名古屋めしの代表格が絶滅寸前?愛知県民のきしめん離れを救った「きしころ」っていったい何?!

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愛知県民が愛する名古屋めしの独特な魅力には、取り憑かれた他県民も多いだろう。名古屋に行くたびに味噌煮込みうどんに味噌カツ、あんかけパスタに鉄板パスタ、台湾ラーメン、手羽先、喫茶店のモーニングと多種多様なおいしさを味わうのは楽しい。

そんな名古屋めしの代表的な麺がきしめん。あの平たいうどんのような、と誰もが知ってるはずのきしめんだが、食べたことあるかと聞かれるとあれ?ほとんどない。あまりに定番すぎて、なんとなく後回しになって結局食べないままでいた。

これは愛知県民も同じらしく、街で聞くとみなさんそっけない。
「そんなに食べなくなったね、数ヶ月に一回」「食べ慣れすぎて、もういいかな」
実はここ数年、各メディアでじわじわと「愛知県民のきしめん離れ」が取り沙汰されてきている。名古屋めしの中でも歴史があるはずのきしめんが絶滅の危機に瀕しているのか?

きしめんは専門店が少なく、お蕎麦屋さんやうどん屋さんで提供するのが一般的。そういうお店はピーク時の’89年には1200軒以上あったのが、現在は1/4に激減している。

愛知県麺類食堂生活衛生同業組合の常務理事、中山義規さんに聞くと「作る側にも問題があったかもしれませんね。作るのが面倒臭いからやめてしまう。」と意外なことをおっしゃる。薄く伸ばして平たく切る作業は大変で、うどんの2倍以上手間がかかるという。やめるのもわかるというもの。

このままきしめんは絶滅するのか?ところが調べてみると、きしめんなどの平麺の生産量は2009年を境にV字回復を果たしていた!これは、きしめん復活の兆しか?実はそこにはキーマンがいた。名古屋の老舗食堂、角千の店主、加古守さんだ。

「このままではきしめんが消えちゃう、なんとか復権しなきゃと2008年に『愛知県きしめん普及委員会』を作りました。」へー!

きしめん復活をかけて、委員会ではきしめん無料配布や小学校でのきしめん手打ち体験など様々な活動をはじめた。さらに原料にも注目。
「昔は小麦が外国産でしたが、名物のきしめんが外国産では様にならない。県も含め生産者にも協力してもらって麺用の小麦を開発しようとなりました。」
そして2011年、きしめん用の新品種「きぬあかり」が誕生。
「本当に優秀な麦を開発してもらったので、ますますきしめんがおいしくなります」
その作付面積は7年間で33倍に拡大したそうだ。

そしてきしめん復活の鍵は、食べ方にもある。
街で出会ったドラゴンズファンのお父さんが「きしめんは先ほど昼に食べました。夏場だと“ころ”にいっちゃいます。冷たいきしめんをころきしめんと呼ぶんです。」と教えてくれた。

そう聞いてあらためてきしめん店に行くと「きしころ冷えてます」の暖簾が!きしころ?

この「きしころ」こそ、きしめん復活の期待の原動力。冷たい麺に冷たいつゆで食べるきしめんのことで、静かなブームになりつつある。
お客さんが言うには「麺がシコシコつるつるで喉越しが良い」そうだ。確かに平たい麺のよさは冷たい方が合いそう。さらに今年で7回目を迎えた「きしころスタンプラリー」もきしころ普及を促進している。

お店の側も盛り上がってきた。きしめん店、四代目一八の専務取締役・上田隆人さんは金鯱カラーのシャツで張り切っている。
「5年前に父から継いで2店舗増え、10月には名古屋市栄に名古屋な感じの店舗をオープンします。」シャツ同様、金鯱カラーの派手な店舗で勢いを感じる。

また名古屋のおしゃれスポット、星が丘テラスに行くと人だかりができている。きしめん専門店、星が丘製麺所が大人気なのだ。透き通った冷たいつゆに輪切りのすだちがのったきしころが、何ともフォトジェニック!もちろん、小麦はきぬあかりを使っている。
妙に女子が多い店内でお客さんに聞くと、
「インスタで見ておいしそうだなと思って来ました。きしめんやっぱり好きですね」
おしゃれな雰囲気ときしころの魅力で、きしめんを再発見してくれた様子だ。

これは居ても立っても居られなくなってきた。名古屋に行ったら、最新の名古屋めし、きしころを食べるしかないね!

【文:境 治】

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