草刈民代ら舞台「物理学者たち」開幕 “毒とユーモア”で現代を生きる人々へ

【モデルプレス=2021/09/21】ワタナベエンターテインメントDiverse Theater(ダイバースシアター)『物理学者たち』のゲネプロ・プレビュー公演が、19日に下北沢・本多劇場にて行われた。

◆Diverse Theater『物理学者たち』開幕

「多様さ」という意味をもつ「Diverse」を冠に掲げ、様々なクリエイター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を拡げる実験的な新プロジェクトの第一弾。スイスを代表する作家 フリードリヒ・デュレンマットが1961年に書いた普遍的なテーマを孕んだ戯曲「物理学者たち」を、毒とユーモアを併せ持つノゾエ征爾の演出により、現代を生きる観客へ贈る本作。

物語は、サナトリウム「桜の園」で起きた殺人事件を坪倉由幸(我が家)演じるリヒャルド・フォス警部が捜査しているシーンからはじまる。緊張感のあるやり取りの中に織り込まれたクスっと笑える演技や、吉本菜穂子演じる婦長 マルタ・ボルの違和感など、開幕早々に不協和音が感じられ、早くも会話劇の面白さを堪能できる。

ニュートン、アインシュタイン、そしてメービウスを名乗る「物理学者」3人(温水洋一、中山祐一朗、入江雅人)や、メービウスを愛する看護師(瀬戸さおり)、メービウスの元妻リーナ(川上友里)とその家族など、少しおかしなひとたちが入れ替わり立ち代わりに登場。中でもこのサナトリウムを経営する院長マティルデ・フォン・ツァーントを演じる草刈民代は、バレエで培った凛とした立ち姿や身のこなしは封印し、「背中の曲がった老嬢」を怪演。院内で煙草を吸う院長らしからぬ場面も。観たことのない草刈の姿が見られること間違いなしだ。

度重なる殺人事件の真相に近づく第2幕、タイトルロールである「物理学者たち」3人が、科学者としての責務や思想を巡り、白熱した議論を繰り広げるシーンは圧巻。温水・入江・中山の個性が光る競演が見所だ。議論の末、それぞれが答えを見つけたかと思った矢先、急転直下の展開が待ち受ける。

コロナ禍を生きるすべての人々に向け、今上演するにふさわしい戯曲選びから始まり、唯一無二のキャスト・スタッフと共に稽古と準備を重ね、無事に開幕の日を迎えた同作。キャスト、プロデューサーらが公演への意気込みをコメントした。(modelpress編集部)

◆院長 マティルデ・フォン・ツァーント役 草刈民代コメント

私達は行き過ぎた資本主義によって生じる弊害に振り回されています。そして、このコロナ禍によって、自分たちが本来どのようにあるべきかを考えざるを得ない局面を迎えています。作者のフリードリッヒ・デュレンマットはすでに60年前にそのことについて熟考していた人だということがよくわかってきました。この作品は喜劇と作者自身が定義をしています。登場人物はヘンな人ばかり。しかし、一番ヘンなのは…?強烈な批判が込められているこの作品を、ノゾエ征爾さんは彼の世界観でエンタテイメント作品にしました。ぜひぜひ多くの方に観ていただきたいです!

◆プロデューサー 綿貫凜コメント

日本ではあまり馴染みのない、スイスの奇才・フリードリヒ・デュレンマット作「物理学者たち」は、ドイツ語圏でロングランしている傑作です。劇構造がユニークで、コメディ、サスペンス、シリアスとあらゆる要素が盛り込まれており、最後の最後まで奇妙な登場人物たちに私たちの脳は刺激され続けるのです。どうかこの思考を止めない迷宮を存分にご堪能頂けたら幸いです。私にとっては、今年このコロナ禍で2月にジャン=ポール・サルトル作「墓場なき死者」、5月にカレル・チャペック作「母 MATKA」に続き本作が3本目の翻訳劇の上演となります。いずれも負の連鎖と人間のむき出しのエゴを描き、時代を超えて訴えかけてくる戯曲です。そして今、この日本で、デュレンマットを「発見」できたこと、それにはとても大きな意味があると感じています。この作品の上演は、間違いなく私にとってターニングポイントとなりました。最後になりますがこの企画にご尽力いただきましたすべての関係者の皆様そして貴重なお時間を共有して下さったお客様に、心より深く感謝致します。

◆プロデューサー 渡辺ミキコメント

今回「ワタナベエンターテインメントDiverse Theater」を立ち上げ、オフィスコットーネ 綿貫凜プロデューサーとの共同創作を進める中も、社会情勢は日々めまぐるしく変化しています。そんな中、上演台本・演出のノゾエ征爾さんをはじめ、選りすぐりの俳優陣の皆さんは、デュレンマットが「物理学者たち」に込めた社会の構図の普遍的課題を、各所にちりばめられたユーモアと共に浮き上がらせるべく芝居作りに励んでまいりました。演劇の多様性を模索しつづけた作劇の冒険が、コロナ禍という困難を乗り越え、1961 年に執筆された本作を甦らせると信じて。本日は、本多劇場に足をお運びいただき、誠にありがとうございます。ここ劇場という人生の縮図の場所で、毒と笑いの名作に、存分に没入いただけたら幸いです。

【Not Sponsored 記事】

関連リンク

  • 9/21 18:25
  • モデルプレス

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます