「一歩踏み出す後押しや、キャリアの選択肢を生み出したい」サンカクが見据える新しい時代の働き方

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株式会社リクルートによる社会人のインターンシップ・ふるさと副業のマッチングを提供する「サンカク」は、会社を越えて成長企業に参画、地元(地域)に貢献できるサービスとして注目を集めている。そんなサンカクが8月21日に“ふるさと副業”オンラインマッチングイベント「社会人インターンシップ交流会」を開催。昨年に続き2回目の開催で、参加者たちは石川県発プロダクトの販売戦略や認知拡大戦略をディスカッションした。

“ふるさと副業”オンラインマッチングイベントを開催

今回行われた「社会人インターンシップ交流会」は、都市部で働きながら副業などで石川県に貢献したいと考える社会人と、石川県の企業をつなぐオンラインマッチングイベントだ。当日は企業3社のテーマや課題に対し、参加者が少人数に分かれてグループワーク。個人ワークやディスカッションを通してアイデアを出し合い、グループごとにプレゼンまで行った。

参加した企業はいずれも石川県金沢市にある老舗企業で、こんにゃく製造や自社スイーツを開発・販売する株式会社オハラ、糀をつかった発酵食品メーカーの株式会社ヤマト醤油味噌、自社農場・国産有機農産物を主原料とする加工食品の企画・製造・販売する株式会社金沢大地の3社。

当日は、株式会社ヤマト醤油味噌においてはB to C事業を強化する方針のもと「発酵食美人」のライフスタイルを広めるべく、糀パーク・Webショップの認知拡大施策の企画、株式会社金沢大地は今年2月に発表した自社ブランド「Local Organic Japan」の成功・拡大に向けた販売戦略の企画と、実際に現在進行形で企業側が抱えている課題に寄り添ったテーマが設けられた。

株式会社オハラでは、「今秋発売となる新商品の販売戦略を考案し、販路開拓に向けた提案をしてほしい」というテーマが。冒頭では同社の代表取締役社長である須田一喜氏が会社概要や抱えている課題、求めている人物像などを説明。「大手企業のようなテストマーケティングも難しいため、販売戦略やマーケティング分析、市場理解に長けている人を求めています」といった社長直々のメッセージによって、参加者の意欲も高まっているように見えた。

グループワークでは「売上を伸ばすためにECで販路を広げるべき」「コンビニ展開で認知度を上げるといいのでは」「金沢のブランドイメージを大事にしたほうがいい」といったリアルな戦略会議のようなディスカッションが行われ、同席した企業社員とも熱を帯びた意見交換が行われた。

昨年の春以降、さまざまなオンラインイベントを行ってきたサンカク。今回のオンラインイベントでは、オンライン上でも参加者たちが打ち解けられるためのアイスブレイクやスムーズな部屋移動、各グループを見回りながらの時間調整など、随所に運営側の工夫も。5時間弱という長丁場のイベントだったが、本当の社員かのように真剣にグループワークに取り組んでいる参加者たちの姿が見られた。

企業の採用意欲はコロナ前に戻ってきている

テレワークや副業容認など柔軟な働き方がさらに拡がる中、サンカクのサービスは単なる副業や転職だけではない働き方の可能性を見据えているという。イベント終了後、サンカクのグループ責任者であるリクルートの古賀敏幹さんに詳しいお話を聞いた。

――コロナ禍が始まって1年以上経過しましたが、今は業界全般として採用や求人の面で今はどういったタイミングなのでしょうか。

古賀:昨年4月にはコロナの影響もあり、一部の企業で採用を一時見合わせる動きも見られましたが、今はコロナ前の状況に戻ってきている印象です。日本においては、人手不足の構造自体はコロナ前と変わっていません。企業は、こらから時代の新たな産業を築いていくうえでも、副業や兼業人材の力も借りながら、チャレンジをしているタイミングかと思います。

一方で、個人を見ると早くから新しい働き方に対応していた印象です。実際にサンカクのサービス全体のアクセス数は昨年から一気に増加。アクセスもコロナ前は首都圏が多かったのですが、この1年で地方にも増えました。日本全国を通して副業や兼業の視野が広がっているのでしょう。コロナ禍によって距離の壁が壊れたことが、大きなターニングポイントになったと実感しています。

――今回のイベントでは「マーケティングや販売戦略を担当したことがない」という参加者もいました。参加者は新しい業種に転職したくて参加されていたのでしょうか。

古賀:今回のふるさと副業の参加理由としては「自身の経験・スキルを活かせる」などの他、“数年前まで石川県に住んでいた”、“金沢に訪れる度に必ずお店を訪問していた”など石川県という地場への思いや地元企業へ貢献したいという方は多かったです。

普通の転職活動であれば、「違う会社に行きたい」という思いが先にあって、やりたいことやできるところを探すと思います。しかしサンカクは発想が逆です。自分のやりたいことや興味関心を軸として企業との出会いがあり、そこで一歩を踏み出すという流れです。今回もイベント後の感想に「新たな出会いがあった」、「別業界の知見に触れることができた」、「自身の今後のキャリアを検討するうえで、刺激になった」と書いている人も多かったです。

サンカクでは参加した先にどうマインドがチェンジして、結果としてキャリアチェンジの選択肢が生まれることが大事だと思っています。キャリア論の考え方のひとつに「計画的偶発性理論」というものがあります。これはその時々のやりたいことや興味のあることに対して積極的に動くことで、予期しない偶発的な出会いを生み、結果として自分のキャリアチェンジの機会になるということです。ただ待っているだけではなく、何らかのアクションをすれば出会いがあるかもしれない。サンカクはまさに計画的偶発性の形だと思っています。

出会いや機会が自分のキャリアとして返ってくる

――転職や副業と聞くと身構えてしまいがちですが、サンカクのサービスに参加するのは「職を変える」ということだけが目的ではないということですね。

古賀:腕試しをしたい、新しい出会いがほしい、新しいスキルや知識を学びたい、地方に貢献したい。いろいろな動機がありますが、それぞれが独立するのではなく、何らかの割合でブレンドされていると思います。「新たな出会いの先に新しいキャリアがあるかもしれない」という期待を持つ一方で、自分には一歩を踏み出すだけの可能性が本当にあるのか確かめたい。自分にこの仕事ができるかわからない不安と同時に、自信をつけたい意欲もある。「これだけが目的です!」と限定しなければ、職種も業種も企業も可能性が広がっていくはずです。

――個人の働き方を考える上で、「出会いや機会が自分のキャリアとして返ってくる」という流れは、先が見えない時代だからこそ求められていくと感じます。

古賀:副業や兼業に対する価値の捉え方は、プラットフォーム側によって捉え方が違うかもしれませんが、我々サンカクとしては「チャレンジできること」が価値だと捉えています。これは働く個人からするととても大きな価値です。たとえば、マーケティングの経験がない人がマーケティングの打席に立つことができないという状況はできるだけなくしたい。

もちろん打席でヒットを打つためには個人の頑張りや成長が必要になってくるわけですが、そもそもの打席に立てなければ何も生まれません。ただ「事務経験しかないけれども地元の石川県に貢献したい」という人がもし、マーケティングの打席に立つチャンスがあるならばその機会は全力でサポートしたい。その方の思いを綴ることで経験やマッチングが生まれることがあるかもしれませんし、最終的に今の仕事を続けるのか次のキャリアを模索するのかは、その後に考えて意思決定すればいいわけですから。

例えば「飲食や音楽の仕事しかやってこなかった」という人の道が閉ざされるわけではない

――コロナ禍ではサービス業や飲食業、音楽業といった仕事に従事していた人の苦境も取り沙汰されています。このあたりについてはどうお考えでしょうか。

古賀:まず言えるのは例えば、「居酒屋しかやってこなかったから居酒屋以外の仕事はできない」ということは決してないということです。音楽業界においても業界の課題を解決したいなら、どんな業種でも力を発揮するチャンスはあると思います。

未経験なことに対して1回目の打席ではうまくいかずにショックを受けることがあるかもしれませんが、それであれば2回目に向けてまたチャレンジすればいい。サンカクにおいては何度でもチャレンジして頂ければと思います。

――今後、個人の働き方はどのようになっていってほしいとお考えでしょうか。

古賀:「転職」という概念が変わってほしいと思っています。前の仕事と次の仕事がぶつ切りになって変わるのではなく、副業などを通じてグラデーションのように徐々にコミットメントを移していく「コミットメントシフト」を当たり前にしたいですね。そうするとキャリアの階段が連続的になっていきますし、新しい環境に飛び込む心理的ハードルも下がるので一歩踏み出すことが難しくなくなる。その人個人が本当に求めるキャリアの選択につながると思います。

ただ個人の転職がコミットメントシフトになるためには、企業側の受け入れスタンスも求められます。「前の会社80%、うちの会社20%の状態で来られても活用方法がわからない」となってしまうからです。サンカクでは個人の働き方に対する訴求と同時に、企業の体制構築も丁寧にやっていかなければいけないと考えています。

――ありがとうございました!

取材・文/秋山悠紀

【関連記事】「場所や距離の壁はとっぱらってほしい」 サンカクが目指す新しい地方支援のカタチ「ふるさと副業」とは?(2020年10月3日開催)
https://getnews.jp/archives/2764857

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※本イベントは終了しました(2021年12月に次回開催を予定しています)。
https://sankak.jp/event/ishikawa202108

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