デートの店選びがイマイチな年下彼氏。見かねた34歳女は、スマホの画面に“あるモノ”を表示させ…
ようやく付き合えた彼から、別れを切り出されてしまった女たち。
「私は別れたくないのに、どうして…?」
彼氏に夢中になる女のなかには、自らの行動で関係を壊してしまう“恋愛クラッシャー”が存在する。
では彼女たちの何が原因で、この恋はクラッシュしてしまったのだろうか?
▶前回:付き合いだしてから、たった2ヶ月で「この子ナイかも…」と思われてしまった、女の行為
今回の悩める女子:佐久間詩織(34歳・化粧品会社勤務)
「章大くんってさ、本当に詩織のこと好きだよね」
同期とのランチタイム。話題は、社内恋愛中である私のことばかりだ。章大とは社内報の取材で知り合い、付き合い始めて4ヶ月ほどになる。
営業成績が良くて社交的。そのうえ180cmの長身で塩顔イケメン。そんな噂を以前から耳にしていた私は、彼に取材できる日を楽しみにしていた。
けれど実際に会ってみた章大は、想像とちょっと違っていたのだ。
「お疲れさまです、広報部の佐久間です。今日はよろしくお願いします」
「あ、はい…。し、志賀です、営業部の」
― なんだかボソボソ喋る人だな。この人が営業部のエースなの?
緊張しているのか、不安げで落ち着きもない。取材中の受け答えもチグハグだった。それが、私の目には頼りなく映ったのだ。
手元にある、まとまりのない取材原稿に頭を抱え、なんとかして書きあげるまでに丸2日。章大が広報部にやってきたのは、そのあとだった。
「佐久間さん、もし良かったら…。一緒にお昼休憩、行きませんか?」
こんなふうにして、彼は頻繁に私のことを誘ってくるようになったのだ。
最初の頃は、絶対に会話が弾まないだろうと思っていた。けれど親しくなればよく話すし、悪い人ではなさそうだと感じた。
その後「付き合って欲しい」と告白された私は、一度返事を保留にするも、OKと答えたのだった。
はじめは「どこか頼りない…」と感じる彼だったが?
クラッシュしてしまった行動は1or2どっち?
Action1「いつもと違う店に行きたいと、ちょっとしたワガママを言った」
「ねえ、営業部の志賀さんから告白されちゃったよ~」
「もちろん付き合うことにしたんだよね?年下の彼氏か、いいなあ!…バレないようにだけ、気をつけてね」
― え、そんな感じ?断ろうかと思ってたんだけど。
いつものランチタイム。同期に恋愛相談をすると、思いがけず肯定的な言葉をかけられ、すっかり拍子抜けしてしまった。
というのも、章大は私より7つも下なのだ。これまでは年上で、何かとリードしてくれる人と付き合うことが多かったし、年下は恋愛対象外。
それに社内恋愛だなんて。もしバレて、噂でもされたら居心地が悪い。
…そう考えていたのだけど、章大から改めて真剣に告白されてしまい、気持ちが変わった。こうして私は、彼と付き合うことになったのだ。
それからの章大は、デートプランを練るのに苦戦しながらも、頑張ってくれているのが伝わってきた。
「この前のお店、どうだった?詩織さんが好きな感じだったらいいんだけど」
「うん!食事も美味しかったし、落ち着いた雰囲気で気に入ったよ。また行こうね!」
年下だし、ちょっと物足りなさを感じるところもある彼。だけど気づけば、付き合い始めた頃よりずっと好きになっていた。
― 自分が追いかけるよりも、追いかけてきてくれる人と付き合うほうが幸せなのかもしれない。
ただ、そのせいで私は少し傲慢になっていた。
付き合い始めて2ヶ月が経つ頃。章大の“ある発言”にイラッとした私は、こう言ってしまったのだ。
「実は、お店探すのとかプレッシャーだったんだ。詩織さん、これまでもいろんな店に行ったことがあるだろうし…。でも、お気に入りが何軒かできたから、もういいよね」
― えっ。もういいって、どういう意味?
実を言うと、ここ最近のデートにはマンネリ化を感じていた。何というか、新鮮味がなくてダラけている。
「私、たまには普段と違うお店に行きたいな。これじゃあ、もう私とのデートのために頑張らないって言われてるみたいで、あんまりいい気分じゃないよ」
すると、章大は自分の言葉の意味を考え直したのか、ハッとしてひたすら謝るのだった。
自分勝手かもしれないけれど、私のことが好きな章大だからこれくらいきっと許してくれるはず。
そう思っていたのだ。
Action2「過去に元カレと行った店の写真を、うっかり見せてしまった」
次のデートは、白金にある焼肉店。なかなかお店を決められない章大に代わって、私が提案したのだ。
「今度は焼肉にしない?ここは前に行ったことがあるんだけど、すごく美味しかったんだよね」
「うん、そうしよう!…それって、同期の人たちと行ったの?」
― マズい、ここって元カレと行ったんだ。
得意げに見せた写真には、元カレの手元が見切れて写っている。
章大からの質問に、正直に答えようかと迷ったけれど「もう昔のことだから忘れた」と、あいまいに濁して様子を見る。
幸いにも、彼は細かいことを気にしないタイプのようだ。
それからも、私のスマホに入っているレストランの写真を「ここ、いいね」と言いながらチェックしていた。なかには男友達が写っているものもあったけれど、気にする素振りもない。
「もうすぐ付き合い始めて3ヶ月だから、特別な場所で食事したいね!また行ってみたい店とかある?」
だから私も、遠慮なく意見を言ったのだ。…それなのに。
この頃から、章大の反応が悪くなってきた気がする。せっかくの3ヶ月記念デートも「急な仕事が入ったから」と言って、延期になったままだ。
同じ会社だから顔を合わせることはあるけれど、この1週間はLINEだって既読スルーされている。
― 私、何かしちゃった?社内で会えたら、ちゃんと話をしよう。
すると、その日の終業後。いきなり章大が押しかけて来て、こんなことを言い放ったのだ。
「詩織さんには、僕よりもいい人がいると思う。別れよう」
― はい?いい人って誰のこと?
突然の別れ話。しかも真意がわからない言い分に、呆然として次の言葉が出てこなかった。
Action1と2、章大はどちらが嫌だったのか…?
志賀章大(27歳・化粧品会社勤務)の答え
「志賀!午後に社内報の取材が入ってるから、佐久間さんのところに行ってこい」
上司にそう言われると、先輩や同期が一斉に集まってきた。
「彼女、メチャクチャ美人で有名なんだよ!いいなあ、志賀」
営業部のメンバーにそう言われ、ドキドキしながら広報部へ向かった。するとそこには、僕のタイプど真ん中な女性がいたのだ。
僕は挨拶がどもってしまうくらい、緊張した。…いや。あまりにもタイプだったから、そのあとの取材もグダグダになり、格好悪い姿を見せてしまったくらいだ。
それでも、これを機に彼女と近づきたかった僕は、粘り強く食事に誘い続けた。告白も、2度目でやっとOKしてもらえたのだ。
こうして無事に付き合うことができたけれど「彼女を誰かに取られるんじゃないか…」と不安に思うことはたくさんあった。
だから彼女の好きそうな店をリサーチして、詩織さんを喜ばせられるように努力したのだ。
その甲斐あって、2人の距離はだんだん縮まったように思う。そんな空気を感じた僕は安心して、つい口をすべらせてしまった。
「実は、お店探すのとかプレッシャーだったんだ。詩織さん、これまでもいろんな店に行ったことがあるだろうし…。でも、お気に入りが何軒かできたから、もういいよね」
悪気はなかった。むしろ「2人の関係が落ち着いてきたよね」というニュアンスで言ったつもりだったのだ。
だから彼女に怒られたときには、なんとかして挽回しなくては…と、本気で反省したのだった。
それからというもの。店選びに苦戦する僕を見かねて、詩織さんからも“行ってみたい店”を提案してくれるようになった。
そんな気遣いが、僕は嬉しかったのだ。
しかし。あるとき、見てはいけないものを目にしてしまった。彼女が見せてくれた焼肉店の写真に、男の手元が写り込んでいたのだ。
― もしかして、元カレか?
そこで、思い切って「会社の同期と行ったのか」と聞いてみたが、はぐらかされた。
一度ごまかされると、逆に聞きにくくなるのはどうしてだろう。ただ、ここでやきもちを焼いたり、怒ったりするのはみっともない。
問いただしたい気持ちをなんとかこらえた僕だが、内心では気になって仕方がなかった。
しかも、その焼肉店は見るからに高級で気後れしてしまう。彼女は、いつもこういう店で食事していたのだろうかと、胸の内がざわつく。
そんなことに気づいていない様子の詩織さんは、次々に“他の男の気配”がある写真を見せてくる。彼女は一体、何を考えているのかとイライラしてしまった。
詩織さんの元カレは、どんな人だったのか。あの焼肉店には誰と行ったのか。考えれば考えるほど、モヤモヤが募る。
― こんなことばっかり考えて、ツラい…。とにかく今日は、彼女の顏だけでも見に行こう。
しばらく距離を置いて冷静になろうと、LINEも控えていた僕は、昼休みに広報部へと向かった。するとそこには、イケメン社員と楽しそうに話す詩織さんの姿があったのだ。
その光景にショックを受けた僕は、仕事終わりに彼女を呼び出して、こう言ってしまった。
「詩織さんには、僕よりもいい人がいると思う。別れよう」と。
Action1「いつもと違う店に行きたいと、ちょっとしたワガママを言った」
答えは× ⇒彼女を喜ばせるためなら、頑張ろうと思えた。
Action2「過去に元カレと行った店の写真を、うっかり見せてしまった」
答えは〇 ⇒男の影を感じてショックを受けるとともに、高級店に行き慣れていることを知り、自信を失ってしまった。
▶前回:付き合いだしてから、たった2ヶ月で「この子ナイかも…」と思われてしまった、女の行為
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