【勝負の分かれ目 オールカマー】ウインマリリンが内から弾けて重賞3勝目

 ゲートが開くと、横山武史が乗る1番ウインマリリン、15番ロザムール、12番レイパパレらが速いスタートを切った。

 スタンド前でロザムールが内に切れ込みながらハナに立ち、内のウインマリリンと、馬場の真ん中を進むレイパパレが、馬体を離して2番手を並走する。

 やや行きたがっているレイパパレの外に、アールスターが馬体を併せてきて、1コーナーへと入って行く。

 先頭はロザムール、2番手はレイパパレ、3番手の内にウインマリリン、少し遅れた外にアールスターがいる。差なく、ステイフーリッシュ、ウインキートスらがつづく。

「日経賞(1着)が強かったので、それと同じような競馬ができればと思っていました。1枠1番を引きましたし、ロザムールの後ろが取れれば、と。自分の思い描いていたレースができて、とてもよかったです」と横山。

 1000m通過は1分0秒7。

 3コーナーに入ると、後方につけていたグローリーヴェイズが外から一気に進出してきて、ラスト600m付近で先頭を射程にとらえ、レイパパレの外に並びかけた。

 ウインマリリンは、引っ張り切れないほどの手応えで3番手の内を進み、抜け出すタイミングを計っている。しかし、3、4コーナーでは前があかず、横山が手綱を押さえたまま直線に入った。

 直線入口で、先頭のロザムールの外にレイパパレが並びかけ、じわじわとかわしにかかった。それにより、直後にいたウインマリリンの進路がなくなった。

 横山は手綱を引いて、レイパパレの外に進路を切り替え、ゴーサインを出した。

「ロザムールとレイパパレの間を狙ったのですが、狭くなって、1回立て直すもったいないシーンがあったのですが、馬の力に救われました」と横山。

 レイパパレの外からグローリーヴェイズが迫ってきていたが、態勢を立て直したウインマリリンのほうが脚色がいい。

 ウインマリリンは、グローリーヴェイズがレイパパレに並びかけるより先にこれら2頭の間に馬体をねじ込み、そして、突き抜けた。

 ウインマリリンが、外から追い上げてきたウインキートスに1馬身半の差をつけ、重賞3勝目をマークした。

 本人は「馬に助けられた」と謙遜するが、最後に弾けることを信じ、内で動かずにいた横山の思い切った騎乗が光った。

 1番人気に支持されたレイパパレは4着に敗れた。序盤で行きたがったことが響いたようだが、だからといって逃げてしまうと、先々の競馬の幅が狭まってしまう。最後は、1、2着馬より1キロ重い56キロも、微妙にこたえたのかもしれない。

(文:島田明宏)

2021/9/26 18:15

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます