ムロツヨシが教会の牧師役に「食べられる役者になったけど、ガソリン減り気味」

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 コメディ作品などで見せてきた強烈な個性だけでなく、近年は恋愛ものや様々なジャンルで存在感を発揮している俳優・ムロツヨシさん(45)。意外なことに、これまで映画での主演作はありませんでした。現在、記念すべき初主演映画『マイ・ダディ』が公開中です。

 小さな教会の牧師・一男を演じているムロさん。妻に先立たれ、男手ひとつで育ててきた中学生になる娘が病に冒され、続けざまに衝撃的な事実を突きつけられることになります。実は本作はコロナ禍により、当初、昨年4月予定だった撮影スケジュールを変更して完成に至りました。自粛期間中に、インスタライブも話題を集めていたムロさんに、当時の思いを聞きました。

◆ムロツヨシ演じる一男はとてもまっすぐな人

――脚本を読んですぐに出たいと思われたそうですが、一男のどこに特に惹かれたのでしょうか。

ムロツヨシさん(以下、ムロ)「とにかくまっすぐな人なんですよね。牧師をやっていて、『愛を信じましょう』『愛は素晴らしいものだ』と説いてきた。でも全く予想していなかった出来事に直面して、愛を信じられなくなった自分を恨み、自分を否定し始める。人を恨むのではなくてね。その人間臭さが僕には響きました」

◆撮影延期になったけど、マイナスの感情を持ちたくなかった

――本作はムロさんの初主演作ですが、コロナ禍によってクランクインが延期されたそうですね。当時、ムロさんはインスタライブをはじめ、積極的に動かれていましたが、初主演作がストップしたまま、そのモチベーションをどうやって維持していたのでしょう。

ムロ「クランクインが2020年4月の予定だったんです。それがドンピシャで最初の緊急事態宣言の時期に重なってしまいまして。本当だったら映画を撮影していたのにというマイナスな感情を自分が持ちたくないので、インスタライブなどで人前に立つことを選んだんです。それからみんなが止まっていたからこそ、いつもは忙しい友人のクリエイターたちに声をかけてオムニバス映画(『緊急事態宣言』)を作れたりした。とにかくプラスに転換して何かを作りたかったんです」

◆「こんなことがなければ」なんて考えても仕方ない

――映画の撮影が入っていたからこそ、なくなったときに別のものを作り出そうとした?

ムロ「そうですね。そもそも仕事が入っていなかったら、何もしなかったかもしれない。2020年の4月からは、精力的に動いていたというよりは悔しかったからです。何かをやらないと。時代のせいにもしたくないし、『こんなことがなければ』なんて人生は、それこそ映画のパラレルワールドにでも行ければいいけど、そんなことはできないので。だったら起こったことを受け入れる部分は受け入れて、そのなかで何か生み出す側にいないと悔しいし、そうした側にいたいというかっこつけな部分もあります」

◆食べられる役者になったけど危機感もある

――これだけは絶対に大切にして生きようというものはなんでしょうか。

ムロ「やりたいと思ったことはやらせてあげようと思いますね。自分に。ただ、やりたいことが少なくなってきているのが怖いんですけどね。これまで食べられる役者になるんだという野心がとてつもない原動力だったんです。走れた、走れた。だから30代後半になって食べられるようになったという達成感はすごかったんだけど、食べられるようになったら、今度はもっと何をやりたいのかという自分への質問に答えられなくなった。そこに達するまでのガソリンがあまりにも大きかったから。

 だからそのガソリンが減っていることへの危機感はすごくあります。ただそれで落ち着く自分も見たいですけどねぇ。そんなこと言いながら、やっぱりまだ人前で焦りますからね(笑)」

◆ 結局自分は人前に立つしかない

――お仕事が常に軸にあるようですが、プライベートをもっと充実させたいという思いは?

ムロ「させたいですねぇ。趣味が増えないんです。いろいろ試したんですよ。もともと漫画を読むのが好きだったから、自粛期間中にまた多少読むようにはなったけれど、ハマるまではいってないし、ゲームを買ってみたりもしたけれど、それもハマらなくて。人と昔みたいに飲める状況だったら、こんなことも考えなかったかもしれないんですが、趣味がほしいなとは思いますね。

 結局自分の場合は人前に立つしかないのかなとも思います。人前では自分の悪いところを隠す性格なんだけど、ひとりだと隠す必要がないからどんどん出てきて困っちゃいますし」

――優しくて明るい、いい人イメージのムロさんにもやっぱり悪い面はある?

ムロ「カメラが向いたり、知らない人に囲まれたりしたら、みなさんだって少しいい人になると思うんです。あと、いい人のふりをしてきた人生経験が人より長いから。4歳からしみついちゃってるので。だからみなさん見抜けないだけで、優しいだけなわけないじゃない。冷たい部分もありますよ。破った約束も数知れず、かもしれませんよ(笑)」

◆自分がこんな顔をするんだと思った

――(笑)。最後に完成作をご覧になったときのご自身の感想を教えてください。

ムロ「今回は、脚本づくりから少し関わらせていただいたので、思い入れが強すぎて冷静に観られないところがあるんです。ただ、この作品が生まれてくれてよかったという感動と、自分がこんな顔をするんだと思ったのはあります。僕は今までの役者としての成功体験や失敗した経験を、いつも記憶してデータとして頭に残していますが、今回はその記憶を1回捨てて挑みました。その結果、『こんな顔してたんだ』と感じる部分はありましたね」

(C) 2021「マイ・ダディ」製作委員会

<撮影・文/望月ふみ>
<スタイリスト 森川 雅代/ヘアメイク 池田真希>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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