相手が心から動いてくれる「気持ちのいい合意」を生む方法とは?(2)

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私たちは日々、さまざまな「人を動かす」場面に出くわす。
例えば「お客様への提案」「上司への提案」「社内への協力依頼」「社内外との交渉」「メンバー指導」といったことだ。

そして、疑問や反論がないように理論武装して(分厚い資料を作って)話すわけだが、表面的には合意できても、その後、相手が全然動いてくれないということが多々起こる。どうすれば、相手と心からの合意形成ができるのか。

『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者で、TORiX株式会社代表取締役の高橋浩一氏は、相手に心から同意してもらい、気持ちよく動いてもらうためのスキルを本書で解説している。
高橋氏へのインタビュー後編では、本書のキーワードである「共創」が仕事や人生にどんな影響を与えるのか話を聞いている。

(新刊JP編集部)

・インタビュー前編はこちらから

■「共に創るディスカッション」が自分らしい人生をつくり上げていく

――本書で提唱されている「共に創るディスカッション」は、信頼関係が強くなるコミュニケーション術ですね。いかに相手との相互理解を深めて、関係性の壁を乗り越えていくか。相手との関係をより良くする効果があるのではと思います。

高橋:「共に創るディスカッション」は、相手からの信頼感を高めるというのも一つありますが、ニュアンス的には仲間意識やチーム感を高めると言った方が近いかもしれません。それは社外の人が相手でも、社内の上司やチームメンバー、部下相手でもそうです。

――「共に創るディスカッション」を支える7つのスキル(「想定する力」「段取りする力」「理解を深める力」「見える化する力」「思い込みを外す力」「軸を動かす力」「巻き込む力」)について、これは全て身につけないといけないものなのでしょうか。

高橋:もちろん、全部身につけるのが理想ですが、本書をお読みいただくうえでは、7つのうち「これを使えるようになりたい」というものを1〜2つ選んでもいいでしょう。

読んでいただくと、7つのうち「このスキルは普段から意識しているな」というのも出てくるはずです。人を動かすのが得意な人は、7つのスキルを一通り無意識で使いこなしています。本書では、多くの人にとって再現性が上がるように体系化しました。基本から学びたい方にとっては、まずは自分が苦手意識を感じるスキルから選んでやってみるという形でもいいでしょう。

そういう風に身につけていくと、徐々に揃っていきます。本書の原稿を、私が運営するオンラインサロンのメンバー何人かに企画段階で読んでもらったのですが、どの章が一番良かったか聞くと意見がばらけるんです。刺さるところは人それぞれなんですよね。

――人によって得意、不得意が違うぶん、響くスキルも異なったわけですね。

高橋:そうです。それぞれ課題意識も違うし、状況も異なります。だから、どのスキルから身につけても大丈夫です。

――著者の立場から、7つの中で特に重要だと思うスキルは何ですか?

高橋:やはり最初の2つ、「想定する力」と「段取りする力」ですね。これは世界観をつくるスキルですから。

「想定する力」とは、どのような反論や疑問が返ってくるかをしっかり洗い出して想定し、どうなったらゴール達成かをシミュレーションするスキル。そして「段取りする力」は相手の発言を引き出して、双方向のディスカッションになるよう進めながら、資料やアジェンダの組み立てに落とし込むスキルです。この2つができていれば、あとがスムーズに進みます。

「想定する力」では、相手が動いてくれない原因となる4つの壁について書いています。「関係性の壁」「情報整理の壁」「思い込みの壁」「損得勘定の壁」です。

これらの壁が疑問・反論になって表現されるわけですが、人によって得意・不得意が分かれるところがあります。たとえばロジカルシンキングに頼りすぎる人は、理解を深める「関係性の壁」をなかなか乗り越えられなかったりしますし、理解を深めるのは得意だけど話をうまく整理できない人は「情報整理の壁」につまづきがちです。人によって強化ポイントが変わってきます。

――本書のスキルは社内外問わず、あらゆる「人を動かしたいとき」のコミュニケーションで使えるところが強みだと思います。

高橋:この類の本は、「営業術」「上司の動かし方」「メンバー指導術」「交渉術」といった具合に、別々のテーマで書かれることが多いです。しかし、その裏に通っている本質は共通しているというメッセージをこの本で書いています。

――「気持ちのよい合意」を生み出すことで、たくさんプラスの影響があると思いますが、具体的にどのようなものが考えられますか。

高橋:まずは相手との関係性が深まるという点があげられます。最初は意見を異にしていた人との衝突を乗り越えることで、結果として大事な体験を共有でき、仲間が増えるということになります。

さらに、「共に創るディスカッション」を続けていくことで、仕事の影響範囲が広がります。これまで自分と異なる意見を持っていた人と関係を築けると、周囲にいる人の層が必然的に変わります。相手を打ち負かそうとする人よりも、他者と一緒に良い結論を出そうとする人の方に、共感は集まってきますね。結果として、不信をむき出しにしてくる人と無理に付き合わず、気持ちよく仕事ができる人と付き合えばいいようになります。

具体的には、社内で物事を進めやすいネットワークができたり、営業の方でいえばお客様の質が良くなったりします。商品やサービスの価値を理解して買ってくれるお客様が増えれば、価値を理解しようとしないお客様と無理に付き合わなくても、売上が作れるようになるはずです。

また、周りの人の層が変わってくることで、自分の内面も変わってきます。自分が正しいと主張して相手を論破するより、多少の意見の食い違いがあっても乗り越えて一緒に創っていったほうが、一段上のリーダーシップを発揮できるようになります。やっぱり、ついていくなら懐が広い人の方がいいですよね。そういうところも本書の内容につながってきます。

――今おっしゃった「共創型のリーダーシップ」は、多様性の時代のリーダーとも言えそうです。多様な意見を活かしていくのは現代らしいですし、本書で説明されているスキルもすごく活きてきますね。

高橋:はい。次に起こる変化は、自分の内面の弱さをさらけ出しても大丈夫な状態になることです。「心理的安全性」という言葉が流行りましたが、内面の弱さを外に出すことが怖くなくなると、生きるうえでの安心感が出てくると思うんですね。

「自分は仕事ができると証明しないといけない」「みっともないところを出してはいけない」と思いながら仕事をするより、「自分は完璧ではない」とオープンにしながら仕事できたほうが、心は病まないはずです。自然体で仕事に取り組めるようになるので、もともと備わっていた「良さ」や「強み」がより出てきます。

――結果的に自分らしく生きることができるようになると。

高橋:そうです。無理に自分らしく生きようとせずとも、「共に創り出す力」を上げていけば、自然と自分らしい人生に近づきます。

――本書をどのような方に読んでほしいですか?

高橋:「人に動いてもらうこと」に自信がある人は、意外と少ないと思うんです。多くの人は、「相手が動いてくれないのではないか」という不安を持っているはずです。それはしばしば、「過剰な準備」や「無理な論破」につながりがちです。相手からの疑問や反論は悪いものではなく、むしろチャンスにつながるのだということを、不安を抱いている人に知ってほしいですね。それを分かってもらえれば、仕事に対するものの見方が変わるはずです。

また、今の世の中、ビジネスパーソン向けに「言い方」指南の本がすごく増えていますよね。私は、「言い方」のさらに先の世界があると思っています。気持ちよく人に動いてもらうために、「言い方」だけではなく、本質を突き詰めて知りたいという人には、しっかりお答えできるのではないかと思います。

――表面的な合意ではなく、心からの合意を創る方法を説明しているわけですね。

高橋:そうです。「相手に納得感を持って動いてもらうにはどうしたらいいか」を深めたい人は、特にこの本にフィットすると思います。

(了)

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  • 9/21 19:00
  • 新刊JP

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