貫地谷しほりがバリキャリ役に。「好きで結婚したんだから、夫婦には我慢も必要」
映画デビューから20年目を数える女優・貫地谷しほりさん(35)。ますます魅力的な女優、女性として輝いていますが、田中圭さん&中谷美紀さんがW主演を務める、現在公開中の映画『総理の夫』では、中谷さん演じる初の女性総理大臣・凛子を支える、しっかり者の内閣広報担当・富士宮あやかを演じています。
ご自身は「富士宮に注意される側のお調子者タイプです」と笑う貫地谷さんに、田中さんと中谷さんとの共演についてや、女優としての向き合い方に影響を与えた出来事などを聞きました。
◆自分は富士宮に注意される側
――凛子も素敵でしたが、富士宮も素敵な女性でした。
貫地谷しほりさん(以下、貫地谷)「私自身はどちらかというとお調子者ですし、『静かに!』と注意されるまで喋ってしまうので、富士宮に注意される側のタイプだと思います(笑)。でも悩みながら働いているところに凛子という人が現れて、凛子さんの言う未来を一緒に実現していきたいと思うようになる、富士宮の気持ちはよく分かりましたね」
◆撮影現場では栄養の話で盛り上がった
――凛子の夫・日和を演じた田中さんや、中谷さんとの共演はいかがでしたか?
貫地谷「圭くんは昔からよく知っているので、私がNGを出したりすると、それを笑いに変えて盛り上げてくれたり、相変わらずでした。圭くんのおかげで緊張せずに臨めたと思います。中谷さんは、昔からずっとテレビで見てきて、なんて美しい方なんだろうと思っていました」
――実際にお仕事されていかがでしたか?
貫地谷「もう美しくて、神々しくて。実物も素敵でした。とても嬉しくて、2ショットで写真も撮ってもらっちゃいました(笑)。本当に素敵な方です。カメラの外では、3人で栄養についての話ばかりしてました。3人とも体にいいことが好きなんですよ。あれがいいとか、これがいいとか。話を聞いていたら、私、中谷さんと結構やっていることが一緒だったんです。じゃあ、このままいけば私も中谷さんみたいになれるってこと?と思って、頑張ろうと思ってます(笑)」
◆好きで結婚したんだから、夫婦には我慢も必要
――本作は日和と凛子が困難に直面する、夫婦の物語でもあります。
貫地谷「彼らは理想的な夫婦ですよね。旦那さんは自分のやりたい研究の道に進んでいて、奥さんも実現したい道に進んでいる」
――でも途中、日和が凛子が総理になったことで、自分の研究のための出張に行けなくなったりと、我慢を強いられる場面もありました。
貫地谷「人間、どこかしらで我慢はしないといけません。好きで結婚しちゃったんですから。私も旦那さんが一般の方なので、外に出るにも気を使ってもらっているところがあります。彼にとっては生きにくいことでしかないのに、いつも有難いなと思っています」
◆旦那さんは貫地谷さのことが大好き!
――それこそ「好きになっちゃったんだから」といったところでしょうか。ちなみに旦那さまは貫地谷さんのどういうところが好きだと?
貫地谷「全部好きみたいです。あはは!」
――うわ、まいりました(笑)。
貫地谷「うふふ。変にかっこつけたりもしない間柄ですし、お互いに楽なのかなと思います」
◆かつては芝居に集中しているのを見られるのが恥ずかしかった
――日和と凛子、凛子と富士宮も互いに影響しあっていると思いますが、貫地谷さんがこのお仕事をされてきて、価値観を変えるくらい大きかった出来事はありますか?
貫地谷「私ね、すごく影響を受けやすいんです。だから一緒にお仕事させていただいた方からはだいたい影響を受けています。中でも渡瀬恒彦さんは、私の人格形成に大きく影響していますが、ほかには、そうですね。
私、結構照れ屋な部分があって、泣きのシーンなんかでも、集中しているところを周囲に見せたくないみたいなところがあったんです。あるとき、共演者の方が、相手の方から『わ~!』っとあれこれ色々言われたあとに、それを受けて自分の部屋に入っていくというお芝居があって。でも、相手から『わ~!』と言われる部分は、別日にもう撮っていたんです。
続けての撮影だったら気持ちもそのまま繋げられますが、そうはいかない。どうするんだろうと思っていたら、その方は、『よーい!』と始まった瞬間に、自分に向けられる『わ~!』という言葉を自分で叫んでから、自分の気持ちに入ってお芝居されたんです」
――本来は相手から言われるセリフを、自分で声に出して。
貫地谷「そうなんです。それを見たときに、自分で表現したい芝居につながるのであれば、周りの目なんか気にせずに、自分のやりたいようにやればいいんだなと。どうしても若いころは、お芝居に集中しているのを周囲に見られるのが恥ずかしいといった気持ちがあったんですが、それは衝撃的でしたし、すごいなと思いました。ほかにもたくさんありますよ。いろんな方から影響を受けています」
◆読者へのメッセージ
――お話しありがとうございました。最後に公開にあわせてひとことお願いします。
貫地谷「まず初の女性総理誕生という設定が面白いです。それから愛の物語です。私が演じた富士宮も、ハキハキしていて潔いのですが、きっちり悩んでいる女性。演じていてとても楽しかったです。ドタバタなだけではない物語です。よろしくお願いします」
(C) 2021「総理の夫」製作委員会
<撮影・文/望月ふみ>
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi