松本まりか「迷いはなかった」デビュー時からのブレない覚悟

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動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で現在独占配信中のオリジナルドラマ『東京、愛だの、恋だの』。本作で東京の不動産会社で働く35歳の女性・かえを演じているのが、女優の松本まりかだ。これまで激情的な女性を演じ“怪演”が注目されてきた彼女が、本作では未来に漠然とした悩みを持つ等身大の女性を演じ、新たな魅力を見せている。本作との出会いで感じたこと、さらには女優という仕事への思いを語った。

2000年に、15歳で女優デビューしてから20年以上のキャリアを持つ松本が、長い間「憧れていた」というタナダユキ監督。そんな監督がメガホンをとる作品に主人公としてオファーを受けた。

「東京タワーの近くを走っているとき車のなかでお話を聞いたんです。10年以上前から、タナダ監督の作品は大好きで、すごく憧れていたので内容を聞く前から二つ返事で『やりたいです』と言いました。フワーって風が吹いた感じでしたね」。


松本が演じる主人公・かえは東京の賃貸不動産会社で働く35歳の女性。店にやってくるさまざまな女性たちの懸命に生きる姿をそっと後押しするような役柄だ。


松本が選択したのは、とにかくタナダ監督に委ねること。これまでややデフォルメされた役柄を演じることが多かった松本にとっても大きなチャレンジとなった。


「言い方が難しいですが、とても新鮮でした。これまで暗い役とか、辛い状況に晒される役が多く“怪演”と言われることもありましたが、今回はそのままでいられた。地続きの私と役が一体になった感じ。『芝居って楽しいなぁ』としみじみ感じていました」。


「正直演じたという記憶がないぐらい」と語っていた松本。念願のタナダ組で、こうした感覚になったことは、最初「なにも残せていないのではないか」と不安になったこともあったというが、すべてを委ねるという選択は、松本に新たな感覚をもたらした。


「この作品に入るまでは、役者としてそこまで監督に委ねてはいけないと思っていたんです。またこうしたやり方ができるかどうか……というのは分かりませんが、信頼して身を預けられたということは、大きな経験でした」。


全7話の物語には、東京という街で懸命に生きようとする女性たちの実情がリアルに描かれている。どのキャラクターも胸が締め付けられるような感情がセリフと共に吐き出される。

「私は第6話でかえが言った『自分に嘘をつくと、そのあと生きにくくなる』というセリフが、心に残っています。自分の人生を振り返っても、その通りだなと感じましたね」。


また第5話では『自分の人生を自分で選択してきたか』というセリフも出てくる。15歳で女優としてデビューした松本も、演じることは、自分で選択した道だったのだろうか――。


「自分で女優という仕事は選択しこだわってきました。だからこそ、すごく時間がかかってしまったのかもしれません。でも、覚悟を持って自分の人生は自分で決断するからこそ、きつい道でも続けられるのかなと。もちろん人の選択に乗ったこともありますが、やっぱり自分で決めれば人のせいにはできない。難しいことですが、私はこれからもそういう人生を歩む人間でありたいです」。

どんなことがあってもブレない強さ。それは経験を重ねるごとに備わってきたものなのか、それとも女優という道に進んだときから、すでに持っていたのか。松本は「その当時は、そんなに意識をしてなかったのですが、今思うと自然と覚悟を決めていたのかもしれません」。


「小さいころから私には将来の夢がなく、それを聞かれるのが一番苦手な子どもでした。そんなとき、たまたまスカウトされて『六番目の小夜子』というドラマに出演したんです。そのとき『演じることってなんて楽しいんだろう』って雷に打たれたような感覚になったんです。それからは『芝居が好き』という気持ちだけは、誰も否定できない私自身のこと。だから、誰かに求められなくても、この道を進む事に迷いはありませんでした。とにかく演技が上手くなりたい、魅力的な人間になりたいという気持ちで続けてきました」。


女優デビュー作から、芝居の魅力に取りつかれたという松本。そこには、幼少期の感情が大きく起因しているという。


「私は鍵っ子だったので家で1人でいることが多かったんです。その当時は、思ったことを人に伝えることが苦手で……。でも、演技をして役を通すと、人と会話ができ、感情のやりとりができました。さらに、人と繋がることができるようになっていったので、私にとっては演技はコミュニケーションツールの一つなんですよね」。


演じる=生きるうえで欠かせないこと。だからこそ、仕事だからと割り切ることができない。生きていると実感するために演じる。まさに酸素のような存在が芝居だという。

「いま思い返すと、寂しかったとき、唯一人から褒めてもらえたのが、学芸会での演技だったんです。すごく楽しかったばかりか、終わったあと『良かったよ』って褒めてもらえて……。褒めてもらえることって、演じること以外なかったからすごく嬉しかったんです。その思いだけでやってきたのですが、いま気づいたら、タナダ監督の現場で主演をやらせてもらえている……不思議な感覚です」。


ドラマでは、声優の梶裕貴が、かえの恋人・橋本達也役で出演している。松本と梶は10年来の友人であり、声優での共演経験もある。

「声だけでも素晴らしいのに、動きや表情の演技も素敵で……。声のエキスパートは、全身表現をしてもすごいんだなって思いました」。


梶のほか、かえの大学時代からの友人・芦谷勇作役に毎熊克哉、さらには毎回実力派女優たちがゲストとして作品に登場する。


「次々に面白い女性ゲストの方々が登場します。みなさんすごく魅力的で、ぜひ彼女たちの生き方にいろいろなことを感じてほしいです。私が演じるかえも、ちょっとずつゲストの方に刺激されながら、変化していくので、そのストーリーも楽しみにしてください」。


取材・文:磯部正和

(C)Paravi


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