絵が描けなくても漫画ネームが作れる「World Maker」が面白い
―[デジタル四方山話]―
◆漫画ネームを作れるウェブサービス
漫画が大好きで自分でも描いてみたいが、時間やスキルがないという人も多いのではないだろうか。漫画を描くためのアプリもあるのだが、それでも絵が描けなければどうしようもない。そんな諦めている人に朗報。2021年9月22日、集英社から「World Maker」のオープンβがリリースされた。絵が描けない人手も漫画ネームを作れる無料のウェブサービスで、株式会社カヤックが企画・制作した。8月27日から500人限定のクローズドベータが発表されていたが、やっと誰でも利用できるようになった。
ネームなら描けそうと思っている人、ぜひチャレンジしてはいかがだろうか。Twitterアカウントでログインする必要があるので、メインアカウントで公開するのが恥ずかしい場合は、サブアカウントを用意しよう。途中で紐付けを変更することはできないので、あらかじめ用意しておくこと。
「ネームをつくる」→「新規でつくる」をタップしたら、いきなりネームの作成開始。コマごとにナレーションと吹き出しを入れて、テキストのたたき台を作る。新たにコマを分割して追加したり、ページを追加するには下のアイコンをタップする。
テキストの修正は後でもできるので、とりあえず、書きたい内容をどんどん追加していけばいい。コマ割りは後で修正できないが、まずは細かいところを気にせず、完成させることを目標とすればいいだろう。
◆使える画像素材はいろいろ
脚本が完成したら「次に進む」をクリックして、キャラクターや背景の選択画面に進む。テキストは後で変えられるが、コマ割りとページ構成は変更できなくなるので注意しよう。コマをタップして、配置したいパーツを選択する。「キャラ」「オノマトペ」「効果」など多数の素材が用意されており、「いらすとや」のイラストも利用できる。自分で撮影した画像もアップロード可能だ。
人物の場合は性別だけでなく、体のポーズや顔の表情まで細かく選択できる。パーツを選択すると、コマの中に配置されるのでサイズや位置を調整し、「完了」をタップする。これをすべてのコマで繰り返すだけだ。漫画を仕上げているわけではないので、ぴったりの背景やパーツがない場合、適当なものをチョイスしてもなんとかなる。まずは完成させてみよう。
漫画が完成したら、公開する。ツイートするかどうかは任意に選べる。発行されたURLを渡せば、誰でも「World Maker」で漫画を閲覧できるようになる。
◆漫画ネーム大賞も
最初は操作方法にちょっと手間取るが、いろいろいじっていれば、すぐに慣れる。コマ割りとパーツの配置を行ったり来たりできないのは不便に感じるがその分割り切って作れてしまうので、一長一短なのかもしれない。
約60万点の素材が使えるというので期待したが、キャラクターのポーズや表情の組み合わせが大多数を占め、漫画で活用する効果や記号、アイテム、背景などはそれほど多くはない。約1万6000点ある「いらすとや」が地味に活躍してくれそうだ。
とは言え、まだベータ版なので今後ブラッシュアップされていくことだろう。現時点でも問題なくネームは作れる。すでに大量の作品がTwitterに公開されている。興味があるなら、何はともあれ1本作って見よう。
もし、作成したネームに自信があるなら、「第1回 World Maker 漫画ネーム大賞」に応募してはいかがだろうか。なんと、応募期間は10月8日までと、ほとんど時間はないが、やる気になれば1日で作れる。
最大4ページまでのネームを作成し、「【少年ジャンプ+】Twitter公式アカウント」(@WorldMakerApp)をフォローして、指定ハッシュタグ「#WorldMaker」を付けて、漫画ネームの画像をツイートすれば、エントリーできる。
ネームのお題は「①どこか奇妙な異世界ファンタジー、②ある夏の日常について、③続きが気になる4ページの漫画」とのこと。大賞を受賞すると30万円の賞金に加え、漫画家に作画してもらえたうえ、ジャンプ+に掲載される。優秀賞も10名選ばれ、Amazonギフト券5000円をもらえる。
参加資格は不問で、参加費もないので、自分には眠れる才能があると思っている皆さん、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
<文/柳谷智宣>
―[デジタル四方山話]―
【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる