『逃亡者』な渡辺謙、逃げ切る道筋が見えない渡部建 有吉弘行「そろそろケン・ワタベもね」

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(11月29~12月5日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

有吉弘行「ケン・ワタナベが出たんですから、そろそろケン・ワタベもね」

 テレビがブラウン管ではなくなり画面がフラットになっても、テレビをフラットに見ているわけではない。たとえば、少し前に映画『ジョーカー』の話題をバラエティ番組で繰り返し見た週があった。

・千鳥のノブと弘中綾香アナウンサーが『ジョーカー』をモチーフにした『ノブナカなんなん?』(テレビ朝日系)の番組ポスターを撮影(『テレビ千鳥』テレビ朝日系、11月22日)。
・霜降り明星・粗品の衣装がジョーカーに似ているとイジられる(『霜降りミキXIT』TBS系、11月23日)。
・対決で負けたサンドウィッチマンの富澤たけしが、罰ゲームでジョーカーのメイクのままで帰宅(『バナナサンド』TBS系、11月25日)。
・歌舞伎の隈取メイクをした出川哲朗の顔がジョーカーに似ているとイジられる(『出川・爆問田中・岡村のスモール3』フジテレビ系、11月28日)。

 たまたまこの週に集中したのかもしれない。けれど、『ジョーカー』はよくツッコミの例えなどで使われているはずだ。実際は、『テレビ千鳥』のポスター撮影の企画がとても面白かったので、私が「そういう目」になって『ジョーカー』の話題が「目についた」のではないかと思う。じゃないと粗品の衣装へのツッコミまで引っかからない。

 で、これも「そういう目」になっていたからかもしれない。3日に記者会見をしたアンジャッシュの渡部建の話題を、先週はバラエティで繰り返し目にした。

 たとえば、大喜利番組である5日の『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)で、「渡部の件で明日は我が身的にビビりまくってそうな芸能人 第1位は?」というお題が出た。ちなみに、バカリズムの回答は「えなりかずきさんです」。

 また、渡部がしばしば出演していた『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)でも、4日の放送で、有吉弘行が渡部に「(活動自粛中は)予約した店全部僕が行きます」とメールをしたが一切連絡がないと話題に。その後も番組では、渡辺謙がVTRゲストに出演すると「ケン・ワタナベが出たんですから、そろそろケン・ワタベもね」と有吉がイジるなどしていた。

ブラックマヨネーズ・小杉「あの人の再放送をみるようですわ」

 あと、3日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)。この日の企画は「ついつい深夜に食べちゃう芸人」で、ひな壇にはブラックマヨネーズの小杉竜一や、サンドウィッチマンの伊達みきおなど。番組では過去にも「ついつい食べ過ぎちゃう芸人」など類似の企画が放送されており、この手の企画のときには小杉らとの対比で「ちゃんとしてる芸人」として渡部がよく出演していた。

 で、今回、渡部のポジションで出演していたのは東京03の飯塚悟史だ。

 伊達や小杉らは相変わらず「蜂蜜は半透明だからカロリーゼロ」「ティッシュより肉のほうが体にいい」「夜食は『いただきます』と言わないので体が食事だと思っていない。だから太らない」などと独自の理論を展開。これに飯塚が「ちゃんとしてる」立場から逐一ツッコミを入れていくのだけれど、そんな飯塚に小杉がさらにツッコむ。

「あの人の再放送を見るようですわ」

 いや、これまでも芸人たちは芸能活動自粛以降の渡部を随時イジってきた。だから先週が特別だったわけではないのだけれど、タイミングがタイミングだけに目についた。「そういう目」で見てみると、会見当日、3日の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)のゲストに渡辺謙が出演していたのも、5日・6日と2夜連続で渡辺謙の主演ドラマ『逃亡者』(テレビ朝日系)が放送されたのも、すべて渡部イジりに見えてくる。不倫つながりだし。

『逃亡者』というタイトルも狙っているように錯覚する。ドラマで逃げてたのが渡辺で、会見から逃げてたことを批判されたのが渡部。会見で記者と世間から逃げ切ったのが渡辺で、今のところ逃げ切る道筋が見えないのが渡部だ。

 とにもかくにも、例の渡部の会見も含め「どういう目」で見るかによって彼の評価は違うのだろう。けれど「そういう目」の私は、とりあえず有吉にポン酢の瓶でぶん殴られる渡部が見たい。

 同じ週に同じ話題が出てくるといえば、先週は「みちょぱちょぱちょぱ」と2回聞いた。1回目は、『IPPONグランプリ』で、笑い飯・西田幸治が大喜利で「みちょぱちょぱちょぱ」を含んだ回答を。2回目は、30日の『かまいガチ』(テレビ朝日系)で、かまいたち・山内健司が即興ラップをする流れで「みちょぱちょぱちょぱ」と発言。これも普段から、みちょぱはテレビで「ちょぱちょぱ」言われてるのだと思う。というか、みちょぱがテレビに出ずっぱり。今日もテレビはみちょぱちょぱ。

 話は変わって、30日の『あさイチ』(NHK総合)。この日は番組後半で、「男だから」「女だから」といった「性別の押しつけ」が話題になっていて、そこにヒコロヒーとみなみかわが漫才を披露していた。

 2人のネタは男性がスタンダードになっている芸人の文化にツッコミを入れるもの。ネタの後半では女性のヒコロヒーが「男みたいな女」を、男性のみなみかわが「女みたいな男」を演じ、役割を反転させて社会のジェンダーバイアスを浮き彫りにする。2019年のM-1グランプリ予選で話題になったネタが元だけれど、批評性が高い上に面白い。視点を反転して、新しい「そういう目」を備え、世界を改めて眺めることの面白さ。

 で、2人の漫才にはこんなくだりがある。ピンスポの中で大喜利をやってみたいというヒコロヒー。大喜利のお題は、「こんな『ドラゴンボール』は嫌だ」とか「こんな『北斗の拳』は嫌だ」とかばかりだと嘆く。

「うんざりですよ男寄りのお題ばっかり。『こんなママレード・ボーイは嫌だ』でしょ」
その後も彼女は「男芸人が平場とかで『(グラップラー)刃牙』のボケとかいってるとき、女芸人どうしてると思ってるんですか。隅の方いって、愛想笑いさしてもろてます」などとネタにした。

 そんな漫才が終わると、ゲストの光浦靖子が言う。

「『ママレード』のほうが逆に(わからない)。世代が違うのかな? 『刃牙』のほうがわかる」

 この光浦の何気ない補足、性別にせよなんにせよ、多様性はカテゴリーとカテゴリーの間だけでなく、ひとつのカテゴリーの中にもあることを改めて感じさせる。多様性の名の元で得てして単純化されかける現実を、改めて多様性に差し戻す。そんな空気を読みつつ水を差す所作が面白い。

 もちろん、カテゴリーを際立たせるのも面白い。5日『ゴッドタン』(テレビ東京系)では「マジ歌ルーキーオーディション」の後編が放送されていて、そこで蛙亭の岩倉美里が「今まで作家さんに言われてきた言葉」を歌詞に乗せて歌った。

「女にしては面白い」「女がネタ書いてるんだ? 意外だな」「女がハゲのカツラを被ってるのは笑えない」「トガってる女は痛々しい」「相方に抱きついてるネタのときは胸は当たってるの?」「普通に可愛く見えて、ネタが入ってこなかった」

 そう立て続けに羅列した彼女は叫ぶ。

「全部ヘラヘラして乗り越えてきた。全部ヘラヘラして耐えてきた。耐えられた理由はただひとつ。私は……私はお前らより絶対に面白い。面白くないやつに見下されても全然悔しくない。面白い人は性別で笑いを判断しない。そこにある、ただ面白いか面白くないか、ただそれだけ。それだけが紛れもない真実」

 アーティストのMOROHAが好きだという彼女が畳み掛けるように歌う、ド直球なマジ歌。聞いた劇団ひとりも「鳥肌立ってる」と感想を。なるほど、テレビの画面がフラットになっても、そこに映るものはザラザラし続けるのだろう。

 最後に、3日の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)。キックボクシングの那須川天心が、「タレントとして生きていきたいんですよ。テレビとか呼ばれるんですけど、格闘家のとかじゃなくて、普通にタレントとして呼ばれたい」と言っていて、もう「そういう目」で見てしまう。すごいなぁ。同番組での熱湯風呂へのチャレンジはあまり面白くなかったけれど、「あの程度でなれる」ものとしてタレントを認識しているのだなぁ。キックボクシングでの輝かしい戦歴があれば、タレントになれるのかなぁ。私は格闘技を知らないので、よくわからないのだけれど。

  • 12/9 13:00
  • サイゾー

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