マクドナルドのアイスクリーム機「いつも故障中」問題に米政府が乗り出した

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 日本ではあり得ないことですが、アメリカのマクドナルドのアイスクリームマシンは故障状態がデフォルト。

 とうとう今夏、米連邦取引委員会(FTC)がマクドナルド店舗への事情聴取に踏み切ったというニュースが飛び込んできました。アイスクリームマシーンに政府機関が動くアメリカって一体……?

◆壊れ続けるアイス機に全米が失笑、SNSで自虐ネタに

 前述のとおり、マクドナルドのアイスクリームマシーンの故障はもう何年も前から話題になっていたアメリカ人の新常識です。

 いつ行ってもソフトクリームはもちろん、クッキーなどをソフトクリームに混ぜたオリジナル製品「マックフルーリー」の注文もできないというのは “マクドナルドあるある”の一つ。

 競合ファストフードのウェンディーズがSNSでいじり、当のマクドナルドも自虐ギャクとしてツイート。また、どのマクドナルドのアイスクリームマシーンが壊れているかを教えてくれる「McBroken」というアプリまで開発されていました。

 訪れるたびに「またマシーンが壊れています」と言われ続けるファンの失望は深いようで、少なくはありますが、中にはネット上で署名を集めて問題解決を求めるファンも存在するとか。怒りや呆れを通り越しSNSやテレビでは笑いのネタにされていたようです。

 しかし、このマシーンを使った商品の売上は同チェーン全体のデザート売上の約60%を占めるというから、フランチャイズ店オーナーたちにとって “マシーン故障の常態化” は死活問題。シャレにならない事態として、不満が高まっていたようです。

◆アメリカ政府機関が原因究明に乗り出した

 そんな中、原因究明に乗り出したのが、他でもない政府機関の米連邦取引委員会(FTC)。詐欺や不正から消費者を保護する機関がマクドナルドのフランチャイズ店オーナーたちに書面を送り、調査を始めたことで大きなニュースになりました。

 このニュースを受け同チェーンは、『トゥデイ Today』他各メディアに送った声明で次のように書いています。

「私たちは、食品の品質と安全を高い水準で維持することほど重要なことはないと考えています。そのために安全なソリューションを確実に提供できる、十分に吟味されたサプライヤーと協力しています」

 どうやらこのアイスクリームマシーン問題はマクドナルド本体にではなく、マシン自体とサプライヤーを選ぶ基準に焦点があてられているようです。

◆マシンメーカーVS診断用デバイスメーカーで係争中

 第一報を伝えた『ウォール・ストリート・ジャーナル The Wall Street Journal』によると、そもそもマクドナルドのアイスクリームマシーン自体が、構造がとても複雑でメンテナンスにも手間がかかり、壊れやすい上、スタッフだけでは簡単に修理できないなど、故障の常態化を引き起こす原因となっていたことが判明。

 フランチャイズ店オーナーの間では「Tayler」が開発したこの機械は「ワザと壊れやすく作られているのではないか?」と皮肉も込めて噂されていたそうです。

 一方で2年前から、同マシーンの故障を検知し、店舗スタッフに知らせてくれる「Kytch」製の診断用デバイスが多くの店舗で採用されていました。

 最盛期には全米30州にあるフランチャイズ店が採用していたこの診断用デバイスは、2020年末に非公認であることを理由にマクドナルド本部が各店舗に使用停止を要求。代わりに同様の公認デバイスを使用するよう加盟店に促したことで、採用店舗が激減しました。

 これに激怒した「Kytch」は、「Tayler」に技術を盗用され、わざと壊れやすい機械を作ることで修理業務を独占されたとして5月に訴訟を起こしています。

◆政府介入、理由はメーカーの権利争い?それとも……?

『ニューヨーク・ポスト New York Post』によると、現在、訴訟は係争中。今のところ2社のサプライヤーにFTCから連絡はないようですし、同委員会が米マクドナルドの不正を疑っているということでもなさそうです。

 政府機関が介入に至った経緯は、この2社の揉め事が原因とも言われていますが、今年7月にジョー・バイデン政権が打ち出した「修理する権利」に対する大統領令が根底にあるとも考えられています。

 これは「修理の権利はメーカーではなく、消費者にある」とする規制案で、一部のメーカーに修理の権利を独占させずに自由競争を促していくというもの。

 確かに、マクドナルドのフランチャイズ店がそれぞれ修理業者を自由に選ぶことができれば、壊れやすいアイスクリームマシーンであっても素早く修理することができ、「いつ行っても買えない」なんてことはなくなりそうですね。今後の動向に期待しましょう!

Sources:「Today」「The Wall Street Journal」「New York Post」

<文/橘エコ>

【橘エコ】
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

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