《冬を表す美しい言葉》を集めました。季節を肌で感じるような綺麗な言葉をどうぞ

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季節を肌で感じるような《冬を表す美しい言葉》

四季の移ろいを慈しんできた日本人は、古くから季節を表す美しい言葉を数多く生み出してきました。特に、俳句で使われる季語には、冬ならではの言葉がたくさんあります。

今回は、厳しい寒さが連想できる言葉や幻想的で美しいイメージが広がる言葉など、冬を表す美しい言葉を集めました。

冬、という文字が入っていない言葉からも、冬を感じることができるでしょう。時候の挨拶としても使うことができるので、覚えておくと便利です。

冬の美しい言葉《植物》

冬の美しい言葉《植物》
出典:https://unsplash.com/

最初に紹介するのは、冬の植物を表す美しい言葉です。冬は、木々の葉は落ち花は枯れ、心なしか寂しさを感じる季節。けれど、冬の寒さの中で咲く花や実を付ける植物もありますね。

俳句で使う季語の中にも「山茶花(さざんか)」や「水仙(すいせん)」など花の名前が入っています。また、「寒桜(かんざくら)」のように、寒いという漢字が入っている植物の名前も冬の季語です。冬を表す言葉には、ほかにどんな植物があるでしょうか。

中国伝来の美しい季節の言葉【冬薔薇】

冬を表す植物の言葉には「冬」という言葉を付けたものが多くあります。その代表が「冬薔薇(ふゆそうび)」。薔薇は四季咲きなので、春夏だけでなく秋冬に咲くものもあるのです。

薔薇を「ばら」と読ませず「そうび」と読ませる点に、不思議な印象を受ける人もいるかもしれません。薔薇という言葉は中国から伝わりました。その時、漢語読みで「しょうび」または「そうび」と読んだそうです。「冬薔薇」は、昔ながらの読み方と言えるでしょう。

冬に咲く花の色が美しい季節の言葉【寒椿】

「寒椿(かんつばき)」も、冬の季語として選ばれている言葉です。冬から春にかけて花が咲く椿の中で、特に冬に咲くものが寒椿。雪の中でも深紅の花を咲かせる様子は、白と赤の美しいコントラストとして幻想的な雰囲気を感じさせるでしょう。

品種としては「侘助(わびすけ)」と呼ばれる茶人好みの椿も冬に花を付けます。寒いという字をあてた冬の植物名は、ほかに「寒牡丹(かんぼたん)」や「寒木瓜(かんぼけ)」などがあります。

語呂合わせもある美しい季節の言葉【白南天】

続いての冬の植物を表す言葉は「白南天(しろなんてん)」です。難を転じるという語呂合わせから、縁起が良いとされる南天。鮮やかな赤い実と雪の白や松の緑とのコントラストも美しく、お正月の飾りにも欠かせません。

南天には、白い実をつける白南天もあります。雪を連想させる白が付くと、季節感がより高まるのではないでしょうか。赤南天に比べて白南天は枝につく実の数が少ないそう。その代わり、実はほんの少し大きめサイズです。

不思議な音の響きも美しい季節の言葉【朱欒】

「朱欒(ざぼん)」は、「ブンタン」や「ボンタン」とも呼ばれるミカン科の常緑小高木のことです。東南アジア原産で、ヨーロッパにはポメロという名前で伝わっているそう。

「ザボン」という不思議な響きの名前は、ポルトガル語の「ザンボア」がなまったものとも言われています。実は直径15センチメートルから25センチメートルと大き目。同じ柑橘類の「蜜柑(みかん)」や「柚(ゆず)」と共に、冬の季語にもなっている言葉です。

冬の美しい言葉《天気》

冬の美しい言葉《天気》
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続いて紹介するのは、冬の天気を表す美しい言葉です。冬と言えば、まず連想されるのは雪でしょう。日本には、さまざまな雪の異名があります。たとえば、雪片が大きな「牡丹雪(ぼたんゆき)」や、降り積もる雪の重みで全体が締まった状態になる「しまり雪」などです。

また、「霙(みぞれ)」や「霰(あられ)」「霜(しも)」など、天気を伝える季節の言葉も多いですね。ほかにも、冬の天気を表す言葉にはどんなものがあるでしょうか。

冬という字が付く美しい季節の言葉【冬茜】

季節の言葉である季語に数えられている「冬茜(ふゆあかね)」は、茜色に染まった冬の夕焼け空を指す言葉です。口に出した時の音の響きが美しい言葉ではないでしょうか。

「夕焼け」だけでは、夏の季語になってしまうので注意してください。ほかに、「寒夕焼(かんゆやけ)」や「冬夕焼(ふゆゆやけ)」といういい方もあります。冬という文字が付く天気を表す言葉を探すと、「冬の霞(かすみ)」「冬の虹」などが見つかるでしょう。

雪を花に喩える美しい季節の言葉【不香の花】

「不香の花(ふきょうのはな)」は、文字通り香りの無い花という意味の言葉です。これは、なんと雪の別名。ふわり、ひらりと天から舞い落ちてくる雪片を、花びらにたとえた美しい季節の言葉ですね。

このほかにも、雪には花という文字が付く別名がたくさんあります。たとえば、雪の結晶が六角形であることから名付られた「六花(りっか)」、風に乗ってきた雪を表す「風花(かざはな)」、きらりと光る雪の色から名付けた「銀花(ぎんか)」などです。

冬の寒さを表す美しい季節の言葉【月冴ゆる】

寒さで冴えきった大気の中で、鏡のように澄んだ月の様子を表す「月冴ゆる(つきさゆる)」も、美しい季節の言葉です。語順を変えた「冴ゆる月」も同じ意味になります。

冷え込む、冷たく凍るという意味を持つ「冴ゆ」という言葉自体が冬の季語。大気が凍ってしまうような冬の感じを指しています。「寒し」という形容詞が、動詞になると「冴ゆる」になるのです。ほかに「風冴ゆる」「冴ゆる夜」「影冴ゆる」といった言葉もあります。

奥深い意味を持つ美しい季節の言葉【幽天】

「幽天(ゆうてん)」は、冬の空模様を指す美しい言葉です。「幽」という漢字には、人の目に見えない世界や死者の世界、あの世という意味があります。この漢字を使った言葉としては、幽霊のイメージが強いかもしれません。

なぜこの字が冬の言葉になるのかというと、実は別の意味があるのです。それは、奥深くもの静か、暗い、そして人の容易に知りえない深みがあるという意味。単に暗い空の色を表しているだけではない言葉なのです。

冬の美しい言葉《景色》

冬の美しい言葉《景色》
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続いて紹介するのは、冬の景色を表す美しい言葉です。古来、四季がはっきりとしていた日本では、それぞれの季節によって景色の移り変わりも大きかったのでしょう。

春は桜を始め多くの花々が咲き誇り、夏は入道雲や濃い青空、秋は紅葉、冬は雪。季節を代表するアイコンがすぐに思い浮かびますよね。冬を表す言葉としては「冬景色(ふゆげしき)」があります。季節の移り変わりを反映している大自然の冬の風景に対して使う言葉です。

冬の夜空を表す美しい季節の言葉【冬銀河】

冴え渡る冬の夜空にかかる天の川を意味する「冬銀河(ふゆぎんが)」。秋の銀河は細かい星々が密度濃く見えますが、冬の銀河は一等星や二等星の明るい星が見える数が多くなります。

「天狼星(てんろうせい)」と呼ばれるおおいぬ座のシリウスの青白く輝く光もその1つ。「平家星(へいけぼし)」と呼ばれるオリオン座の恒星ベテルギウス、「北の色白」という和名があるこいぬ座のプロキシオンと共に、冬の大三角形を形作っています。

文学的な表現が美しい季節の言葉【冬霞】

「冬霞(ふゆがすみ)」は、 冬に立つ霞のこと。 遠くの景色がぼんやり見えるような現象に対して広く使われます。 気象現象を指す言葉というよりは、文学的な表現です。霞と言えば春の季語なので、春の霞の方が良く知られているかもしれません。

けれど、冬の霞も気温が少し高くなってくる冬の終わりごろによく見られる景色です。風のない冬の朝や夕方に遭遇することが多いでしょう。季節の移り変わりを表現する美しい言葉ですね。

観光資源でもある美しい季節の言葉【樹氷】

樹々の枝に空気中の水蒸気の粒が付き、寒さで凝結したものを霧氷(むひょう)と言います。「樹氷(じゅひょう)」もその一種。小さな枝々にも白い氷がついている様子が、美しく幻想的な景色を作り出します。

俳句の季語では、樹を覆った雪が凍り付いたタイプのものも「樹氷」と呼びます。「アイスモンスター」や「雪の坊」とも呼ばれている有名な蔵王の樹氷は、こちらのパターンとのこと。青空とのコントラストも美しいものです。

山の景色を表す美しい季節の言葉【山眠る】

冬の季語である「山眠る(やまねむる)」は、静まり返る冬の山を形容する言葉。動物たちの多くは冬ごもりや冬眠をしている静かな山が、鮮やかにイメージされますよね。この言葉の語源は、中国の山水画家の「冬山惨淡として眠るがごとく」という言葉です。

このように、山を擬人化した表現は、春の季語「山笑う」や夏の季語「山滴る(やましたたる)」、秋の季語「山粧う(やまよそおう)」と、それぞれの季節の言葉になっています。

冬の美しい言葉《寒さ》

冬の美しい言葉《寒さ》
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冬を表す美しい言葉の中には、寒さを感じさせるものもたくさんあります。これまで紹介してきた言葉の中にも、寒さがイメージされるものがありましたが、最後はもっとストレートに寒さを伝える言葉を見ていきましょう。

冬は人間にとって快適に過ごせない状況です。昔の人たちは、そうした不快な状況を美しい言葉で表現することで、心を整えようとしていたのかもしれませんね。それでは、寒さを伝える美しい言葉を見ていきましょう。

英語から生まれた美しい季節の言葉【冬将軍】

「冬将軍(ふゆしょうぐん)」は、寒さがやってくることを擬人化した言葉です。

こちらの語源は、なんと英語。1812年のナポレオン1世のロシアでの敗北を、イギリスの風刺画家が「GENERAL FROST Shaveing Little BONEY(小さなボニーのひげをそる冬将軍)」というタイトルで描いたことがきっかけで生まれたそうです。

また、冬の神を意味する「冬帝(とうてい)」も、冬を擬人化しています。

冬の女神を表す美しい季節の言葉【白姫】

「冬将軍」は男性でしたが「白姫(しらひめ)」は冬の女神を表す言葉です。「白」は雪の色からの連想ですが、冬を表す色を冠した「黒姫」と呼ばれることもあります。「宇津田(うつた)姫」も別名です。

日本では、冬だけでなく四季それぞれに女神がいます。有名なのは、春と秋。春は、奈良の佐保山の神霊である「佐保姫(さほひめ)」です。夏は「筒姫(つつひめ)」。秋は竜田山に住む「竜田姫(たつたひめ)」と言われています。

五行思想から伝わる美しい季節の言葉【玄冬】

「玄冬」は冬を表す、美しい異名の1つ。中国の五行思想から伝わった言葉で、四季それぞれを表す色を組み合わせています。「青春」「朱夏(しゅか)」「白秋(はくしゅう)」「玄冬(げんとう)」です。

また、こうした言葉を人生に当てはめる考え方もあります。人として芽吹く前の「玄冬」は幼少期。未来への希望を胸に成長し続ける「青春」、バイタリティ溢れる「朱夏」、穏やかな人生の実りを感じさせる「白秋」という順番です。

風を表す美しい季節の言葉【凩】

「凩」は晩秋から冬にかけて吹き付ける冷たい風のことです。木を吹き枯らす風という意味で「木枯らし」とも表記されますね。冬の風を表す言葉は、ほかに「寒風(かんぷう)」「空っ風(からっかぜ)」「北風」「雪風」「隙間風(すきまかぜ)」など、数多くあります。

冬の季語にもなっている「星の入東風(ほしのいりごち)」は、昴が西に傾くころ吹く風です。陰暦十月の神無月に吹く「神渡し(かみわたし)」も響きが美しいですね。

冬を表す美しい言葉の数々を楽しもう

冬を表す美しい言葉を、4つのジャンルごとに紹介しました。冬の始まりを感じさせる言葉もあれば、冬の終わりを感じさせる言葉もあります。

数ある言葉を目にすると、厳しい寒さを嘆き悲しむだけでなく、その中にある美しさを感じてきた日本人の生き方が伝わってくるのではないでしょうか。

様々なテクノロジーの発達により、季節感が徐々に薄れている中でも、冬という季節が感じられる美しい言葉はまだまだたくさん残されているのです。

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