GoToトラベルは復活するか?キーワードは中小の旅行代理店、平日、東北

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◆GoToトラベルの再開は近いのか?

「GoToトラベル」とは、コロナ禍において業績の厳しい旅行業界の救済の為に、利用者が申し込む宿泊を伴うまたは日帰りの旅行について、国内旅行の代金総額の1/2を国が支援する事業だ。2020年7月22日に第一回目がスタートし、内容をリニューアルして2020年10月1日から支援額に地域共通クーポンが組み込まれた。

◆かなりお得だったGoToトラベル

 具体的にどのくらいの割引金額になるのか、すっかり忘れてしまった方もいると思われるので、具体例を出して算出してみた。

宿泊を伴う旅行商品の場合
一人40000円の1泊2日の宿泊付き旅行を申し込んだ場合、支援額は旅行代金の2分の1相当額の20000円となる。うち7割の14000円は旅行代金割引となり、旅行者の支払額は26000円となる。残りの3割の6000円が地域共通クーポンとして付与される。

日帰り商品の場合
一人20000円の日帰り旅行を申し込んだ場合、支援額は旅行代金の2分の1相当額の10000円となる。うち7割の7000円は旅行代金割引となり、旅行者の支払額は13000円となる。残りの3割の3000円が地域共通クーポンとして付与される。

 こうしてみると、GoToトラベルの割引率はかなり高水準であることがわかる。

◆平日と東北方面がお得になる!?

 今回、GoToトラベルの再開にあたり、所轄官庁の観光庁に取材を試みた。担当者の話を総合すると、「開始時期と内容は全くの未定である」と回答があった。政府の方針が決まらないと開始できないものであり、想定内である。それでも、再開にあたって施策変更のヒントになる内容を聞くことができた。

 それは、閣議決定され2020年12月8日に発出された「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」の書面だ。今年6月末までの想定として書かれているが、その後同様の決定がないので、今でもこの内容が最新とみていい。各分野での経済対策が盛り込まれた中で、観光分野をみてみると、昨年のGoToトラベルに加えて次のキーワードが盛り込まれることがわかる。

 それは、観光施策の実施に当たり、
1.平日への旅行需要の分散化策を講じる。
2.中小観光事業者へ配慮する。
3.被災地の観光事業者へ配慮する。

 と明示している。

 これを素直にくみ取れば、週末よりも平日の割引率、中小観光事業者の割引率、被災地向けの商品の割引率がそれぞれ大きくなる可能性があるということだ。

◆商品を造成する旅行会社に聞いた

 実際に商品を作る旅行会社に話を聞いてみた。WEBでの旅行商品販売に強いオンライントラベルエージェント(OTA)として業績を伸ばす株式会社エアトリの取締役COOの王伸(おうしん)氏に聞いた。

昨年のGoToトラベル事業について伺いますが、どの程度効果がありましたか。

「コロナ禍前比較では、GoToトラベル施策があっても半分以下の業績ですが、コロナ後の施策前と後とでは、5倍の売り上げがありました。旅行業界にとっては、救世主となるものだと思っています」

今年のGoToトラベルの開始状況の予測はどのように見ていますか。

「現在、GoToトラベル事務局や観光庁から通達はありません。当社独自の予測では、早ければ12月。このままでいけば年末年始の繁忙期を避けた1月下旬位のスタートになるのではなないかと考えています。通達さえ出れば、1~2週間で販売開始できる社内体制を構築しています」

◆割引率、ワクチンパスポートetc.新たなGoToトラベル

昨年のGoToトラベルと今年の再開後で内容が変わるでしょうか。

「全く予想はつきませんが、私見では国の経済対策に即し、休平日や旅行目的地となる地域間に割引率の格差をつける分散型になるのではないかと予測しています。割引額については、国の予算に関する内容なので、全く予測は付きません。また、政府の通達にもよりますが、ワクチンパスポートやPCR検査陰性証明書の提示が必須になる可能性もあります」

エアトリ独自の施策は何か考えていますか。

「前述の格差を付けるということでいえば、料金が複雑になる可能性があり、お客様にとっては使い勝手が悪くなる可能性があります。エアトリではOTAの強みを活かし、割引率や地域間で割引率の傾斜があった場合でも、ホームページ内でわかりやすく表示ができる使い勝手のいいものにしようと一部改修を進めています。

 また、コロナ禍が長くなり、感染症対策をもう一段進めたものにしようと考えています。エアトリグループでは、専門医療機関のアドバイスを受けて、より簡単に早く安価に認可を受けたPCR検査が実施できるようにしています」

ということで、観光庁の言う通り国の経済対策は周知され、GoToトラベルにこの内容が盛り込まれることが予測される。こうした国の提言がGoToトラベルの通達に全て盛り込まれた場合、中小の旅行会社を通して平日に被災地を巡る宿泊付きの旅行商品を購入するのが一番安くなる可能性があるということだ。

◆他の旅行会社はどう対応する?

 その他の旅行会社の状況はどうだろうか。KNT-CTホールディングス、JTB、日本旅行、阪急交通社(50音順)の大手旅行4社に聞いた。全社同様に「決まったことは無い」との回答であった。

 各社の中で阪急交通社は「新型コロナウイルスワクチン2回接種済またはPCR検査陰性の方参加者限定ツアー」を、JTBは宿泊施設で「新型コロナウイルスワクチン接種済の方限定プラン」をそれぞれ発売している程度だ。

 医療従事者や、ワクチンを打ちたくても打てない方への配慮はあってしかるべきではあるが、感染者が減少傾向となる今、いつの時点かで経済を活性化させる時期が来ないことには、全国で900万人と言われる観光関連事業者が干上がってしまう。旅行会社には万全の感染症対策を盛り込んで貰いつつ、GoToトラベルの再開を静かに待ちたい。

取材・文/北島幸司

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。 Facebook avian.wing  twitter@avianjune  instagram@kitajimaavianwing

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  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

1
  • 観音寺六角

    10/2 18:43

    また政府は感染者のデータ取りするらしい😶どうなるやら?

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