キスマイ北山宏光、人懐っこい笑顔からの落差…振り幅と繊細さ光る『ただリコ』の名演

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ドラマホリック!『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京 水曜深夜0時)の第11話が放送された。SNSでは「俳優陣の目の演技が特に良い。目を見るだけで感情が伝わってくる」「北山くんの表情の移り変わりに目が釘付けになる」「辛過ぎてまともに息してなかった」「このドラマ、何が正解か分からない」など、役者陣の演技への称賛、トンデモ展開への反響、さらには佐野(深水元基)に同情する声、仁科(杉本哲太)の舎弟・藪(山口祥行)に対する投稿など、さまざまな反響が上がっている。


監禁した佐野の脱出、仁科の暗躍、創甫(北川拓実)の襲撃と物語が大きく動くこととなった第11話。正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)にとっては、まさに“天国と地獄”が待ちかねていた。正隆を演じる北山宏光も覚悟、清々しさ、解放、動揺、怯え、絶望とめまぐるしく変わる感情の見せ方が秀逸だったことが見て取れる。



まずは監禁していた佐野が逃亡したことにより、「もう、死ぬか」と雪映に語りかけた正隆。目をつぶったまま、表情は何もない。しかし、雪映が「私、決めたの。3人で生きていくって」という言葉を受け、「生きよう。この先何が待っていても」と雪映を見つめる正隆の目には今までにない覚悟が現れていた。あっという間の冒頭だったが、薄暗い朝焼けの室内で北山の目力が印象的である。


車に荷物を積み込み、家を出た正隆と雪映はとても逃亡を図ったとは思えないほど、美しく映っている。殺人、死体遺棄、監禁などいくつもの罪を犯してきたとは思えないほど幸せそうだ。さんさんと陽が降り注ぐ波打ち際で歩きながら「今が一番幸せ」という雪映と正隆は、普通のラブストーリーを見ているように感じさせる。優しい笑顔と人懐っこい言葉をつづる北山のキュンキュンするドラマが見たくなってしまうほど。しかし、「殺人共同生活144日目」というテロップが嫌でも2人の暗鬱な現実を思い起こさせる。そしていかにも地方らしい食堂で笑いながら食事をするイチャラブシーン。これだよ、こういうドラマが見たかったんだよ! と思った人も多かったに違いない。それほど北山の表情が普通なのだ。


佐野の死を知り、家に戻ってきた2人。「また戻ってこられるなんて思わなかった」という雪映に対し、家から外を眺める北山はまたも無表情といってよい。ただ少し上を向いた目だけが、もう怯える必要はない、以前の生活に戻れるんだ、今度こそ雪映を幸せにしてやるんだ、と言っているように見える。もしかしたらメイクの力かもしれない、ライティング、カメラマンの腕かもしれない。それでも何かから解放された険のない目をする北山の演技なしに、この清々しさは感じられなかったろう。


雪映の妹、菜穂(西川可奈子)に夫と認められ、雪映と産婦人科に行き、新しい仕事も決まった。編集部でライターとして仕事を依頼され、大きな笑顔を浮かべる正隆。この笑顔こそ本来の北山の魅力といっていい。その帰り道、ビルでエレベーターに乗り、降りていく。何気ないシーンだが、この下降するエレベーターが天国から地獄へ落ちる片道切符のような演出である。ゴォーという音だけが響くエレベーターは不気味としか言いようがない。ドラマの序盤でも、正隆がこのエレベーターに乗って降りるたび、正隆の人生は一段ずつ堕ちていった。


地獄の門を真っ先に開いたのは創甫だった。突然、街中でナイフを持って正隆に襲い掛かる。ナイフを刺そうと「死ね、死ね、死ね」という創甫に、萌を思い出した人も多かったかもしれない。全然、顔は違うのに萌と似ていると思ってしまったほど。必死に応戦する正隆だが、目を見開いた演技を見せる北山も、きっとそのことを意識しているだろう。ただ襲われているだけの恐怖ではない。「姉ちゃんを返せ」という創甫に萌を重ね、狼狽したような表情も見せている。警官に取り押さえられた創甫を見つめながら、正隆はようやく思い出す。俺は萌を殺したんだ……と。ちょっと切なさも交えて呆然となったような微妙な表情が、そう物語っている。現場での演出家のハードルは、きっとかなり高かったのだろう。それほどまで複雑な正隆の思いを北山が体現しているからだ。家に戻り、創甫に切り付けられたダウンジャケットを見て、再び陰鬱な雰囲気をかもし出す正隆。もう、戻れない、やっぱり以前の日常には戻れないんだ、と認識しているかのようである。


だが、地獄はこれで終わらない。佐野を殺した仁科が家へやって来る。萌の遺体を掘り起こしている正隆と雪映の写真を持って。絶望する正隆に雪映は語りかける。「殺そう」と。決意を固めた雪映の言葉に正隆は首を振り、涙ぐむ。そのときの正隆が、雪映におびえているのか、再び人を殺さなければならない状況におびえているのか、そうさせてしまった自分への後悔なのかは分からない。だが、最後に見せた決意のような目。あれは何を意味しているのか……。


それにしても佐野は今回、仁科に簡単に殺されてしまった。佐野は粗暴で正隆から金を引き出そうとする最悪なキャラクターといっていい。だが、正隆たちに監禁され、おむつ姿で逃亡し、焼き殺されてしまった佐野を見ていると、どこか愛着のようなものまで覚えてしまう。それほど見事な役作りでもあった。


絶望感が続いてきた中で、一筋の光のようなものが映し出され、転落していった今回。最終回となる次週が壮絶な展開になるだろうということが予想できる。もう残り1話、最後まで北山の演技から目が離せそうもない。


文:今 泉



第12話あらすじ

佐野(深水元基)が死んだことによって自分達の罪を知る人物がいなくなり、平穏な暮らしができると思って安堵していた正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)。その矢先、ヤクザの仁科(杉本哲太)が2人の元にやってくる。


仁科は2人が萌(萩原みのり)の遺体を掘り起こす写真を見せ、1億で買い取るよう要求し…!?夫婦は再び、絶望の淵に追い込まれる。

いよいよクライマックス!殺人を犯した夫婦が辿る運命とは!?



■ドラマホリック!「ただ離婚してないだけ」
毎週水曜 深夜0時放送
放送局:テレビ東京ほか
配信:動画配信サービス『Paravi』『ひかりTV』にて配信予定

©「ただ離婚してないだけ」製作委員会

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  • dwango.jp news

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