菅野美穂のすごい“バラエティ体幹”とドラマのリアリティライン

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(1月10~16日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

菅野美穂「ゴッホより、普通に、ラッセンが好っきー!」

 バラエティ番組で面白い若手の女性俳優枠、というのがあるとすると、今は誰が入るのだろうか。20代に限ると、松岡茉優、広瀬アリス、伊藤沙莉といった名前がまずは思い浮かぶ。森川葵、芳根京子、杉咲花といった名前もあがってくるかもしれない。YouTubeでの活躍も目覚ましい本田翼、川口春奈も外せない。髙橋ひかるや岡田結実などになると、もはやタレントとの境目が曖昧だ。髙橋はまだ10代だけど。

 そんな群雄割拠なバラエティ番組で面白い若手の女性俳優枠。勝手に“枠”を作って群雄割拠とか言っているのだから世話がないわけだが、いずれにしても、その“枠”について考えるときに私の脳裏によぎる“かつての若手”の名前がある。菅野美穂だ。

 昨年末の『絶対に笑ってはいけない大貧民GoToラスベガス24時!』(日本テレビ系、2020年12月31日)では、鬼越トマホークと喧嘩芸をしていた菅野。以降、自身が主演する新ドラマ『ウチの娘は、彼氏ができない!!』(日本テレビ系)の番宣で次々とバラエティ番組に出演している。

 たとえば、13日の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)では、お笑い好きの菅野にフィーチャーされる企画が放送されていた。

 彼女の芸人好きは筋金入りだ。テレビ局の廊下でオードリーの春日俊彰とすれ違い、トイレに行くのを見た彼女は、「ちょっと待ってたら確実に会えるんだなと思って。トイレの出待ちをしました」と語る。

 また、永野も好きだという菅野。

「母みたいな目線になっちゃって。スベってるのを見てると、心配もあるし、かわいいなもあるし」

 そういうと、スタジオに登場した永野と一緒に、髪をかきあげながら例のネタを披露する。

「ゴッホより、普通に、ラッセンが好っきー!」

 ネタが終わってもさまざまなカメラに向けてポーズをとるフリーダムな菅野に、思わず笑ってしまう。

 さらに、ハリウッドザコシショウも好きだという菅野。ザコシショウが「誇張した福山雅治」をやるときの例のメガネ型おもちゃを手にすると、「ものすごく嬉しいです。ものすっごく」と歓喜。「実に面白い」とやってのけるのだった。

 もともとバラエティ番組の中で結成されたアイドルグループ出身の菅野。俳優としての仕事が増えてからもバラエティ番組の出演が多く、ドラマの番宣でバラエティに出たときには芸人顔負けの“爪あと”を残すことも少なくない。

 そんな菅野のバラエティ番組での立ち振舞いの面白さ、あるいは“バラエティ体幹”と呼べるようなもの。今回の出演は先述の主演ドラマの番宣だったのだけれど、第1話の放送を見た限りではなんだかコミカルとシリアスの演技の境目がシームレスな作品で、そのリアリティラインの維持は菅野の“体幹”に負うところが大きいという印象も受けた。そういったドラマが始まるから、バラエティの菅野美穂を改めて視聴者に印象づけているという面もあるのかもしれない。

 いずれにせよ、なんだか菅野美穂の“バラエティ体幹”を久々に堪能している昨今。今度はザコシショウと一緒に「ピリピリピリ……」と誇張した半沢直樹をやる姿を見たい。

 久々に堪能したといえば、15日の『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)。報道番組という設定でお送りされているバラエティ番組だが、今回は冒頭で「重要なお知らせ」が。司会の有田哲平(番組内では「アリタ哲平」名義)によると、この春から『脱力タイムズ』は報道番組と歌番組の2部構成にリニューアルするという(これもまたフェイクなわけだけれど)。

 で、今回はそのリニューアルに先駆け、特別企画として「泣ける名曲10選」をお送りする展開。ただ、10曲と言いつつ番組側が用意したのは6曲。足りない4曲はこの日のゲスト、みやぞん(ANZEN漫才)が即興で披露することになった。

 有田がまずみやぞんに振ったのは「涙のソーシャルディスタンス」というタイトルの曲。みやぞんは「ALFEEさんの歌ですか?」などと戸惑いつつ、ギター1本で弾き語りを始める。が、突然の要求にもかかわらず、アドリブで歌われたのはなんだかいい曲。歌い終えたみやぞんも自画自賛する。

「ちょっと……いい歌だったんじゃないですか? 降りてきたんですよねぇ」

 その後も、「涙のうまい棒サラミ味」「涙の菅内閣」などと無茶なタイトルを振られるものの、結局は味のある曲を即興で歌い上げてしまうみやぞん。ゲストの芸人を追い込む展開が面白い同番組だが、この日はそんな番組側の追い込みをみやぞんの“異能”が乗り越えてしまう流れとなった。

 予想外の展開に、有田は「ちょっとすみません、1回止めてもらっていいですか?」「どんなお題をやれば困っていただけるんでしょうか?」などと戸惑う素振りを見せる。対するみやぞんも、番組側の意図を汲み取ってか「駄目だ今日降りてくる」「2個前ぐらいの歌詞がバンバン頭に出てくるんですよ」と困惑の表情を見せる。

「これ違う番組になっちゃいますよ。こういうとこ僕ありますから、気をつけてください」

 最終的には有田が「いやー、参りました。僕も含めた大人がですね、2日か3日ぐらいかけて会議をした企画なんですよ」「我々の会議もまだまだですね」と白旗を揚げる展開となったのだけれど、いや、もはや『脱力タイムズ』に関しては、どこまでが番組の演出で、どこからがハプニングなのか、見ているだけではわからない。今回の流れに関しても、少なくともプランBのような形で想定していたのではないかと思ったりもする。これまで数々の“裏切り”を見せてきた番組は、「『脱力タイムズ』といえば」という形を“裏切る”仕掛けも準備していたというか。考えすぎかもしれないけれど。

 いずれにせよ、みやぞんの“異能”を久々に堪能した放送だった。

  • 1/19 18:00
  • サイゾー

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