「がぜん」「破天荒」の本来の意味を知ってる? 文化庁調査で60%以上の人が“間違っていた”と判明

「破天荒」の意味を「豪快で大胆な様子」と回答したのは、65.4%。

 文化庁は9月24日、20年度の「国語に関する世論調査」を発表した。調査は全国の16歳以上の個人3794 人から回答を得た。調査の中から興味深いものを取り上げると、「気になる言葉」として、

(1)「すぐ帰る」ということを、「そっこう帰る」と言う。

(2)「騒ぐほどではないが確かに痛い」ということを、「じみに痛い」と言う。

(3)「とてもおいしい」ということを、「めっちゃおいしい」と言う。

(4)「とてもかわいい」ということを、「鬼かわいい」と言う。

(5)「そっくり全部わかる」ということを、「まるっとわかる」と言う。

の下線部分の言い方を使うことがあるか、ほかの人が使うのが気になるかという質問に対して、

「そっこう」を使う39.0%、使わない59.8%、気になる31.9%、気にならない66.8%

「じみに」を使う39.8%、使わない58.9%、気になる36.6%、気にならない62.1%

「めっちゃ」を使う57.9%、使わない40.7%、気になる18.2%、気にならない80.5%

「鬼」を使う4.8%、使わない93.9%、気になる72.7%、気にならない26.1%

「まるっと」を使う10.7%、使わない 87.9%、気になる62.4%、気にならない36.3%

となった。

 世代別で見ると、意外なことに「めっちゃ」は50代以下の50%以上が「使うことがある」と回答。高齢世代に対しても“浸透した”言葉となっている。「そっこう」、「じみに」は40代以下の50%以上が「使うことがある」と回答。中年までの世代までで使われている半面、「鬼」、「まるっと」は全世代で「使うことがある」は20%未満となっており、使い慣れた言葉ではないようだ。

 また、(1)がぜん (2)破天荒(3)すべからく、の3つの意味を問う質問では、

「がぜん」の意味は、

・「とても、断然」67.0%

◎「急に、突然」23.6%

「破天荒」の意味は、

◎「だれも成し得なかったことをすること」23.3%(※08年度調査では16.9 %)

・「豪快で大胆な様子」65.4 %、08年度調査では64.2%

「すべからく」の意味は、

・「すべて、皆」32.1%、08年度調査では38.5%

◎「当然、是非とも」54.8%、08年度調査では41.2 %(※)

となった。(◎は辞書等で主に、本来の意味とされてきたもの)

「がぜん」、「破天荒」は60%以上の人が、本来の意味とは違う使い方をしているのに対して、「すべからく」は約半数の人が本来の意味で使っている。

 世代別に見ると、「がぜん」、「破天荒」はすべての世代で本来の意味を間違っている人が50%以上となり、特に、40代以下では70%以上の人が間違っていた。半面、「すべからく」では本来の意味を間違えているのは70歳以上の世代が最も多く、60代以下では50%以上の人が本来の意味を理解していた。(表1、2、3)

 さらに、(1)明るみになる/明るみに出る、(2)寸暇を惜しまず/寸暇を惜しんで、(3)一つ返事/二つ返事をどちらの言い方を使うかという質問では、

(1)「知られていなかったことが、世間に知られること」という意味の「明るみになる/明るみに出る」では、

・明るみになる43.0%

◎明るみに出る44.1%

(2)「僅かの時間も無駄にしない様子」という意味の「寸暇を惜しまず/寸暇を惜しんで」では、

・寸暇を惜しまず43.5%、08年度調査では57.2%

◎寸暇を惜しんで38.1%、08年度調査では28.1%

(3)「快く承諾すること」という意味の「一つ返事/二つ返事」では、

・一つ返事37.4%、08年度調査では46.4%

◎二つ返事52.4%、08年度調査では42.9%

という結果となった。(◎辞書等で主に本来の言い方とされてきたもの)

「明るみに出る」「寸暇を惜しんで」は本来の言い方と間違った使い方が拮抗しているが、「二つ返事」は本来の言い方が間違った言い方を上回っている。

 世代別では、「明るみに出る」「寸暇を惜しんで」はすべての世代で、本来の言い方と間違った使い方が拮抗しているが、「二つ返事」は70歳以上の世代だけが、「一つ返事」という言い方をする人が多かった。

 言葉は時代とともに変化する。新語が誕生して根付く場合もあれば、一過性のブームで終わるケースもある。しかし、古くから使われてきた言葉は、時代の流れや使い方で意味が変わるのは好ましいことではない。その意味や使い方を学校教育でも教え、正確に理解することが必要だ。

2021/10/2 8:00

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