日本で高齢者が直面する現実…定年後の「のんびりと豊かな暮らし」はもはや幻想か

 総務省は9月19日、20日の敬老の日を迎えるにあたり、「我が国の65歳以上の高齢者のすがた」を公表した。そこには、日本の驚くべき高齢化の状況と高齢者の姿が浮き彫りになっている。

 9月15日現在の人口推計によると、日本の総人口は前年比51万人減少している一方、65歳以上の高齢者(以下、高齢者)は3640万人と前年比22万人増加し、過去最多となった。この結果、総人口に占める割合は29.1%と前年に比べ0.3ポイント上昇し、過去最高を更新した。

 高齢者を男女別にみると、男性は1583万人と男性人口の26.0%、女性は2057万人と女性人口の32.0%を占めており、女性が男性より474万人多い。

 70歳以上の人口は、47年~49年生まれの「団塊の世代」の高齢化により、総人口の22.8%に当たる2852万人となり、前年比61万人増加した。75歳以上の人口は同15.0%の1880万人で、前年比9万人増、80歳の以上人口は同9.6%の1206万人で、同46万人増加している。

 総人口に占める高齢者人口の割合の推移をみると、50年の4.9%以降一貫して上昇しており、85年に10%、05年に20%を超え、21年は29.1%と総人口の3割直前にまで上昇した。

 今後の推計では、71年~74年の第2次ベビーブーム期に生まれた世代が65歳以上となる40年には、35.3%になると予測されている。

 日本の高齢化がいかに凄まじいものかは、各国の高齢化の状況と比較するとよくわかる。

 21年の日本の高齢者が総人口に占める割合29.1%は、世界で最も高く、群を抜いている。2位のイタリアでも23.6%、次いで、ポルトガル(23.1%)、フィンランド(23.0%)、ギリシャ(22.6%)となっており、イタリアとの間でも5.5%もの開きがある。

 主要国でも、ドイツ22.0%、フランス21.1%、イギリス18.8%、カナダ18.6%、米国17.0%、韓国16.6%、中国12.4%と、中国の倍以上の高齢化となっている。

 では、高齢者の姿にスポットを当ててみよう。20年の高齢者の就業者数は、04年以降、17年連続で前年比増加を続けており、906万人と過去最多となっている。

 20年の高齢者の就業率は25.1%となり、9年連続で上昇した。年齢階級別にみると、65~69歳は9年連続で上昇し49.6%に、70歳以上は4年連続で上昇し17.7%となった。

 高齢就業者数の前年比増減をみると、13年から16年までは主に65~69歳で増加、17年以降は主に70歳以上で増加している。これは、「団塊の世代」の年齢の動きにリンクしたものだ。団塊の世代の就業率が、高齢者の就業率を引き上げている。

 男女別にみると高齢者の男性の就業率は34.2%、女性は18.0%といずれも9年連続で上昇している。このうち65~69歳の就業率をみると男性は14年に50%を超え、20年は60.0%に、女性は14年に30%を超え、20年は39.9%となった。 15歳以上の就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.6%と過去最高を更新した。

 では、その働き方はどのようなものなのか。

 高齢雇用者(役員を除く)は510万人で、高齢就業者の57.0%を占める。自営業主・家族従業者が275万人で同30.7%、会社などの役員が110万人で同12.3%となっている。

 さらに、高齢雇用者(役員を除く)を雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が76.5%にも上っている。このうちパート・アルバイトの割合が52.5%と最も高い。また、高齢雇用者数の推移を雇用形態別にみると、正規の職員・従業員は10年の74万人から20年の120万人と46万人と増加し、1.62倍になったのに対して、非正規の職員・従業員は10年の163万人から20年の390万人と227万人増加し2.39倍になっている。

 定年後の“のんびりと豊かな暮らし”などは、過ぎ去った幻想でしかなくなってしまったのだろう。今や、65歳で定年を迎えても男性の6割、女性の4割が働いている。その上、その半数は非正規雇用者だ。

 直近、6月の生活保護受給世帯は163万1669世帯で、その55.8%に当たる90万9879世帯は高齢者世帯である。

  • 9/29 18:00
  • サイゾー

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