をリリース

<取材・文/持丸千乃>

2021/10/2 15:45

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