フットサル日本代表、W杯ベスト16で姿消す…強豪ブラジルに惜敗 指揮官語る収穫と課題

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 フットサル日本代表は23日、FIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021決勝トーナメント1回戦に臨んだ。

 史上初のベスト8進出を目指して戦う相手は、強豪・ブラジル代表。チームを率いるブルーノ・ガルシア監督はブラジルを「巨大な相手」と表現しながらも、「トーナメント表が決まったときに、ブラジルと当たる可能性も念頭にスカウティングをしてきた」と自信をのぞかせていた。日本はその言葉どおり、序盤から集中した入りを見せた。そして、4分にはGKピレス・イゴールのアシストからFP星翔太が左足で強烈なシュートを放ち、先制に成功する。しかし5分、ブラジルGKギッタのロングスローを収めたFPフェラオに反転シュートを決められ試合は振り出しに戻った。その後はこれまで出場時間に恵まれなかった選手も起用しながら、ブラジルの圧力をしっかり押さえ、GKイゴールの好セーブにも何度も助けられて第1ピリオドを1-1で終えた。

 フットサルワールドカップの最多優勝回数を誇るブラジルは、2016年大会でイランに敗れベスト16で大会を去っているため、2大会連続でアジアのチームの負けることは許されず、第2ピリオドでは序盤から追加点を狙ってくることが予想された。強度を下げずに対応することが要求されるなか、日本は集中したプレーを見せ、全員が守備面でカバーをし合う。しかし徐々に疲労の影響が出始めた31分、右サイドを突破したFPレオナルドがGKイゴールを右にかわしてゴールを決め、初めてリードを許した。

 試合終盤にファウルを重ねたブラジルは、5分を残しチームファウルが5つとなる。相手の6つ目のファウルで第2PKを獲得する可能性も生まれた日本だったが、38分には後方からの浮き球を胸で受けたFPピトのゴールでリードを広げられる。2点ビハインドとなった日本は、FPオリベイラ・アルトゥールをGKに置き、パワープレーを開始。するとこれが功を奏し、FP逸見勝利ラファエルが放ったシュートの跳ね返りをFP西谷良介が左足で叩き込み、1点差へと迫った。その後もパワープレーをつづけた日本だったが、相手の守備の圧力やパワープレー返しのリスクもあってか、消極的なプレーを選択する場面もあり、ゴールを奪えない。すると試合時間残り5秒、一瞬の隙を突かれた日本はFPピトにボールを運ばれ、右サイドを並走するガデイアにボールが渡った。ゴール前に戻ったFPアルトゥールが一度はシュートを止めるが、再度シュートを打たれ2-4に。このまま試合が終了し、フットサル日本代表はベスト16で姿を消すことになった。

 敗れた日本のブルーノ・ガルシア監督は、試合後にインタビューに応じた。

―――試合を振り返った感想を教えてください。

いいゲーム、素晴らしいゲームだったと思います。何よりもゲームプランとして描いていた、終盤まで同点あるいは1点差くらいで進めていくというところは完全にこなしました。私たちのほうがチャンスはあったと思いますが、強大な相手なのでタレントの力でわずかな隙を逃さず決めてきます。そういう武器があるところで、ディテールで結果が出てしまったところはあると思います。ですが、プランに関してはほぼ完璧な流れで進めることができた、いいゲームだったと思っています。

―――この大会を通して、スペインやブラジルと素晴らしい戦いをし、世界にも「日本は強いチームだ」という印象を与えました。手ごたえを教えてください。

非常にポジティブな結論が出ると思います。中身についてはゆっくり冷静に振り返る必要がありますが、大会を通じてのこのようなパフォーマンスは、(2016年大会出場を逃したことで)元の姿に立ち戻るだけでなく、そこからさらに前進した姿を見せることができたと思います。ブラジルは代表選手全員が、世界でもトップのリーグ、トップのクラブで活躍している選手のなかから選ばれています。そういった相手にこういったゲームができたことは誇るべきことですし、我々の選手たちは磨き上げていく余地はありますが、5年間の積み重ね、選手と私たちの共同作業の成果が確認でき、大きなステップアップができたと感じています。

―――監督の5年間の仕事のなかで、できた部分、足りなかった部分を教えてください。

自分がしてきたことというより感じたことですが、日本は(コロナ禍の影響もあり)9年間もワールドカップに出場していなかったという事実がありました。ですが、そういうことが起きてはいけない国だと思います。実力ももちろんですが、今回のような誇らしいゲームに至るにはたくさんの仕掛け、組織的な取り組みで強化された複数の層での選手構成がありました。他の国はそれを継続的に作っていきながら、ワールドカップを戦っています。我々は一度ワールドカップという経験を失った状態です。(ピッチに立った)14名のうちワールドカップの経験があるの2人という状況のなかで、列強の経験者に満ちたチームと戦わなくてはならないのは、非常に難しいことです。やはりレベルを落とさずに、継続して国際経験の機会を失わないことが必要だと改めて思っています。

―――目標としていたワールドカップが終わりました。どのような5年間でしたか。

本当に素晴らしい5年間でした。自分自身も家族も周囲によくしてもらいましたし、日常的にハッピーに過ごすことができていました。しかし、最後の2年は社会的にも状況が変わってしまい、違う流れとなりました。クラブの監督であれば基本的に毎週ゲームがあり、生活をしていきますが、代表チームはもう少し長いスパンで見ていくものです。それが最後の2年は18カ月ぶりの国際試合になるような特殊な状況で難しい部分もありましたが、みんなで柔軟に適応しながら仕事を進め、ここまでくることができたということも踏まえ、素晴らしい5年間だったと思います。

競技面でひとつ補足をすると、AFCフットサル選手権の中止は大きな打撃がありました。就任してまだそこまで時間が経っていなかった2018年に表彰台に立ち戻ることができ、2020年は確実に優勝できるというつもりで準備をしてきました。しかし、それが叶いませんでした。ワールドカップにそのまま出場し、ベスト16の先に進むことはできませんでしたが、こういうゲームができるようになったことは、競技面の困難があったにせよ素晴らしいことだったと思います。

―――グループステージの疲労があるなか、ノックアウトステージでこのように競った試合ができたことに驚きがあります。同時に海外でのプレー経験がある選手は年齢的にも代表を抜けていくのではないかと思いますが、日本の強化のためにはFリーグに期待をするべきか、どんどん海外に挑戦するべきか、どちらでしょうか。

両方だと思います。Fリーグがスペインやブラジル、ポルトガル、ロシアのようなリーグになっていく取り組みは継続的に行わなくてはりません。しかし、それは一足飛びにはいきません。日本は今日(9月23日)、Fリーグ開幕から丸14年を迎えましたが、スペインは40年、ブラジルはそれ以上、各国が時間をかけて今の状況を作っています。なので、継続して取り組むことは必要ですが、それを待っているだけでは強化の継続は難しいと思います。優秀な若い選手たちが海外のトップリーグで経験を積んで、レベルを体感して力にしていくことも必要です。両方のバランスを取りながら並行して進めていくべきことだと思います。また、選手だけでなく絶対的に必要だと感じているのが、日本の指導者が海外の重要なリーグで指導することを目指すということです。そういったいくつかの考え方を合わせ、複層を成した戦略を実行することが必要だと思います。

取材・文=しょうこ

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