昭和のパチプロが令和のパチプロをべた褒め。オレたちよりも‟プロ”だと絶賛のワケ

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◆伝説のパチプロの死から20年

 パチプロと呼ばれる職業がある。パチンコのプロ……文字通り、パチンコで常勝を目指し、勝つことで収入を得る人々である。そんなパチプロの代表格と言われるのが、2001年に亡くなった田山幸憲氏だろう。東大を中退し、パチプロの道に足を踏み入れ1989年から10年以上に渡って『パチンコ必勝ガイド』で『田山幸憲のパチプロ日記』を連載。プロと同時にパチンコライターの先駆け的な存在でもあった。

 今年は田山氏の没後20年を迎える。田山氏が存命だった頃と今では、パチンコは大きく変わった。残念ながら田山氏に「今のパチンコ」について話を聞くことはできない。だが、昭和から平成にかけてパチプロとして生きた元パチプロに、今のパチンコについて話を聞てみた。

◆しっかりと稼げた昭和から平成初期

 話を聞いたのは筆者と旧知の仲である、元パチプロの大島照明さん(仮名・52歳)だ。

「まぁ、確かにパチンコだけで食い始めたのが昭和天皇が崩御するちょっと前だったから、ギリギリ昭和のパチプロと言えるかな(笑)。高校出てブラブラしてる時にパチンコ覚えてのめりこんで……。

 なんとか勝たちたいと思っていろんな雑誌を読んだの。それで止め打ちやボーダーなんかを覚えてね。当時、昭和63年〜平成初期なんて、今と違って回転とか大当たり回数を表示する機械もなかったから、回転数とか大当たりの回数を数えて打ってるヤツなんていなかった。だから、回る台を選んでちゃんと打つだけでも、しっかり勝てた」

 大島さんのスタイルは今でも通用する正統派のパチプロとでも言おうか。よい釘の台を徹底的に打ち込むことで期待収支を上げていくというものだったという。

 当時のパチンコは狂乱の時代とでもいうほど、攻略法が溢れかえった時代でもある。大島さんも攻略法で稼いだという。

「中には大当たりを直接狙えるような攻略法もあったけど、手軽にできて効果抜群だったのは、連チャンを誘発する打法。アタッカーをフルオープンさせるとか、ランプのタイミングで入賞させるとかね。

 ボーダーを越える台を見つけて連チャン誘発打法をしっかりやれば、まず負けなかったね。運悪くデジパチで負けたら羽根モノの釘を読んで良調整の台で負債を減らすこともできたのはデカかった」

 大島さんは当時を振り返って、こう語る。

「みんなどんぶり勘定してるところで、しっかり勘定するヤツが出てくればまず間違いなく儲けをだすことができる。当時のパチンコって、店も客もどんぶり勘定だった。だから、自分みたいなのは稼げたんじゃないかな」

 そのどんぶり勘定体質が、今や業界のクビを締めているのではあるが……。

◆今のパチンコはキツすぎる!

 20代をパチンコに捧げ、稼ぎ、享楽に浸った人生を歩んだ大島さんは、今から20年前の2001年、平成13年にプロとしてスッパリ足を洗い、父親の家業を継ぎ、パチンコとは距離を置いた。足を洗った理由は「打てる台がどんどん無くなっていったから」だ。しかし、今でもパチンコは“嗜む程度”に打つという。

「どんな台が出てるのかチェックもするし、動画で打ち方もみたりするよ。時間が空くとたまに打つけど、最近はホント、釘も渋いし大当たりしても1000発どころか300発くらいしか出ない。こんなんでどうやって勝つんだって。

 大当たりして確変に入ればようやく1500発とか出るけど、そもそも大当たりの確率が1/300以上で、回る台でも1000円で20回くらいでしょ。これだと大当たりしても通常に偏ったら、通常時を打つ時間が長くなって負けがデカくなりすぎてキツいし、確変引いても取り戻すのがキツい」

◆こんな時代にしっかり稼ぐプロ達はすごい

 しかし、こんな時台でもプロとしてしっかり稼ぐ者たちがいるのも事実である。大島さんの目には彼ら“今のパチプロ”はどう映るのだろうか。

「今の若いコたちはすごいと思うよ。止め打ちとか捻り打ちでオーバー入賞させて玉を増やすんでしょ? オレが現役の頃もオーバー入賞狙いする打ち方はあったけど、今の台ほどシビアじゃなかったもん。

 Youtubeなんかで捻り打ちとか、止め打ちの動画を見たことが何度かあるけど、完全に技術職だよね、あれは。オレらの頃以上にやってることは“プロ”だと思うよ」

 大島さんは感心しきりといった様子で、今の時代にパチプロをしている者たちを賞賛する。その理由は「昔よりも厳しい状況なのに勝ち続ける」からだという。

「電チューの開くタイミングを狙って打つのだって、開くパターンが2つあるからそれをミニランプで判別して打ち出す個数を変えて……って、初めて解説動画を見たときは頭混乱したもんな(笑)。

 でもさ、こういう“台のスキ”を見つけて攻略するのって、若いヤツらだからできると思うんだよ。あんな複雑な手順の打ち方なんて、オッサンには無理無理(苦笑)」

◆厳しい状況は続く

 大島さんは今のパチプロたちを賞賛する一方、置かれた立場を危惧する。

「とは言えだよ、やっぱり年々パチンコは効率が悪くなってきてるのは事実だよ。止め打ち、捻り打ちで日当が1万円、2万円も変わるのか?と言えば、なかなか厳しい。店も客もカネがないでしょ、今は。カツカツの経営してるってことは、負けない客、いわゆるプロ存在ってのはこの上なく余計な存在にしかなんないよね。

 厳しい状況でもトータルで勝てばいいと割り切って打っているんだろうけど、それだと長いスパンしっかり打ち切らなきゃいけなくなるし、シビアに打たなきゃいけない。パチンコって本来的に楽しいモノなのに、ストイックに打って楽しいかな……とは思うな」

◆今のパチンコは寂しい……

 大島さんはパチンコが好きだからこそ、今のパチンコ業界やパチプロたちの置かれた状況について寂しさを感じているという。

「プロが存在できるほど豊かな業界だったわけでさ、そのくらいパチンコってやる人も多けりゃ人気もあった。今はもう、叩かれる存在になっちゃったし、やる人もどんどん減ってる。まぁ、寂しいよね」

 20代をパチンコと共に生きていきた大島さんも、形はどうあれ“パチンコ関係者”であることに違いはない。これから先、パチンコはどうなるのか、そしてパチプロという存在はどうなるのだろうか。

文/谷川一球

【谷川一球】
愛知県出身。スポーツからグルメ、医療、ギャンブルまで幅広い分野の記事を執筆する40代半ばのフリーライター。

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