体を内側から守ろう! 感染リスクを減らすには、いつ・何を食べるかが大切

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 いまだ出口の見えないコロナ禍。ワクチン接種が進んでも、次々と現れる変異株や「ブレイクスルー感染」で、いっこうに気が休まりません。
 それに加えて今年は、乳幼児を中心にRSウイルス感染症が大流行。さらに、昨年は流行を見せなかったインフルエンザも、その反動によって流行の可能性が言われ始めています。

 手洗いやマスクの着用は当然として、あとは体の内側の“防衛網”を強化するしかない!冬本番を前に対策を行っていきましょう。

◆体内時計が狂っているとウイルス感染しやすい

 とはいえ、体の内側から対策をするってどうしたらいいの? 
「免疫系と体内時計には深い関係があり、正常な体内時計で生活リズムを維持することは感染症対策には重要」だと言うのは、体内時計研究の第一人者、早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授です。

 えっと、「体内時計」って、時間帯ごとにホルモンの分泌や自律神経の働きがコントロールされていて、それによって朝になると目が覚め、決まった時間にお腹がすいて、夜に眠くなる、という仕組みのことですよね? それが、免疫系にも関わっているとは!

「いくつかの実験結果から、早朝は人の免疫系の働きが弱まり、ウイルスに感染しやすいと推測されています。そして、体内時計が狂っていると、さらにウイルスに感染しやすく、重篤化しやすいということもわかっています」(柴田教授、以下同)

 その実験の一つ(※1)が、マウスを2グループ分け、それぞれ早朝と深夜に鼻からインフルエンザウイルスを入れて、15日目の死亡率を調べるというもの。結果は、夜遅くにウイルスを入れたマウスの死亡率は21%。一方、朝に入れたマウスの死亡率は71%!

「そして、時計遺伝子が働かなくなったマウスで同様の実験を行ったところ、夜にウイルスを入れたマウスの死亡率が84%と、格段に上がりました。体内時計が異常なマウスは、自然免疫の最前線で働く『NK細胞』の働きが低下していると考えられます」

 マウスでの実験とはいえ……体内時計がズレると、めっちゃ危険じゃないですか!

※1 Sengupta, S, SY Tang, JC Devine, ST Anderson, S Nayak, SL Zhang, A Valenzuela, DG Fisher, GR Grant, CB López, GA FitzGerald. Circadian control of lung inflammation in influenza infection. Nat Commun . 10(1):4107. 2019.

◆ステイホームで体内時計がおかしくなってない?

 柴田教授によると、体内時計は約24時間15分周期で、一日24時間より少し長め。このズレは、朝、太陽の光で目覚め、朝ごはんを食べることでリセットされるそうです。つまり、規則正しい生活こそが免疫系を維持することにつながるのです。また、脂肪分の多い食事も体内時計を乱す原因にもなるそう。

 かくいう私も通勤&身支度の時間がなくなったぶん、ダラダラと目覚め、「もうすぐ昼だから」と朝食を抜き、夜は夜でズルズルと夜更かし。生活リズム&食生活が乱れて免疫力を下げていたら、一体、なんのために家にこもっているのかわからなくなってしまいますよね。

◆体を内側から守るのに大切なのは「いつ何を食べるか」

 体内時計を整えるには、ちゃんと食事をするのに加えて、柴田教授の専門である「時間栄養学」の知見を用いると、より効果的だといいます。……時間栄養学って何でしょうか?

「体内時計のメカニズムに応じて、“いつ、何を”食べるべきかを研究する学問です。たとえば、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は、朝食べるとタンパク質の補給になり、夜食べるとカルシウムの吸収効率が上がります。このように、体内時計が食や栄養の吸収や代謝にどう影響するのか研究するのが時間栄養学です」

 そこで、体内時計の調節に効く食事術を教えてもらいました!
 とはいえ、「肉・魚・野菜をたっぷりと」と言われても忙しい平日には正直難しい。今回は、簡単でちょこっと摂れるものを中心に聞きました。

◆朝食には意識してタンパク質をたっぷりと

牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、バナナや卵などは、必須アミノ酸のひとつ『トリプトファン』を多く含みます。トリプトファンは眠気を促すホルモン『メラトニン』の生成に関わっていますので、積極的に摂るとスムーズな睡眠につながります。また、朝は慢性的にタンパク質が不足していると考えられます。乳製品や卵などタンパク質を朝食べると効率よく吸収することができますよ」

 “朝ステーキ”はさすがに胃に重たいので、トーストやシリアルに、卵料理や牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品をプラスするのがおすすめです。
 また前述のように、カルシウムの吸収率が高まる夜にも、タンパク質は大切。ラーメンやパスタですませた夜には、帰宅後に乳製品を摂るなどしましょう。

◆豆類や大豆加工食品が「早寝早起き」をサポート

「大豆などの豆類や大豆加工品に含まれるアミノ酸『L-セリン』は、リラックス効果で眠りを導く『GABA』の作用を強めて、心を落ち着かせる効果があります。また、体内時計のリセットをサポートする効果も期待できます」

 大豆加工食品にはタンパク質も豊富なので、朝食が和食党の人はぜひ納豆をつけて。また、夕食に食べるとナットウキナーゼが血液凝固の抑制に、イソフラボンが骨粗しょう症予防につながるそうで、夕食の一品としても◎だそう。

◆朝は緑茶、晩酌は赤ワインで

「緑茶にはカフェインが多く含まれ、朝飲むと細胞にある時計遺伝子をリセットすることができます。加えて、私たちの実験で肥満予防についても夕方より朝が効果的だとわかりました。また、赤ワインに含まれるポリフェノールは体内時計を改善させつつ、肥満を抑える効果があると考えられています」

 ちなみに、緑茶に含まれるカテキンには血糖値の上昇を抑える働きがあり、こちらは夜に飲むほうが効果的。ただし、カフェインは睡眠に影響を与えるのでご注意を。

◆体内時計の調整&肥満予防、Wに良いシークワーサー

「シークワーサーなどの柑橘系植物に多く含まれるポリフェノール『ノビレチン』は、ある時計遺伝子の働きにメリハリをつけます。さらに、ノビレチンは光が時計遺伝子に与えるのと同じような働きもしていて、乱れた体内時計を整えてくれます」

 ノビレチンは肥満を抑制しつつ、脂肪分たっぷりの食事で乱れた体内時計を整えるのにも効果的。また、血糖値の上昇を抑える働きもあるそうで、先付けにシークワーサーの酢の物とかよさそう! 最近では、「カルディ」などでも、シークワーサーの瓶づめ果汁が売られていますよね。

 今回紹介したのは、私たちが普通に食べているものばかりです。タイミングを少し意識するだけなので、体内時計を整えるのもそんなに難しくはないかも。日々の積み重ねで、体を内側から守っていきましょう!

【柴田重信氏 プロフィール】
早稲田大学先進理工学研究科電気・情報生命専攻薬理学研究室教授。
1953年生まれ。1976年 九州大学薬学部薬学科卒業。1981年同大大学院薬学研究科博士課程修了。薬学博士。早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より現職。日本時間栄養学会会長などを務める。著書に『食べる時間でこんなに変わる 時間栄養学入門』(2021年)、『時間栄養学: 時計遺伝子,体内時計,食生活をつなぐ』(2020年)など

<文/小山武蔵>


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