ひろゆきが絶対に必要だと感じる「義務教育で本当に教えるべきこと」

―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―

「親ガチャ」問題で、日本の子育て&教育論にも一石を投じるひろゆき氏。発売即重版となった著書『僕が親ならこう育てるね』でもさまざまな子育て論を展開し、著者印税をすべて児童養護施設のパソコン寄贈に充てて話題を呼んでいる。そんな彼がいまの日本で義務教育で子どもたちに学べせるべきことについて語った。

◆社会に出てから古文や漢文を使っている人は0.1%もいない

――今の時代にあった授業を日本の教育は「していない」というのがひろゆきさんの持論ですよね。

ひろゆき:社会に出てから義務教育で習う古文や漢文を使っている人は、0.1%もいないと思うんです。そもそも義務教育は社会で必要な能力を身につけるためのもので、教師の雇用確保のために続けるものではないです。

 もちろん、教養として学びたい人や学問としてやりたい人を制限する必要まではないですが、子どもに覚えさせる優先順位としては低いのに、いまだに古文や漢文を共通テストの科目にしています。早く外せばいいに、とは思いますよね。

 そうすれば、受験への影響もなくなり、その時間をほかの授業に充てることができるわけですから。

◆義務教育で古文を習わせるなら「役所の使い方」を学ばせたい

――ほかの授業とは、何を学ばせればいいと思いますか?

ひろゆき:プログラムやお金の話、宗教の話なんかもいいと思いますが、困ったときの「役所の使い方」を教えることも結構大事だと思っています。

 以前、ネット上でこんな悩みを見つけました。高校を卒業したばかりで生活の苦しいシングルマザーが、自分が育てたら子どもにやりたいこともさせてあげられないし、子育ての不安もある。子どもの将来を考えるなら養子に出したほうがいいのではないか、というもの。

 たしかに、この悩み相談をしているシングルマザーが育てても子どもが将来どうなるかはわからないです。でも、養子に出したとして、それが子供にとって幸せなことなのかもわかりません。

 ひとつ言えることは、このシングルマザーが「自分が育てられないなら養子として子どもを手放すという選択肢しかない」と誤解しているということです。

◆実は充実している行政サービスが知られていない

――支援を必要としている人に適切な情報が届いていないというのは深刻な問題です。

ひろゆき:シングルマザーとして働きながら子供を育てていくのはめちゃくちゃ大変なことですし、不安もあると思います。でも、例えば東京であれば「母子生活支援施設」という、子どもと一緒に住みながら、親が働きに出ているときは母子支援員や少年指導員が子どもの世話をしてくれて格安で生活できる施設があります。

 それでも子供を育てることが難しければ、里親制度を利用することになるわけですが、里親制度も実は種類があり……子供を養子に出して育ててもらう「養子縁組里親」、「養育家庭」という養子縁組を目的とせず家庭で暮らすことのできない子供を1か月以上の一定期間預かってくれるという制度などなど。

 もちろん行政のサービスなので、申込みをして状況を説明して審査を受ければ役所が子どもを預かって支援したい家庭を紹介してくれたりもするわけですが、多くの人が知らなかったりするわけです。

◆少子化問題を解決したいなら義務教育を再考するべき

――たしかに、普通に生活していたら知らない知識かもしれないですね。

ひろゆき:こういう知識は古文や漢文なんかよりもとほど大事。でも、学校では教えてくれません。その結果、子育てのための制度があることすら知らずに悩んで疲弊してしまう、先のシングルマザーみたいな方が出てくるわけです。

 少子化問題になっている日本にとって損失でしかないですよね。本当に少子化問題を解決したいなら、社会に出ても使わない知識を義務教育に入れるより、こうした役所の使い方を教えたほうがいいと思ってしまうんです。

―[ひろゆき連載コラム「僕が親ならこうするね」]―

【ひろゆき】

西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。『僕が親ならこう育てるね』という初の子育て論本が発売。著者印税は児童養護施設へのパソコン寄贈に充てられる

2021/9/24 11:54

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