「女子メンタル」峯岸みなみの攻防と女性タレントたちの“物語” 松本人志「俺、絶対無理やわ」

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(10月18~24日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

松本人志「俺、絶対無理やわ」

 松本人志が新たに提案する「超実験的お笑い企画」と銘打ち、24日に放送された『まっちゃんねる』(フジテレビ系)。複数のコーナーが放送されていたが、中でも大きな笑いを生んだのは「女子メンタル」だった。

 もとになっているのは、Amazon Primeで2016年から配信されている『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』。参加費100万円を持参した10人の芸人たちが密室に集められ、笑わせ合いを6時間にわたり行う企画だ。笑ってしまうと審判役の松本からレッドカードを喰らい、退場。最後まで生き残った者に賞金1000万円が贈呈される。

 そんな『ドキュメンタル』をベースにした今回の「女子メンタル」だが、出演者に芸人はおらず、集められたのは女性タレントのみ。ファーストサマーウイカ、峯岸みなみ、朝日奈央、ゆきぽよ、浜口京子、金田朋子、松野明美の7人だ。制限時間は2時間半。優勝者には賞金ではなく、「バラエティ女王」の称号が与えられる。

 彼女たちの戦いを別室でモニタリングしているのは、松本に加え、FUJIWARAの藤本敏史、野性爆弾のくっきー!、フットボールアワーの後藤輝基。本編にも出演経験がある彼らからは、今回の企画は一切笑いがないまま終わる可能性もあるのではないか、との声も漏れ出た。

 しかし、その心配はいい意味で裏切られる結果となる。

 開始直後から積極的に攻撃を仕掛けていったのは、声優の金田朋子だ。笑い袋を叩いて部屋を走り回る。シロテテナガザルが危機感を覚えたときの鳴き声と同じ波長だといって繰り返し叫ぶ。10円玉を鼻に入れながら白目をむく。口にげんこつをツッコミながらやはり白目をむく。

「俺、絶対無理やわ」

 松本もそういって笑ってしまう彼女の“奇行”が、スタート前には和気あいあいとした雰囲気も見られた部屋の空気を徐々に狂わせていく。

 ランニング教室を始めるといって共演者と机の周りを走る松野明美。背を向けて『マツケンサンバⅡ』を踊り始める浜口京子。共演時に連絡先を渡されたタレントの名前を暴露する峯岸みなみ――。

 そんな混乱し始めた状況に、別角度からの笑いを投げ込んだのはファーストサマーウイカだ。

「最近この世界に入って、いろいろ勉強せなアカンな思って本読んでるんですけど」

 そういって彼女がバッグから取り出したのは、松本人志の『遺書』と『松本』。いずれも付箋がびっしりと貼ってある。しかし、次に出てきたのは付箋が一枚も貼られていない浜田雅功の『読め!』だ。“笑いのカリスマ”へのリスペクトの高さと、その相方に対するぞんざいな扱いの落差が笑いを誘う。

 なお、本編の『ドキュメンタル』では、こういった仕込みの笑いが多用される。くっきー!が作ってくる大助花子の合成写真が典型例だろうか。ウイカのネタはこれに準じたものに見える。また、彼女は今回の企画の中で、笑いを我慢する際に目を見開いたり、うまく目を逸らしたりといった動きを見せてきたが、それは本編で芸人たちが繰り返し見せてきた動作にも重なる。セットや効果音、カメラワークなどの面で本編とほぼ同じに作られていた今回の「女子メンタル」だが、周囲への細かなツッコミやフリも含め、ウイカはプレイヤー側から「女子メンタル」をドキュメンタル化していたように思う。

 さて、机の上に置かれた松本の著書。これを見たゆきぽよがつぶやく。

「松本人志の『松本』っていう本さ、ネーミングに頭使わなさすぎじゃない?」

 出版から25年経った“笑いのカリスマ”の”聖書”のタイトルに、「頭使いなさすぎ」とツッコミを入れるギャル。戦いが中盤に入るころ、徐々に彼女がその牙をむき始める。

 突然、部屋に曲が鳴り響く。

 歌いながら部屋の奥から登場したのは峯岸みなみだ。曲は剛力彩芽のデビュー曲『友達より大事な人』(2013年)。当時の剛力を想起させるショートカットのカツラを被った峯岸が、軽やかなステップを踏みながら、同曲がCMで使われていたランチパックを出演者に配り始める。そして披露されるプロペラダンス。CM放送当時、少し話題になったやつだ。程よい懐かしさとAKB仕込みのキレのいいダンスが笑いを誘う。

 そこにゆきぽよが切り込む。

「ヅラはいつぶりですか?」

 かつて、恋愛禁止の暗黙のルールがあるとも言われていたAKB48において、スキャンダルが報じられた峯岸。頭を丸めた謝罪動画がYouTubeに投稿されたのは2013年だ。今回の「ヅラはいつぶりですか?」とは、丸刈り後の彼女がしばらくウィッグをつけながら活動していたことをふまえた発言である。「峯岸→坊主」という連想を直線的に結ばず、その間に「ヅラ」を挟んで想像と笑いの余地を開くゆきぽよのワードセンスにしびれる。

 さらに、ゆきぽよはスマホを触りだす。検索ワードは「峯岸みなみ 坊主」。彼女がスマホをつないでモニターに映し出されたのは、“あのとき”の坊主の写真だ。その画像の横に並んで座る峯岸。「肌のツヤとかもそのまま」「全然変わらない」「めちゃめちゃ可愛いね」と言いながら、周囲が両者を見比べる。ゆきぽよの機転と、その後の冷静なやりとりが可笑しい。

 その後は、出演者それぞれが“らしさ”を見せつける時間が続く。ハリウッドザコシショウの誇張モノマネに対抗すると言って、半沢直樹や浜田雅功の超低速モノマネを披露する金田。剃りを深く入れたヅラを被って一瞬だけ小窓から登場する浜口。SNSの写真をみんなに選んでほしいといって、自分の写真の間にシャ乱Q・はたけの写真をサブリミナル的に入れ込みながら見せていくウイカ――。彼女たちの持ち味を活かした攻撃が、他のプレイヤーたちの我慢顔と別室の松本らの爆笑を量産していく。

 そんな中、流れが大きく動く。

 端緒となったのは峯岸だ。部屋の奥から布で身を隠しながら登場した彼女。布が落とされたとき、そこにいたのはガチャピンの格好をした峯岸だった。ガチャピン似と呼ばれてきた自身の顔をネタにした格好だ。お面の奥にわずかに見える見開かれた目に笑ってしまう。

 そこにさらに『NIGHT OF FIRE』をかけながら、せんとくんの格好をしたゆきぽよが登場。ギャルらしく真顔で、しかし姿はまったくギャルらしくないせんとくんで、パラパラを踊り始める彼女(なお、奈良県の公式ページによると、せんとくんはダンスが得意)。さらにそのパラパラにガチャピン峯岸が共振し踊り始める。徐々にフリーダンスに移行し、ゆきぽよを挑発する峯岸。にらみ合うガチャピンとせんとくん。この場面、私は久々に笑い泣きした。

 曲が終わる。しかし、攻防は終わらない。

「ゆきぽよがパラパラやってるとこ邪魔しちゃって、すいませんでした」

 そう言ってガチャピンのお面を取り、顔面を突き出してゆきぽよに迫る峯岸。さらにおでこを見せ、“あのとき”を想起させる。自身が抜いた刀で切り返された格好のゆきぽよは陥落。耐えきれず笑みを見せるのだった。松本は言う。

「これ相当、峯岸のポイント上がったよ」

 残り時間が15分を切ったころ、戦況は徐々に峯岸包囲網の様相を呈し始める。

 今回、開始直後から攻撃的な姿勢を示し多くの笑いどころを作ってきたのは金田朋子だった。本編の『ドキュメンタル』では、特殊な環境で意外な“強さ”を見せ、結果を残す芸人がいる。ザブングルの加藤歩やオードリーの春日俊彰、品川庄司の庄司智春などが挙げられるだろうか。いつものバラエティ番組では言動の”空回り”ぶりに焦点があたることも多い金田の奮闘には、そんな芸人たちの姿が重なる。
 
 金田は最終盤でも超攻撃的な姿勢を緩めない。パンスト相撲をやろうと言い出すと、これまでパンストを被ったどの芸人も見せたことがないような類のパンスト顔を見せる。それにウイカも追随する。パンストを被った顔で峯岸に迫る2人。峯岸は必死に笑いをこらえる。

 さらに、仕掛けたのが朝日奈央だ。

 朝日はこれまで、あまり見せ場という見せ場がなかった。序盤、得意の10円玉芸を見せた。中盤、仕込んだ衣装やカツラを身に着け、部屋の乾燥を気にする松本人志のモノマネを披露した。終盤、志村けんが着ていたような白鳥の衣装でバレエダンサーとして登場した。しかし、いずれも大きな笑いにはつながらなかった。

 が、そんな彼女が最終盤、今回の「女子メンタル」で最大級の爆弾を投下する。部屋の奥から登場した彼女が身につけていたのは、毛量の多い角刈りのヅラと、漫画『ゴリラーマン』のように顔の下半分が長いお面。小首を傾げながら周囲を見回す朝日は、バレエダンサーの衣装も着たままだ。そのキメラのような組み合わせに笑ってしまう。

 朝日が峯岸を攻める。せんとくんのゆきぽよ、パンストを被った金田とウイカも引き続き峯岸に迫る。波状攻撃をたえる峯岸。

 さらにゴリラーマン朝日は、「ごめんなさい!」と土下座しながら上目遣いで峯岸を見上げる。アイドリング!!!出身で、師匠・バカリズムに鍛えられバラエティのイロハを学んだ彼女。しかし、グループ脱退後はその技術をうまく仕事につなげられない時期がつづいた彼女。そしてようやく、“NG無し”で日の目を浴び始めた彼女。そんな朝日のストーリーが、仕込んだ笑いがうまくハマらない状況が続いた末に、最後に大きな爆発を見せる姿に重なる。

 そして、終了を告げるブザーが鳴る。

「最後、どんなスポーツよりも『頑張れー』言うた」

 フットボールアワー・後藤が最後の攻防を振り返る。同感だ。

 松本らの協議の結果、今回の優勝は、終始アグレッシブに攻撃を続け、最後の攻撃にも耐え抜いた峯岸みなみ。優勝者のジャケットを羽織り、両手を突き上げる。その口からは、「うれしい」と小さくひと言。あまり大げさではないその喜びが、むしろリアルだ。

「今年イチ、緊張はしてます」

 今回の企画の事前インタビューで、彼女はそう意気込みを語っていた。AKB48の1期生として黎明期からグループを支えた彼女。指原莉乃らとともに「バラエティ担当」とも呼ばれ活躍してきたが、恋愛スキャンダルとともにその姿をテレビで見ることは少なくなっていた。そんな彼女が今回改めてバラエティ番組への対応力を見せつけ、「バラエティ女王」に輝いた。振り返ってみると、今回の出演者の中でも彼女はこの企画への意気込みが少し違ったように見える。

「ドキュメンタル」が「女子メンタル」になり、タイトルからはドキュメンタリーの要素が分かりにくくなっていた今回の企画。しかし、女性タレントたちの攻防からは、本編と同様に彼女たちの戦略や本質、物語が透かし見えた。そして何より、すごく笑った。

この投稿をInstagramで見る

フジテレビ『まっちゃんねる』 「女子メンタル」第一回優勝の称号をいただきました🏅 お話をいただいた日から、ずっとずっと緊張でおかしくなりそうな日々を過ごしていました。バラエティの最前線に立っているわけでもない、まだ現役アイドルの自分がどうやって人を笑わせたらいいかなんてわからないし、全然自信がなかった。収録が始まってからも錚々たる女性タレントの皆さんに圧倒されてこのまま何もできずに終わってしまうかもという最悪な想像が頭の中を駆け巡りました。だけど、率先して仕掛けてくる先輩方、巧みに笑いを生み出す同世代の皆さんのエネルギーを浴びて“なんでもいいから行動しなきゃ”という気持ちになれました。何が面白いかなんて考える余裕もなく、後半はほぼナチュラルハイ。現場は異様な空気に包まれていたので昨日の放送までドキドキが収まることはありませんでしたが、松本さんが笑ってくれていること、モニタリングをしてくださってる芸人の皆さんの的確なツッコミも合わさって、自分でもテレビを観ながら笑っちゃうぐらい楽しい時間になっていました。今まで、決して誇れない過去を引き合いに出して笑いを取ることにずっと罪悪感を持っていたし、それでしか場を盛り上げられない自分が情けないと思うことが沢山ありましたが、ゆきぽよちゃんのブッコミのおかげで吹っ切れた気がします。過去の自分を日々更新できるように、あの時間を共にした皆様とまたご一緒できるように、これからも精進していきます。ご視聴、ご声援、本当にありがとうございました!!!!!

峯岸みなみ Minami Minegishi(@minegishi_31chan)がシェアした投稿 – 2020年10月月25日午前1時10分PDT

  • 10/27 17:00
  • サイゾー

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます