一撃最大3000枚も可能なスロット6.2号機。パチスロ内規改正の詳細を解説

◆6.2号機は何が変わったのか?

 この9月から、6.2号機という新しいカテゴリーのパチスロがホールに導入されました。具体的に今まで大きく変わった点は、有利区間の上限が1500Gから3000Gになったこと。これによって「ゲーム性の幅が広がる」(あるメーカー開発者)と期待されています。

 ただこれはあくまで自主規制の枠組み内のものであり、それ故に呼称としては「.2」という小数点の数字のみの変更となっています。ちなみにこれまでは6.1号機だったわけですが、大枠である6号機には変わりありません。

 この呼称や規制などは専門誌を熟読するようなマニアでなければなかなか理解されていない方も多いと思いますので、ここで改めてパチスロの6号機についての概要を説明しておきましょう。

◆パチスロの規則ってそもそも何なのだ?

 まず6号機というのは、2018年2月1に施行された新しい遊技機の規則(※正式には遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則といいます)に則ったパチスロに付けられるものです。それまでのパチスロは5号機と呼ばれていて、この「○号機」という「○」の部分に入る数字は規則の改正にあわせて更新されてきました。

 そもそも規則ってなんだということになりますが、これはパチンコやパチスロといった遊技機を製造するにあたり最もベースになるもの。出玉率から役の種類、さらには筐体の構造といったものまで規則に定められており、これを満たさない遊技機はホールでの営業に供することはできません。

 そして規則を定めるのは行政で、その根幹となるのは「著しく射幸心を煽らない」こと。射幸性が高いほど人気になるのは、遊技という名目はあっても実質的にはギャンブルであるだけに必然であり、これに一定の歯止めをかけるのが規則の目的だと言えるでしょう。

 だから射幸性が行き過ぎていると行政が判断したタイミングで規則改正が行われるのが常で、「爆裂」という言葉が当たり前のようにまかり通っていた4号機から5号機の時もそうでしたし、5号機から6号機の時も同様です。

◆6.2号機の「.2」が意味すること

「○号機」の「○」は規則改正にあわせて更新されるわけで、それでは前述の「.2」みたいなものはどうなのか。これは規則という大枠は維持しつつ、その範囲内で何らかの何らかの変更が行われた際に付けられるものになります。この変更は内規というメーカー間の話し合いで決められる自主的な枠組みがほとんどで、行政の顔色を見つつ規制の方向にというのがほとんど。

 4号機の時は「適度な射幸性を超えないようにするため」に4.1号機となり、さらに射幸性を抑制した4.5号機、4.7号機と変化していきました。また5号機の時も同様に、事実上野放しになっていたサブ基板による出玉管理を禁止したり純増枚数を制限した5.5号機となり、さらに有利区間問という概念が導入された5.9号機が登場しました。

 この有利区間は6号機にも継承されているもので、要はAT機やART機に欠かせない「指示機能=ナビを出せる状態」にある区間のこと。これに上限を設けることで射幸性を抑制できるという考えで、5.9号機の場合には最大1500G、これに5.5号機で盛り込まれた純増枚数の上限である2.0枚をかけると、一撃で獲得できる最大枚数は3000枚になります。

◆有利区間と最高獲得枚数

 5.5号機までのパチスロにはこの上限がないため、ヒキ次第では出っ放しになって一撃万枚なんていうこともあり、多くのファンはそうなることを期待していたわけですが、出玉の上限ができてしまったために5.9号機はまともなヒット機種が生まれない状況に。さらに6号機では1500Gという有利区間の上限は引き継がれたものの、一撃での最高獲得は2400枚に制限されることに。

 ただし5.9号機では有利区間の比率は最大で70%だったのに対し、6号機ではその規制が撤廃。これによってAT機など指示機能を用いる機種においては、ほぼ有利区間に滞在している状態(※有利区間がリセットされても、数ゲームで有利区間に突入する)になります。

 吸い込んでいるのに有利区間とはこれいかにという感もありますが、有利区間滞在中は設計の自由度が高いというメリットがあり、5.9号機にはなかった天井も復活。また純増枚数の制限も撤廃されたことで、純増約9.0枚なんていう機種も登場しています。

◆規則は厳しいが何でもアリの6号機

 つまり1500Gか2400枚という上限さえ守っていれば、出玉試験さえクリアできれば何でももアリとでも言える状況になったのが6号機と言えるでしょう。ただ規則の縛りは厳しく、出玉率の上限が引き下げられると同時に出玉率の下限は引き上げれられ、何でもありとはいっても極端な出玉の波を持たせては試験をクリアすることはできません。

 結果、出玉率の下限が引き上げれらたためにベースが高いばかりで当たりが重くなり、また特定のゲーム数までは当たりが期待できない無抽選区間やせっかく当てても大した出玉が期待できない弱ATなんていうシステムが、苦肉の策ではあろうかと思いますが、6号機では登場します。他にも最終的な出玉は高設定の方が獲得しやすいけど、低設定の方が出玉の波が荒くて射幸性の面では魅力的なんていう状況にもなっています。

 そして試験を通しやすくする、つまり意図していない出玉の上振れを防止するための「デキレ」を強く感じさせる機種もあり、確率の高低はあってもスタートレバーを叩けばとりあえず抽選してくれるというパチスロの大前提さえ否定されるような方向にもなりました。その結果が一時的には話題になっても人気は長続きしない、そもそも「どうせ6号機だから」とファンからもホールからも期待さえされないという現状です。

◆パチスロの歴史上、規制が緩和されたことはほとんどない

 それでも現行規則が施行されてから3年、コロナ禍の影響で1年延長されたので4年になりますが、経過措置が終わる来年1月31日には5号機が完全に撤去されます。

 それまでに6号機がファンにとっては魅力的な、ホールにとっては使えるものになっていなければなりません。そこで規則の範囲内で可能なことを行政に陳情し、内規を改めたものとして昨年にはコイン持ちを低くし当たりを軽くできたり、他にもリール演出や液晶リールが可能になった6.1号機が、そしてこの9月には有利区間が3000Gになった6.2号機が登場しています。

 内規は規制される方向にがほとんどと前述していますが、こと6号機に関しては「.1」から「.2」と緩和の方向になっているのは歓迎すべきだと思いますし、これまでのパチスロの流れでは滅多になかったことですから。

 5号機の時にも最初はまったく人気がなかったものが、陳情した結果として認められたことがきっかけとなって発展していっただけに、今回もきっとそうなってくれるのではないかと期待しているんですが、さてどうなるんでしょうか……

文/キム・ラモーン

【キム・ラモーン】

ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。

2021/9/27 8:29

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