それぞれ苦境を乗り越えた白と黒の子グマ 動物園で出会い大親友に(米)

米アラスカ州漁業狩猟局は今年6月、「近所でハイイログマの子どもが母グマとはぐれて彷徨っている」という通報を受けた。地元住民が“ジェビー(Jebbie)”と名付けたこの子グマは母親と離れて生きるにはまだ幼く、早急に健康状態を確認しケアを行うために同局によってアラスカ動物園に移送された。

その後デトロイト動物園に移動したジェビーは、デトロイト動物園協会の獣医たちによって検疫と詳細な検査を受け、同園のホッキョクグマがいるエリア「Arctic Ring of Life」に移された。

このエリアには同園が育ててきたホッキョクグマの子ども“レアク(Laerke)”がいた。レアクと妹の“アストラ(Astra)”は昨年11月、母グマ“スカ(Suka、8)”と父グマ“ヌカ(Nuka、16)”の間に誕生した。

しかしレアクは生後2日で衰弱して動かなくなってしまい、同園の医療施設「Ruth Roby Glancy Animal Health Complex」で24時間体制の治療を受けることになった。懸命な治療で回復したレアクだったが、治療が長期間に及んでしまったため家族のもとへ戻るのは難しいと判断されてしまったのだ。

デトロイト動物園協会でライフサイエンス部門の責任者を務めるスコット・カーターさん(Scott Carter)は、当時のことをこのように振り返っている。

「母グマのスカはアストラを守ろうとする素晴らしい母親ですが、レアクを我が子と認識していないのは明らかでした。」

しかし同園には、孤立したレアクと一緒に遊んで過ごせるようなホッキョクグマの子はいなかった。そこで孤児となったハイイログマの里親探しを行っている州機関に連絡を取ったところ、ジェビーが同園にやって来たのだ。

ジェビーとレアクは幼い時期に家族を失うという似た境遇もあってか、すぐに意気投合したという。その様子を捉えた動画には、一緒に駆け回ったり水の中を泳いだりして仲良く遊ぶ2匹の姿が映っていた。

同じクマ同士で仲良くする姿が同園のFacebookに投稿されると、今月2日の時点で再生回数が37万回を超えるほど反響を呼んだ。「素敵な話だし、可愛すぎる」「悲しい状況が2匹を引き合わせたんだね」「まさにウィンウィンの関係だ!」「こうした心温まるニュースを待っていたよ」など多くの人の心を掴んだようだ。

スコットさんは「ジェビーには居場所を、レアクには必要としていた仲間を与えることができて感激しています。2匹の交流による社会性の発達は、ジェビーとレアクの双方にとって非常に重要なものです」と同時に2匹の問題を解決できたうえに、最高の結果が生まれたことを喜んだ。

今後ジェビーとレアクは同園で一緒に成長していく予定で、来園者たちは2匹が仲良く遊ぶ姿を観察することができるそうだ。

画像は『Detroit News 2021年9月23日付「These baby bear cubs at the Detroit Zoo are best friends」(Detroit Zoo,The Detroit News)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 iruy)

2021/10/2 15:21

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