『シャン・チー』のシム・リウ「僕らはこのキャラクターを2021年に合わせた新しいものにすることが出来たんだ」と喜びと責任を明かす

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約半年ぶりの寄稿となります今回の映画薄口レビューは、現在公開中、あの『アベンジャーズ/エンドゲーム』マーベル・スタジオの新時代を象徴する出来事となった『シャン・チー/テン・リングスの伝説』です。すでに多くの映画ファン、MCUファンのみなさんが観ていることと思いますが、緊急事態宣言が解除を迎え「ようやく駆け込みで観るぜ!」という方も中にはいらっしゃることと思います。そこで今回は特別編として、時代のニューヒーロー、シャン・チー役のシム・リウさんのインタビューをご紹介することで、作品紹介をしてみたいと思います。

■公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/shang-chi.html [リンク]

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
シム・リウ インタビュー

――マーベル・スタジオから最初に連絡があった時、あなたはどのように感じましたか?

僕はそのことをとてもはっきり覚えている。それは夜の6時半だった。僕は下着姿で、昼寝からちょうど起きたところで、農心(韓国の食品メーカー)のエビ煎餅を食べていた。なにもせずにね。そしたら、カリフォルニアのバーバンクの知らない番号から電話がかかってきた。僕は自分の心臓がドキドキしたのを覚えている。なぜなら、それはとてもミステリアスだったからね。僕はそれがなにかわかったように感じて、電話をとった。そしてそれはケヴィン・ファイギからのもので、彼が僕にこの役をオファーしたんだ。それはとても正気とは思えない瞬間だった。なぜなら、僕の人生が今までと同じではなくなるのはわかっていたからね。そして彼は言ったんだ。「4日後にコミコンに行ってもらいたい。僕らは、みんなの前であなたを紹介して、僕たちの新しいシャン・チーとして、あなたのことを世界に向けてアナウンスするよ」って。そして実際に僕を飛行機で飛ばして実現した。その後、僕の人生は劇的に変わったんだ。

――『シャン・チー』は素晴らしい映画でした。あのコスチュームを初めて身につけた時はどういった感じでしたか?

素晴らしいと感じたよ。僕は、アジア人がスーパーヒーローの衣装を身につけるのがいかに珍しいことか分かっていた。そういったことはそんなにはないんだ。僕はMCUで、(アジア人として)初めての主役のスーパーヒーローなんだ。それはものすごい名誉なことだよ。僕はそのスーツを着るのをとても楽しんだ。それは全く新しいスーツだったからね。コミックスの中にあるものを基にしたものじゃなくて、全く新しいんだ。それは僕らの新しいオリジン・ストーリーを象徴していると思う。(そこで)僕たちは、この約50歳になるちょっと時代遅れのキャラクターを基本的に新しいものにアップデートすることが出来た。僕らはこのキャラクターを2021年に合わせた新しいキャラクターにすることが出来たんだ。世界がその新しいキャラクターを見ることにとてもとても興奮しているよ。

――マーベル・ファミリーの中で、新人でいるのはどういった感じでしたか?

インポスター症候群(自分の達成を内面的に肯定できず、自分が詐欺師であると感じる傾向)について話すけど、まさにそれが、僕らみんなが自分たちの仕事で感じることなんだ。「なんてことだ。他のみんなは自分よりもずっと経験がある。なにをしたらいいか分かっていないのは僕だけだ」となるのを、想像してみて。そして、それを1万倍にするんだ。それが僕が感じていたことだよ。僕がコミコンのホールHで、アンジェリーナ・ジョリーやサルマ・ハイヤック、クリス・ヘムズワースと一緒にいて、初めて自分がアナウンスされるのを想像してみてよ。実に多くのアイコニック(象徴的)なMCUの俳優たちがいるんだ。その一方で、僕は1秒もまだ(映画を)撮影していなかった。僕は、「自分はここにいるに値しない」となっていたよ。でも、今はとても興奮している。なぜなら、実際、僕らはこの映画を撮影したし、それを世界全体と一緒にシェアする準備が出来ているんだ。だから、願わくば、この後少しましに感じられるといいね。でも、それまでは、今でも彼らを見ると、いつもドキドキするよ。なぜなら、彼らはとても素晴らしいからね。僕は大ファンなんだよ。

――このキャラクターから、どんな教訓を、あなたは得ることが出来ますか?

「あなた自身のすべての部分を受け入れないといけない」ということだね。「自分は人間で、人間には力があるけど、同時に弱さがあり、不安を抱えていて、心の中にはっきりわからないことを持っているけど、そういったことのすべてが本当の自分を形成している」という考えだよ。時々、僕たちは自分たちの弱さを受け入れるのを嫌がるときがある。なぜなら、僕らはそういったことを自分自身の中に欲っしていないから。でも、自己認識、自己受容、自己発見の一部は、自分を形成しているすべてのことや、自分を特別なものにしていることを学ぶことなんだ。そういったこと、そういった欠点はとても大切なもので、それが本当の自分を作っているんだ。

――この映画の中で、ケイティとショーンは、大のカラオケ好きです。毎回、カラオケであなたが歌うお気に入りのカラオケ・ソングはありますか?

あるよ。「(『アラジン』のホール・ニュー・ワールドを歌い始める)I can show you the world. Shining, shimmering splendid. Tell me princess now when did you last let your heart sigh…」誰か入ってくる?僕だけかい?(笑)それが僕のお決まりの歌だよ。たくさんあるけどね。でも、ディズニーが大好きなんだ。だからいつも『アラジン』をやるんだ。

――もしスタン・リーが今生きていたら、この映画のどの部分に、カメオ役で登場すると思いますか?

彼があのバスの運転手だったらうれしいね。あの哀れなバスの運転手は、なにが起ころうとしているかまったく知らずに、サンフランシスコの中でバスを運転しているんだ。そしたら突然、手に鉈をつけた男があらゆるものをぶった斬り始めるんだ。スタンがカメラを見て、「なにが起きているんだ!」と一言叫ぶのは、とてもいいと思うな。

――MCUにはとても多くのスーパーヒーローがいます。今後、あなたはどのスーパーヒーローと一番仕事をしたいですか?

彼ら全員と言うよ。前に、スパイダーマンと言ったことはある。でも、正直に言って、MCUのすべてのヒーローに、彼ら独自のユーモアのセンスがあって、彼ら独自の相性がある。シャン・チーが彼ら全員とやりとりするのを見ることに、僕はとても興奮している。彼らみんなと、とてもうまくやれると思っているよ。多分、楽しむためにいくつかファイトすることになるだろうけどね。でも、それは楽しいものになるね。

――この映画での、あなたのお気に入りのビハインド・ザ・シーン(舞台裏)の瞬間はなんですか?

たくさんあるよ。(でも)多分、トニー・レオンと過ごした時間だと言わずにはいられないね。彼のことや、そのレジェンドの背後にあるものが、彼がどういった人かをもっと知ることになったことだよ。その伝説的な映画スターの背後にどういった人物がいるのかについてね。そしてわかったのは、彼がとてもクールな人物だということなんだ。彼はウォータースポーツやスノボが大好きで、彼に「日本に来ないか」と呼ばれたんだ。僕は彼と一緒に行くのをすごく楽しみにしていたけど、残念なことに世界には他の計画(コロナ禍のこと)があった。だから、安全になった時に彼を訪ねるのを楽しみにしているんだ。撮影が終わった今でも、彼からオファーされるのを楽しみにしているよ。

――トニー・レオンは、あなたにとってレジェンドなわけですが、初めてトニーに会った時のことを覚えていますか?緊張をほぐすのになにをしましたか?

僕はとてもナーバスになっていた。彼はスタントのリハーサルをやっていて、僕はそーっと彼の側にそばに歩み寄って、「ハロー」と言ったんだ。僕は、彼の両手を掴んだのを覚えている。そして、「あなたが僕たちと一緒の現場にいてくれるのはものすごく光栄なことです。あなたから学ぶことを楽しみにしています」と言ったよ。僕は心からそう言ったんだ。彼は本当に生きているレジェンドだからね。ところで、トニーは、これを知ったら、あなたたちは驚くかもしれないけど…彼はアジアでものすごいスーパースターであるにもかかわらず、ものすごく普通の人のように感じる。彼はとても静かに話すし、優しくて、とても親切なんだ。だから、毎日、彼と仕事をしながら、彼の目を見つめることが出来るのはとても喜びだった。なぜなら、表現力に富んだ彼の目はとても有名なんだ。それを間近で見ることが出来て、彼の目が僕を真っ直ぐ見ているのは、本当に素晴らしい体験だった。

――あなたは、この役のためにたくさんリサーチをしましたか?コミックスを読んだりしましたか?あなたはコミックブックのファンですか?

それはとても良い質問だよ。僕はいくつかコミックスを読んだ。最初にキャラクターを理解する上で、それは重要なことかもしれないと僕は思っていた。でも、デスティン監督がすぐ僕に言ったんだ「聞いてくれ。僕らは“シャン・チー”を新しいキャラクターにしたいんだ」と。1970年代のコミックブックスには、現代社会のルールには当てはまらないものがある。アジア・アメリカンの目から見て納得出来ないものがあるんだよ。正直に言って、当時のコミックは白人たちによって描かれていた。そして、彼らは必ずしも、本物のアジア人やアジア・アメリカンの体験を理解していなかった。だから、そのキャラクターは、奥行きのあるものには決して感じられなかった。コミックの中の彼はとてもシリアスで、基本的に神話に出てくることわざのような話し方しかしなくて、まったく人間味のないものだったんだ。だから僕らは、このまったく新しいキャラクターやこのまったく新しいストーリーを作り出せることにとても興奮していた。それは家族についてのストーリーで、僕らはその方が、コミックと同じだったり、原作に忠実であったりするよりもっと重要だと考えたんだ。

――シャン・チーの役を得る前、あなたは、スタントマンやいろんなエキストラ(背景にいる人たち)の仕事をしていました。このアクション・シークエンスのために、あなたはものすごくトレーニングされたわけですが、スタントマンとしてアクションをするのと、主役としてそれをするのはどのように違うものでしたか?

僕は、スタントマンというより「代役スタントマン」と呼ばれるものだった。それはつまり、優秀なスタントマンたちが怪我したり、病気になったり、その仕事をしたくなかった時に、僕に連絡してくることを意味している。そして僕はいつも、「僕はここにいるよ」と答えるんだ。僕にはパンチを繰り出すことはできるけど、僕自身はまったくトップレベルのスタントマンというわけじゃなかった。だから、僕がこの仕事をもらった時、自分がそこにいくためにとても一生懸命やらないといけないのは分かっていた。ファイトシーンの最後に来て、パンチを受けて倒れるスタントマンでいるのと、1、2、3、4と(アクションを順に)こなして、時々、何人もの人と同時に戦うのはまったく別ものなんだ。だから、そこではずっと多くのスタミナや訓練が必要なんだよ。僕はそのために本当に一生懸命やらないといけなかったんだよ。

以上になります。シム・リウさんの喜びと、主演のプレッシャーを感じるな内容でした。ちなみに筆者個人の作品感想としては、MCUに初めて触れる人にはとてもよいと思いました。“すべてはアイアンマンで始まった”と言われてしまうと、どうしても1作目から観ないといけないような気になってしまう方もいると思うのですが、この『シャン・チー/テン・リングスの伝説』からMCUに入っていくという楽しみ方ができる喜びもきっとあるはずなのです。そしてMCUファンの方はこの後11月に『エターナルズ』公開が控えていますので、そこへの弾みをつけるためにももう一度だけ『シャン・チー』を、も選択肢としてはありかなと思います。


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公開中
(C) Marvel Studios 2021

(執筆者: ときたたかし)

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