マウンティングの新トレンド「書籍マウント」の正体…有名女優も実は愛用
コロナ禍で不要不急の外出がしづらくなり、アウトドアにおけるマウンティングチャンスが大幅に減りつつある中、インドアでも可能なマウンティング手段の一つとして、書籍を使って自身の知性をチラ見せする「書籍マウント」が一部のトップエリートの間で流行の兆しを見せています。
マウンティングポリス連載の第12回では、この「書籍マウント」を体系的に整理した上で、「書籍マウント」を活用して「1億総マウント時代」を生き抜くための方法について徹底解説していきます。
「書籍マウント」にはいくつかのパターンがあります。本記事では、それらを難易度別に整理していきます。
◆(1)読書家マウント(難易度:★☆☆☆☆)
初級編としておすすめしたいのが「読書家マウント」。これは文字通り、読書家である自分を周囲に対して見せつけることによってマウントを取っていく方法です。マウンティング初心者でも比較的取り組みやすいオーソドックスな手法といえます。
以下に「読書家マウント」の具体例を示します。
「3連休はスタバで読書なう。(とドヤ気味にSNS投稿しつつ、アップした写真には付箋だらけの『ゼロ秒思考』)」
「多くの人はお金や名誉を追い求め続けるみたいだけど、僕の場合は本を読んでいるだけで毎日が幸せ。読書好きに育ててくれた両親には本当に感謝だ」
また、応用編として「国内ではなく海外で出版された書籍の翻訳書を読んでいる自分」をアピールすることでマウントを取っていく「翻訳書読んでるマウント」も有効です。
「好きな本? 基本的に洋書しか読まないからほとんど参考にならないかもしれないですね。申し訳ない」
「ファクトフルネスは良い本だと思うよ。僕の場合は数年前に原著で読んでしまったからあまり内容を事細かくは覚えていないんだけど、オススメはできるかな」
◆半歩先をいく「古典マウント」も効果的
さらに薄っぺらい本ではなく、重厚な本を日常的に読んでいる自分を演出したいなら「古典マウント」がおすすめです。
以下に「古典マウント」の具体例を示します。
「ビジネス書は、ほとんど読まないですね。それよりも普段は古典をよく読みます。実用書よりも古典のほうがよっぽど経営に役立つと思うんですよね」
「日本人として源氏物語を読んでいないとかありえない。そういう人は小学校からやり直したほうがいいと思うよ」
「ニーチェを読んでいたら1日が終わった。ほんと、何度読んでも新たな発見がある。何歳になっても学びの姿勢を忘れずに限りある人生を生きていきたいものですね」
◆(2)本棚マウント(難易度:★★★☆☆)
中級編としては「本棚マウント」を挙げたいと思います。これは読書家である事実を周囲にアピールしてマウントを取るのではなく、部屋の本棚を意識的に見せつけることによって、マウントに見えないようにマウントを取っていこうとする野心的な試みです。
皆さんもオンラインMTGの画面背景に学術書が並べられた本棚を見たことがあるのではないでしょうか。「本棚マウント」でお手本とすべきは、東京工業大学の西田准教授(以下、西田先生)です。
日本を代表する若手社会学者の一人として知られる西田先生ですが、同氏は学問研究に加えて、「本棚マウント」のセンスにおいても超一流です。例えば、経済同友会が主催したオンラインイベントでの背景の本棚の使い方はまさに圧巻といっていいでしょう。
また、「東京工業大学 西田研」のホームページに記載されている本棚の写真も一見の価値アリです。西田研に関心がある方は、「西田研への進学(各課程共通事項)」に目を通してみると良いでしょう。
◆ハリウッド女優も実践する「本棚マウント」
西田先生ほど圧倒的ではないものの、ハリウッド女優であるナタリー・ポートマンの本棚も参考になります。
本棚に並ぶ書籍の冊数では西田先生に遠く及ばないものの、『サピエンス全史』をチラ見せするなど、知的で洗練されたスマートな感じのマウンティングセンスが伝わってくる良い本棚だと思います。
必要に応じて、参考にするといいでしょう。
◆(3)原稿執筆マウント(難易度:★★★★★)
最後に、上級編として「原稿執筆マウント」を紹介させていただきます。
これは本を「読む立場」ではなく、「書く立場」にならないと不可能なマウントであり、一部の特権的なエリートにのみ許されたマウンティングであるという点で、非常に高度であるといえます。
以下に原稿執筆マウントの具体例を示します。
「ふう、3連休で原稿を進めないと……編集者さんに怒られちゃうよ……」
「原稿を書くためにホテルにこもったのに、ホテルがおしゃれすぎて執筆に集中できない……どうしよう……」
「週末で集中的に原稿を書き上げないといけないのに、子供に邪魔されてなかなか筆が進まない。参ったな……」
その他、謝辞で自分を支えてくれた人々に対してやたらと感謝を述べる著者がいますが、あの箇所に若干のマウント感を感じるのは私だけでしょうか。
◆「書籍マウント」を使いこなして「1億総マウント時代」を生き抜く
上記を参考に、「読書家マウント」から始めて、「本棚マウント」をマスターし、「原稿執筆マウント」を展開できれば、あなたは「1億総マウント時代」に相応しい輝かしいキャリアの土台を築くことができるでしょう。
注意すべきは、原稿執筆後に書籍が売れてベストセラーになった場合です。著者が現役の経営者の場合、書籍が売れすぎてしまうと、出版依頼が相次ぎ、本業よりも書籍執筆に一生懸命になってしまうケースが見られます。こうなると、本業の業績が悪化してしまい、逆に中長期的なマウントが取れなくなってしまいがちです。
マウントフルな人生を設計する上で何よりも大切なことは、「常に自分自身のマウント欲求に自覚的であること」「短期的なマウントではなく中長期的なマウントを優先すること」です。
私自身、宇宙船マウンティング地球号の乗組員の一人として、肝に銘じていきたいと考えています。
【マウンティングポリス】
「人間のあらゆる行動はマウンティング欲求によって支配されている」「マウンティングを制する者は人生を制する」を信条に、世の中に存在する様々なマウンティング事例を収集・分析し、情報発信を行う。ツイッターアカウント@mountingpolice
マウンティングポリス連載の第12回では、この「書籍マウント」を体系的に整理した上で、「書籍マウント」を活用して「1億総マウント時代」を生き抜くための方法について徹底解説していきます。
「書籍マウント」にはいくつかのパターンがあります。本記事では、それらを難易度別に整理していきます。
◆(1)読書家マウント(難易度:★☆☆☆☆)
初級編としておすすめしたいのが「読書家マウント」。これは文字通り、読書家である自分を周囲に対して見せつけることによってマウントを取っていく方法です。マウンティング初心者でも比較的取り組みやすいオーソドックスな手法といえます。
以下に「読書家マウント」の具体例を示します。
「3連休はスタバで読書なう。(とドヤ気味にSNS投稿しつつ、アップした写真には付箋だらけの『ゼロ秒思考』)」
「多くの人はお金や名誉を追い求め続けるみたいだけど、僕の場合は本を読んでいるだけで毎日が幸せ。読書好きに育ててくれた両親には本当に感謝だ」
また、応用編として「国内ではなく海外で出版された書籍の翻訳書を読んでいる自分」をアピールすることでマウントを取っていく「翻訳書読んでるマウント」も有効です。
「好きな本? 基本的に洋書しか読まないからほとんど参考にならないかもしれないですね。申し訳ない」
「ファクトフルネスは良い本だと思うよ。僕の場合は数年前に原著で読んでしまったからあまり内容を事細かくは覚えていないんだけど、オススメはできるかな」
◆半歩先をいく「古典マウント」も効果的
さらに薄っぺらい本ではなく、重厚な本を日常的に読んでいる自分を演出したいなら「古典マウント」がおすすめです。
以下に「古典マウント」の具体例を示します。
「ビジネス書は、ほとんど読まないですね。それよりも普段は古典をよく読みます。実用書よりも古典のほうがよっぽど経営に役立つと思うんですよね」
「日本人として源氏物語を読んでいないとかありえない。そういう人は小学校からやり直したほうがいいと思うよ」
「ニーチェを読んでいたら1日が終わった。ほんと、何度読んでも新たな発見がある。何歳になっても学びの姿勢を忘れずに限りある人生を生きていきたいものですね」
◆(2)本棚マウント(難易度:★★★☆☆)
中級編としては「本棚マウント」を挙げたいと思います。これは読書家である事実を周囲にアピールしてマウントを取るのではなく、部屋の本棚を意識的に見せつけることによって、マウントに見えないようにマウントを取っていこうとする野心的な試みです。
皆さんもオンラインMTGの画面背景に学術書が並べられた本棚を見たことがあるのではないでしょうか。「本棚マウント」でお手本とすべきは、東京工業大学の西田准教授(以下、西田先生)です。
日本を代表する若手社会学者の一人として知られる西田先生ですが、同氏は学問研究に加えて、「本棚マウント」のセンスにおいても超一流です。例えば、経済同友会が主催したオンラインイベントでの背景の本棚の使い方はまさに圧巻といっていいでしょう。
また、「東京工業大学 西田研」のホームページに記載されている本棚の写真も一見の価値アリです。西田研に関心がある方は、「西田研への進学(各課程共通事項)」に目を通してみると良いでしょう。
◆ハリウッド女優も実践する「本棚マウント」
西田先生ほど圧倒的ではないものの、ハリウッド女優であるナタリー・ポートマンの本棚も参考になります。
本棚に並ぶ書籍の冊数では西田先生に遠く及ばないものの、『サピエンス全史』をチラ見せするなど、知的で洗練されたスマートな感じのマウンティングセンスが伝わってくる良い本棚だと思います。
必要に応じて、参考にするといいでしょう。
◆(3)原稿執筆マウント(難易度:★★★★★)
最後に、上級編として「原稿執筆マウント」を紹介させていただきます。
これは本を「読む立場」ではなく、「書く立場」にならないと不可能なマウントであり、一部の特権的なエリートにのみ許されたマウンティングであるという点で、非常に高度であるといえます。
以下に原稿執筆マウントの具体例を示します。
「ふう、3連休で原稿を進めないと……編集者さんに怒られちゃうよ……」
「原稿を書くためにホテルにこもったのに、ホテルがおしゃれすぎて執筆に集中できない……どうしよう……」
「週末で集中的に原稿を書き上げないといけないのに、子供に邪魔されてなかなか筆が進まない。参ったな……」
その他、謝辞で自分を支えてくれた人々に対してやたらと感謝を述べる著者がいますが、あの箇所に若干のマウント感を感じるのは私だけでしょうか。
◆「書籍マウント」を使いこなして「1億総マウント時代」を生き抜く
上記を参考に、「読書家マウント」から始めて、「本棚マウント」をマスターし、「原稿執筆マウント」を展開できれば、あなたは「1億総マウント時代」に相応しい輝かしいキャリアの土台を築くことができるでしょう。
注意すべきは、原稿執筆後に書籍が売れてベストセラーになった場合です。著者が現役の経営者の場合、書籍が売れすぎてしまうと、出版依頼が相次ぎ、本業よりも書籍執筆に一生懸命になってしまうケースが見られます。こうなると、本業の業績が悪化してしまい、逆に中長期的なマウントが取れなくなってしまいがちです。
マウントフルな人生を設計する上で何よりも大切なことは、「常に自分自身のマウント欲求に自覚的であること」「短期的なマウントではなく中長期的なマウントを優先すること」です。
私自身、宇宙船マウンティング地球号の乗組員の一人として、肝に銘じていきたいと考えています。
【マウンティングポリス】
「人間のあらゆる行動はマウンティング欲求によって支配されている」「マウンティングを制する者は人生を制する」を信条に、世の中に存在する様々なマウンティング事例を収集・分析し、情報発信を行う。ツイッターアカウント@mountingpolice
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- 9/27 15:52
- 日刊SPA!