ポータブルアンプ(ポタアン)でなぜ音が良くなる? おすすめ商品も紹介
スマートフォンなどの音楽が、より高い音質で聴けるポータブルアンプ。スマホ単体でも音楽が聴けるのに、わざわざポータブルアンプを接続する意味はあるのか疑問に感じたことはないだろうか。実は、スマホの音楽再生回路はそれほどこだわって作られていないケースが多く、音質が限られているのが実情。より音楽再生にこだわって設計されたポータブルアンプを使うと、より高い音質で音楽を楽しめるようになる。
●ポータブルアンプで音が良くなる3つの理由
具体的にスマートフォン内蔵のアンプとポータブルアンプでは何が違うのだろうか。ここでは3つのポイントについて解説しよう。
DACとはDigital to Analog Converterの略。デジタル信号である音楽データをイヤホンやスピーカーで再生できるアナログデータに変換するためのものだ。この変換のために搭載される回路の質はピンキリだが、スマホのアンプとポータブルアンプでは回路の選定方針が大きく異なる。
スマホでは、価格、サイズ、重量、バッテリー動作時間の制約が大きいため、音質にこだわったものを搭載するのが難しい。これに対してポータブルアンプはオーディオ機器であり、音質を重視したDAC回路を採用できる。専用機器の強みと言える。
デジタルからアナログに変換された信号は微弱なものであり、イヤホンやスピーカーを駆動させるほどの力がない。そこで使われるのが増幅回路であるアンプなのだが、この増幅の際にはゆがみが生じやすい。
DACと同じく、やはりスマホでは制約が大きいことから、ゆがみを抑えることにこだわったアンプの搭載が難しいのが一般的だ。これに対して、ポータブルアンプではゆがみをできるだけ抑えられるパーツを使ったり、ゆがみを感じにくいように音声補正的なことをおこなったりするなど、工夫がなされている。
ボリューム装置とは、アンプによって増幅された信号を、適度な音量まで落とすためのもの。ここも音質にとっては重要なパーツなのだが、やはりスマホ用には安く、小さく、軽いものが重視される。ポータブルアンプには音質にこだわったものが搭載されるため、差が出てくる。
●おすすめのポータブルアンプ3選
音質の差が出る理由が分かったところで、おすすめのポータブルアンプを3製品紹介しよう。
●iBasso Audio DC03
iBasso AudioのDC03はスマホのUSB端子に接続するだけで使えるお手軽な小型ポータブルアンプ。重さはわずか11gでサイズも小さく、持ち運びやすい。それでいながら音質にはしっかり配慮されている。DACにはCS43131を2つ搭載し、左右チャンネルそれぞれに個別のDACを割り当てるというこだわりよう。S/N比は127dBと非常に優れており、ノイズも少ない。金属のきょう体は高級感があり、所有欲も満たしてくれる。
●SHANLING UA2
SHANLINGのUA2は、一般的な3.5mmイヤホン端子に比べて音質に優れるといわれる、2.5mmのバランス接続イヤホン端子を備えたポータブルアンプ。3.5mmイヤホン端子も備えているため、さまざまなイヤホンやヘッドホンを利用できる。USB端子を備えるAndroidスマホだけでなく、Lightning端子のiPhoneにも対応しているところが強み。最近のiPhoneにはイヤホン端子がないが、これを使えば高音質で有線イヤホンを利用できる。768kHz/32-bitのPCMやDSD512にも対応しており、ハイレゾ音源も存分に楽しめる。
●iFi micro iDSD Signature
iFiのmicro iDSD Signatureは、ポータブルアンプとしてだけでなくデスクトップアンプとしても利用できるクオリティや機能を持った製品。サイズは172x67x27mm、重量は295gとスマートフォンよりも大きく重いほどだが、その物量のすべてを音質のために投入しており、高音質が期待できる。
PCMやDSDといったハイレゾ音源はもちろん、最近普及しつつあるMQAにも対応している。また、本体にはRCAアナログ出力端子を備えているため、スピーカーを駆動するためのアンプに接続することも可能。自宅でも外出先でも高音質で音楽を聴きたい人にうってつけだ。
●ポータブルアンプを買ったら次はイヤホンを
音質の高いポータブルアンプを買ったら、次はイヤホンやヘッドホンにもこだわりたい。ポータブルアンプとの相乗効果でさらに満足度の高いオーディオ環境が構築できるだろう。ただし、そうすると今度はポータブルアンプを更に音質の高いものにしたくなるかもしれず、終わりがなくなる可能性もある。くれぐれも“オーディオ沼”にはまりすぎないよう気を付けていただきたい。(ライター・ハウザー)