神宿 小山ひな[インタビュー後編]アイドルとしての7年、そしてその先へ「成長はしつつ、でも、可愛いはなくさないように」

神宿の小山ひなのインタビュー後編。“歌”をメインテーマにした前編に引き続き、今回は、昨今取り組んでいる「歌ってみた動画」や印象深かったレコーディング、神宿の最新アルバム『THE LIFE OF GIRLS』収録の初めて作詞を担当したソロ曲「を愛に」の制作秘話、さらに9月26日(日)に開催が迫ったぴあアリーナMMでの結成7周年記念ライブについて話を聞いた。アイドルとして7年間、“愛”と“可愛い”を追い求めてきた小山ひな。そんな彼女が、このインタビューの最後には、年齢を重ねることと可愛いことの両立についての持論を語る。

撮影:河邉有実莉
編集協力:村田誠二

病むことも大事ですね(笑)

──最近「ヴァンパイア」のカバー動画を公開しましたよね。いきなりとんでもないハイトーンを出していて、すごいなと思いました。

小山:
そうなんですよ。私、あんまり声が高い方じゃなくて、大変でした。基本的にボーカロイドのカバーは大変です。

──ブレス(息継ぎ)の場所とかないですしね。

小山:
(元曲は息継ぎもせず)一生歌ってる、どうしよう!?って(笑)。でも楽しいですよ。

──ボーカロイドを歌う時のコツとかあるんですか?

小山:
「ヴァンパイア」とか、1曲を1人で歌う時は飽きないように、しゃべってるっぽくしたり、普通に歌ったり、カワイ子ぶって歌ったりとか(笑)、歌い方をちょいちょい変えながら歌いましたね。

──小山さんは、それだけ歌の引き出しがあるってことですね。

小山:
神宿の7年間でいろんな曲をやってきたので、その中でできた引き出しだと思います。

──神宿は、初期の頃はハードな曲があったり情報量の多い曲があったりしましたけど、最近は逆に海外のトレンドを採り入れたりして、曲調がかなり幅広いですよね。

小山:
そうですね。いろんな歌い方にせざるを得な……かった(笑)。

──ほかのインタビューで、「FANTASTIC GIRL」では歌い方を変えたと言ってましたね。

小山:
“大人っぽい歌い方にしてください”って言われて。私、癖が強いから(笑)、それをなくそうなくそうと思って歌ったんですけど、不意に語尾が上がっちゃったりするから(笑)、難しかったですね。

──ディレクションを受けたら、その場で考えながら歌い方を変えていくんですか?

小山:
そうですね。基本的には自分の歌い方でレコーディングに挑むんですけど、その中で“こういう歌い方にしてください”っていうディレクションがあれば、その場で変えるという感じです。

──いきなりそんなこと言われても……みたいなことはないんですか? すぐに対応できる?

小山:
できる(笑)! 

──やっぱり7年間の蓄積が。

小山:
いろいろあったんで(笑)。

──(笑)。今、振り返って、印象深かったレコーディングは?

小山:
「限界突破フィロソフィ」……だっけ? あれ、違うな……なんか、すごくしんどい時があって…………あ、「全身全霊ラプソディ」だ! あの時すごくしんどくて……心が(笑)。

──心が?

小山:
そう、心がしんどい日で、そのままレコーディングに挑んで。私、普段は可愛い系の声で歌ってたんですけど、「全身全霊~」はカッコいい曲だし、もうどうにでもなれ!って思いっきり歌っちゃったんですよ(笑)。したら、“すごくいいよ! ひなちゃん、どうしたの!? 大丈夫?”って言われて(笑)。“今日やっぱり、私、違いますよね?”って言ったんですけど(笑)、結局そのまま採用になって。でもいい感じになったので、あの日じゃなかったら、あの歌声では録れてなかったなって思います。

──でも、それがあったからこそ、新しい引き出しが増えたわけですよね?

小山:
そうですよね。病むことも大事ですね(笑)。

──(笑)。アーティストは病むことでまた表現の幅が広がったりしますから。

小山:
でも、つらいんですよ(笑)。

──神宿はポジティブなイメージがありますが、実際は葛藤することも当然あるわけで。

小山:
人なんで(笑)。

──それを経たからこそ、今できる表現もたくさんあるんじゃないですか?

小山:
そうですね。そういう表現をしていい曲もすごく増えたし。例えば「Erasor」とかは感情を爆発していい曲だから、ライブでたまに泣くし(笑)。泣いてるけどバレないようにして(笑)。ちょっと恥ずかしいから。

“愛”って言葉をずっと大事にしてきてる

──新作『THE LIFE OF GIRLS』の話に移りますが、「を愛に」は作詞に挑戦しましたね。どういうテーマで書いたんですか?

小山:
匿名ゲルマさんと一緒に作らせていただいたんですけど、作詞は初めてだし、最初は全然わからないなーと思ってたんです。で、最初に来たテーマが、男の子が女の子を追いかけてるみたいな、“モテる女の子”みたいな感じだったんですけど、違うなって思って(笑)。むしろ、気持ちが届くか届かないかわからない男の子に振り回されて、それを追いかけてる女の子がいいなと思って、変えたんです。例えば《ただ君だけ欲しくて欲しくて》みたいな歌詞とか、そういう方が絶対、女の子に共感してもらえる!と思って、そこを1番に考えたんです。絶対、幸せよりつらさの方が共感するじゃないですか。私もそうだったんで(笑)。

──確かに(笑)。歌詞を書き上げるのにどれくらいかかったんですか?

小山:
そんなに時間なかった気がする……2週間くらいかな。でも、可愛く仕上がってよかったです。

──レコーディングで、実際にこの曲を歌ってみてどうでしたか?

小山:
すごく楽しかったです。「Fantastic Girl」とかは、“大人っぽく”とか抑えながら歌いましたけど、この曲は“好きにしていいから”って言われてたので、思いっきり歌えて(笑)。“めっちゃ楽しい!”って思って歌ってました。

──では、すんなり録れた。

小山:
歌い方で“こっちの方がひなちゃんらしいよ”って言われることもあったりして、何パターンも録りましたけど、楽しかったから、いつものレコーディングより全然早く終わった気がしました(笑)。

──この曲は、「を愛に」というタイトルも印象的です。語感がいいですよね。

小山:
いいですよね。中国語の“我愛你(ウォーアイニー/英語でI Love Youの意味)”と“~を愛に”を掛けてるんです。私、“愛”って言葉をずっと大事にしてきてるんで、いくつか案があった中から選んだこのタイトルもすごく納得してます。

──小山さんって、感覚的なことを大事にしながら、すごく計算もしているところがいいですね(笑)。

小山:
いや、感覚だけで生きてるから(笑)! 

──(笑)。ステージ上ではけっこうふわっとした雰囲気を醸し出しつつ、YouTubeなどを観ると、自分の想いを素直な言葉で主張していたり、そういう振り幅がいいなと。先日の“アルバムの収録曲全部歌うまで配信終われまてんする“という動画もすごかったですけど(笑)。

小山:
あれはホントに2度とやらないです。ホンットーにしんどかった。神宿の曲って1人で歌うものじゃないなって(笑)、途中から“もう無理だ……止めたい”って思ってたんだけど、自分でやるって言っちゃったわ、って(笑)。ホントにラップができなくて……私。レコーディングの時も、“最初は全部ツルっと歌ってください”って言われてもラップの部分だけは飛ばすくらいなのに、その動画では自分で歌うって言っちゃったし!って。ラップって難しいんですね(笑)。(羽島)めいちゃんすごいなーって思いました(笑)。

──前作のインタビューでも「明日、また君に会える」が自分的に歌いやすいって言ってましたし、メロディアスな曲が好きなんでしょうね。

小山:
そうですね。私はちょっとゆっくりな感じが歌いやすいんですけど、なかなかね、そういうわけにもいかないので。自分の曲も速いし(笑)。

──「を愛に」は、ボカロ的な世界観ですからね。

小山:
ファンのみんなから意外だねって言われます。“こう来るとは思わなかった”って。確かに、神宿の曲をゆっくりなアコースティックバージョンで、座って歌ってたことを考えると、急にマイクスタンドで歌い始めて、みんなびっくりしただろうなって思う。TikTokでも、ダンスをサビだけやって、みんなに踊ってもらおうっていう企画をやってて、それをぴあアリーナMMでは大きい画面に流してやろうかなと思ってるんです。TikTokでもバズったら若い子たちも観てくれると思うし、ライブでもみんな踊ってくれてるし、私自身の振りはないけど、みんなが踊ってくれて一体感も出るし、いいんじゃないかなって。

“アイドル=神宿”って思ってもらえるようにもっと有名になりたい

──それは楽しみですね。ぴあアリーナMMはかなり大きい会場ですよね。

小山:
大きいんですよ~。びっくりしちゃう。

──間もなく本番です。

小山:
いつもと違くて面白いことになると思います。演出とか、まだ具体的に決まってない部分もあるんですけど、個人的に「Erasor」とか楽しみですね。あ、「を愛に」も可愛くなるんで楽しみにしててください。とりあえず“可愛くしてください”って言ったんで(笑)。あとは、トロッコに乗ります。ずぅーっと乗りたかったんですよ~! 楽しみ~!

──夢が叶ったんですね。

小山:
でも、会場が広いと未知数すぎて、ウマくいかなかったらどうしようって思っちゃう。幕張の時も怖かったし。

──その幕張のリハーサルを取材させていただきましたけど、実際のステージの大きさを想定しながら、同じ場所を往復しながら走るという練習をしていましたよね。本番ではどうなるのかなと思っていたら、実際にものすごい距離を走ってました。

小山:
けっこうギリギリのラインで頑張って走りました(笑)。そういうことがあるんで、当日にならないとできないことも多くて、どうなるか不安だけど、楽しみですよ。

──それでは、ぴあアリーナMMでは7年間の集大成が観られるわけですね。

小山:
もう7年間経ったんですねぇ……。初めてのアリーナだけど、7周年記念だし、おめでとうの気持ちで来てくれたら嬉しいですね。

──7年経って、“アイドル”ってものに対する考え方は変わりましたか? 例えば“アイドルはこうあるべき”とか。

小山:
“こうあるべき”っていうのは、あまりわからなくて、わからないままずっと来た感じですね。最初の頃は対バンでしたけど、途中からずっと単独ツアーなので、ほかのアイドルさんと関わる機会がないし比べることもできなくて。神宿は神宿として来たから、アイドルはこうあるべきっていうのはわからないけど、世間的に変わってきてると思うんですよ。色がはっきりしてて、元気、可愛い、みたいなものが“ザ・アイドル”だったのが、大勢で、みんなが同じ衣装を着て、綺麗に踊るのがアイドルって思う人もいるし、今だったら“韓国アイドルがアイドルだよ”っていう人もいるし。私はいろいろあっていいと思ってて、その中でも、より多くの人に“アイドルって言ったら神宿だよね”って、そこがイコールだと思ってもらえるように、もっと有名になりたいし、知ってもらいたい。まだ神宿の存在を知らない人が多いと思うから。ただ私は、アイドルとしてもだけど、1人の女の子として可愛いって思ってもらえていたら、ずっとこの活動を続けていきたいなと思うし、可愛いって思ってもらえるように頑張ろうと思います(笑)。そこはずっと変わらないですね。

──可愛いと思ってもらうことが、小山さんが活動していく上での核なんですね。

小山:
そうですね。ずっと可愛いがいいかなって思います。甘やかされつつ(笑)。

──年齢を重ねていくことと可愛いの両立についてはどう考えていますか?

小山:
すごい壁だと思ってる(笑)。10代の頃って何もしなくても可愛かったんですよ。何もできなくても可愛いんです。だけど、20歳になり、大人になってしまった……もう可愛くないわ……って思ってた時期があって(笑)。でも、いつまで可愛いでいられるかわからないけど、30代でも可愛い人っているじゃないですか。“綺麗”じゃなくて“可愛い”人。そういう人になりたい。だから、綺麗な歳の取り方はしたいなと思ってるけど、ずっと可愛いでいるための努力は必要ですね(笑)。若干、変えていこうかな……“痛く”ならないように。

──そこはウマくバランスを取って、ということですね。

小山:
そうですね。成長はしつつ、でも、可愛いはなくさないように。

<神宿 7th Anniversary Live:WE ARE KAMIYADO>

日時:2021年9月26日(日)OPEN 16:00/START 17:00
会場:ぴあアリーナMM

神宿『THE LIFE OF GIRLS』

デジタル配信日:2021年7月30日(金)
フィジカル発売日:2021年8月25日(水)

01. Intro:Attitude
02. Brush!!
03. 明日、また君に会える
04. MAD GIRL
05. 在ルモノシラズ
06. Erasor
07. SISTERS
08. Orange Blossom 09. Twenty
10. LOVE GAME
11. Caramel Sweet 12. FANTASTIC GIRL 13. を愛に
14. トキメキ☆チュウ 15. Trouble
16. Outro:Lion

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結成7周年記念ライブ<神宿 7th Anniversary Live:WE ARE KAMIYADO>チケットサイト神宿公式サイト神宿公式Twitter神宿公式Instagram神宿公式YouTubeチャンネル神宿公式TikTok小山ひな公式Twitter小山ひな公式Instagram

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