有吉弘行の守護と防衛「だから恥の多い人生になっていくよ」

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月28~4月3日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

有吉弘行「恥の多い人生になっていくよ、お互い。だけどそれは、成長だと」

 もはや、女性アナウンサーと男性芸人が結婚することは珍しくない。けれど、この組み合わせは「おっ」と思ってしまう。

 有吉弘行と夏目三久が結婚。それが公式に発表されたのは、2日の夜のことだった。

 NHKと民放キー局すべてで冠番組を持つ芸人と、帯番組を担当し毎年テレビ番組の出演本数ランキングでは女性部門の上位に入る女性アナウンサーの結婚。おそらく、日本でもっともテレビに出る夫婦になるのではないかと思う。丸山桂里奈・本並健二の比ではない。先週始まった朝の帯番組『ラヴィット!』、その2日の放送で、金曜レギュラーを務めることになった太田博久(ジャングルポケット)と近藤千尋の夫妻が「この番組をきっかけに、このユニットとして活動していこうかなと」(太田)、「これを機にCM3本ぐらい決めたいと思ってます」(近藤)とそれぞれ語っていたけれど、もちろんその比でもない。

 そして、どうしたって連想してしまう。

 結婚発表があった2日の夜に放送された『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)。夏目と有吉が共演していた『マツコ&有吉の怒り新党』(同前)の後続番組である同番組で、たとえば久保田直子アナが「有吉さん、肌ツヤよくなりましたよね」と語ったり、マツコ・デラックスが「凛々しくなった」「爽やかになった」と語ったり、最近の有吉の変わりぶりにタイミングよく触れているのを見ると、2人が感じ取った有吉の変化と結婚をどうしたって紐づけてしまいたくなる。

 また、ここ数年、長距離を歩いたり、醤油を自作したり、しいたけを育てたりといった、健康的で丁寧な生活を実は送っていることをテレビで繰り返し語ってきた有吉。そんな有吉について、マツコが「この人はコソコソっとやってるタイプじゃん」と語っていたりしても、その言葉に実は水面下で進んでいた結婚への歩みを読み込みたくなってしまう。

 さらに、有吉のこんな言葉にも、妄想が膨らんでしまう。ギックリ腰になったことをきっかけに、ジムに通い始めたというマツコ。朝早く目が覚めてしまうので、生活が朝型になってきたという有吉。そんな2人はそれぞれ過去に、ジム通いや朝型の生活など健康的なライフスタイルを散々皮肉ってきた。そんな過去があるからこそ、これから先は「恥」が待っているかもしれないと有吉は語る。

「恥ずかしい何年間になるかもね。僕なんかもそうだけど、『朝早くから起きてジジイかよ』って(昔は)言ってたけど、自分が(朝型に)なるじゃない。マツコさんもそうじゃない。『なにジム行ってるの』とか」

 さらに、付け加えて言う。

「だから恥の多い人生になっていくよ、お互い。だけどそれは、成長だと」

 結婚が報じられて以降、結婚や恋愛に関する有吉の過去の言動がいろいろ掘り起こされている。それを先んじて制するかのように、有吉は過去の自分の発言が今の自分の行動とそぐわなくなってくる状況を「恥の多い人生になっていく」と笑い、「だけどそれは、成長」と断じた。

 事前に置かれた布石のような、あるいは前もって張られた防御線のような有吉の言葉。どこまでが偶然でどこまでが意図的なのかはわからないわけだけれど、どうしたってその言葉に「おっ」と思って、結婚に関連づけてしまいたくなる。もしかしたら、罠かもしれない。

 ところで、有吉はとにかく芸能情報に詳しい。番組を見ていると、彼はゲストや話題などから連想される芸能情報を随所で細かく挟んでいく。それにうまくノッたりツッコんだりしてくれる共演者がいる番組、たとえば『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京系)では、芸能情報の挿入率が特に高い。数が多いぶん、くだらなさの度合いも高い。

 たとえば28日の放送では、高級腕時計が倍近く値上がりしたため盗まれるのが怖くてつけられないという田中卓志(アンガールズ)に対し、有吉は「石田純一さんみたいに」と言う。石田がイタリアで新婚旅行中に500万円の腕時計を奪われたという話をふまえたひと言だ。これに「イタリアじゃないからそんなことはないよ、都内は」とトシ(タカアンドトシ)が丁寧にツッコむ。

 あるいは、グラビアアイドルや女優として活動するゲストの大原優乃を、タカアンドトシのトシが「大原優乃ちゃんでーす」と呼び込むと、名前を掛けて「クワバタオハラちゃんだ」とボケる。さらに「弟と仲良しなんだよね」と大原に関する情報を挟む。

 背の低い円柱状のものを見つけると、それを漫才のマイクに見立てて「えー、どうも囲碁将棋でございます」と、共に180cm超えの高身長コンビ、囲碁将棋の名前を出してボケる。手の消毒液を首元に香水のようにつけてトシに「コロンじゃないっすよ」とツッコまれると、「コロンをたたいて~」と口ずさみ、アンガールズ・田中とCOMPLEXの『恋をとめないで』を歌い始める。

 そして、高級ホテルの料理を共演者と食べていると、「北海道のコミュニティラジオやってるとき思い出すだろ?」とゲストのトム・ブラウンに呼びかける。呼びかけられた側も「なんで知ってるんですか? 『さっぽろ村ラジオ』のことなんで知ってるんですか?」と、かつて2人がパーソナリティを務めていた北海道のコミュニティラジオのことまで知っている有吉に驚きを隠せない。

 有吉はこんな風に、番組の端々に細かい芸能情報を挟んで状況を笑いに変える。そして、その膨大な情報をバックボーンに、いわゆる“あだ名芸”の頃から続く彼の“テレビ批評芸”と呼べるようなものが繰り出される。

 先週でいえば、1日の『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)で、ゲストのYOASOBI・Ayaseに対し「30年後はELT(Every Little Thing)みたいになっていくんでしょ? いっくんみたいにならないでよ?」とツッコんでいたりとか。熟練の司書のように、有吉は自分の頭の中に構築された芸能界に関する膨大なアーカイブの中から、関連する情報を瞬時に引き出してくる。そのレファレンス能力に改めて驚く。

 そして、そんな有吉だからこそ、芸能人としての自分のテレビでの映り方もふまえて、結婚までの道筋を慎重に歩んできたように見える。

 今回の突然の発表に対し、芸能人だけでなく、ワイドショーがマイクを向ける街の人からもしばしば聞かれるのが「有吉らしい」という声だ。結婚について公式発表だけを淡々と行い、後はおおむね普段どおりに過ごす。そこに一般の人も「有吉らしさ」を自然に読み取ってしまっている。山里亮太が結婚したときには、「ホントは優しい」とか「ホントは気配りができる」という評価が湧き起こり、それに対して“掌返し”というような見方もあったわけだけれど、今回はそんな「優しい」「気配りができる」という周囲の評価が「ホントは」を外してストレートに発信され、ストレートに受け止められているようにも感じる。

 それもこれも、彼がこれまでの言動で長い時間をかけて自身の“キャラ”の背後にある“人柄”のようなものを浸透させてきたからだろう。

 おそらく今後、有吉は「有吉らしく」、結婚生活について自分から話すことはあまりないはずだ。夏目と番組で共演したり、CMに出たりすることもまずないだろう。そして、そんな彼を改めて、私たちは「有吉らしい」と受け止めるだろう。もし仮に共演とかがあったりしても、次の言葉が効いてくる。

「だから恥の多い人生になっていくよ、お互い。だけどそれは、成長だと」

 もちろんそれが本当に彼が備える“人柄”なのかは別にして、いつの間にか私たちは彼の“人柄”を、「有吉らしさ」をとてもよく知っていた。そのことを改めて感じる結婚発表だった。その「有吉らしさ」が、何よりも周囲の喧騒から2人を守るのかもしれない。

  • 4/6 14:00
  • サイゾー

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