東大生が「『親ガチャ』という言葉を使い続ける人は不幸になる」と考える理由

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―[貧困東大生・布施川天馬]―

 現役東大生の布施川天馬と申します。学生生活の傍ら、ライターとして受験に関する情報発信などをしています。

◆一躍、トレンドワードになった「親ガチャ」

 皆さんは「親ガチャ」という言葉をご存じですか? 

 ネットで話題になっている用語で、「子供は親を選べないこと」に嘆く際に使われます。最近、そんな「親ガチャ」をYouTube、Twitterなどでよく目や耳にするするようになりました。

 たとえば、「自分は親ガチャに失敗したから、まったく勉強ができない」というふうに使われます。これは「自分は勉強がまったくできない親のもと(環境)に生まれてしまった。だから、自分は勉強できなくても仕方がない」という言い訳を意味します。

 確かに、その人の一生は生まれる環境で大きく変わります。それなのに、生まれた場所が都会かどうかや、実家がお金持ちかどうか、親が厳格かどうかなど、どれも生まれてくる子供にはコントロールできません。

◆「親ガチャ」という言葉が持つ危険性

 一方、多くの東大生はこういった「親ガチャ」とはある意味で無縁のところにいます。東大生の約60%は世帯年収950万円以上の家庭出身なので、「お金に困って一冊の参考書を買うかどうかで2時間迷う」なんてエピソードはそうそう持ってないでしょう。

 しかし、僕を含め、貧乏な世帯からでも這い上がって東大に入学した人がいるのも確かです。そして、僕は絶対に「親ガチャ」なんて言葉は口にしません。

 正直なところ、僕が高校生の頃は、自分の置かれている環境に不満を持ったこともありました。「同級生の彼は、塾通いをして、家庭教師もつけて、参考書もたくさん買ってもらえているのに、なんで自分は中古の参考書で自習しないといけないんだ」とつまらない嫉妬をしたこともあります。

 ただ、受験生になってしばらくしたある時期から、僕はこのような考えを一切しなくなりました。それは、自分の環境に不満をいうことは、自分の頭をどんどん悪くする「悪魔」だと気づいたからです。

「親ガチャ」もまた、自分の環境への不満の一種でしょう。今回は、言えば言うほど頭が悪くなる「親ガチャ」という言葉の危険性についてお伝えします。

◆「親ガチャ」は周囲との比較から生まれた言葉

「親ガチャ」という言葉は、2つの点で自分にとってマイナスな結果を生み出します。この言葉の1つめの問題点は、「自分のやる気をそぐこと」です。

「親ガチャ」という言葉の本質は、比べることです。自分の生まれや環境について不平や不満をいうときには、必ず他人と自分を比べています。

 たとえば、自分の家が貧乏だというときも、「隣の家の○○くんはお金持ちなのに」というように、誰かと自分の境遇を比べることから始まります。

 自分の環境しか知らなければ、「自分の家が貧乏だ」ということにすら気づけません。

◆やる気が出ない、努力しない……の悪循環

 そうして見つけた「自分の環境で相手より劣っている点」に文句を言うのが「親ガチャ」の本質です。自分の劣っている点を強く自覚しなければ、こんなことは言えません。

 つまり、言えば言うほど、「家が貧乏」「親が横暴」など自分の境遇で劣っている点に注目してしまうのです。現実から目をそらしたくてやっているのに、自分がどれだけ劣った環境にいるのかを見せつけられてしまいます。

 ダメな点だけ見ていても、頑張るための希望は見つけられません。そうなると、当然、やる気なんて出ません。やる気が出なければ、努力もできず、努力しないので、どんどん周りとの差は開きます。

 すると、ますます他人がうらやましく見えます。そうして「世界は親ガチャだ! 不公平だ!」と文句を言う人が誕生します。

◆「自分と相手の差」に執着することの危険性

「親ガチャ」2つ目の問題点は「自分の時間を奪うこと」です。

 繰り返しになりますが、「親ガチャ」とは誰かを妬むことです。恵まれていない自分と恵まれた誰かを比べて、その人をうらやみ続けることを指します。

 そして、いったん誰かを妬み始めたら、無限に妬むことができてしまいます。なぜなら、嫉妬は「自分と相手の差」に執着する行為なので、二人の差がなくならないと終わらないからです。

 自分が相手と同じ高みに登れば、もしくは相手が自分と同じところまで落ちてくれば、嫉妬に使う材料がありません。そうなれば、自然と嫉妬は無くなります。

◆一度、生まれてしまった嫉妬は簡単に断ち切れない

 たとえば、年間に数十億円も稼ぐ、豪邸住まいのIT社長は嫉妬の対象になるかもしれません。ですが、この人が事業に失敗して破産し、家無しの生活になったらどうでしょうか? もはや、この“元”社長に嫉妬する人はいないでしょう。

 ですが、そう運よく相手が落ちてくることもありません。差をなくしたいなら、自分が努力して追いつく方が現実的です。

 とはいえ、「親ガチャ」1つ目の問題点で解説したとおり、この言葉を言えば言うほど、やる気はどんどんなくなります。簡単に努力ができない状態になってしまうのです。

 努力してもいない人が、嫉妬するほど高みにいる相手と同じところまで登れるわけがありません。つまり、何かに嫉妬している限り、一生嫉妬は終わらないのです。

 終わらないからこそ、いくら時間を費やしても、嫉妬の炎は消えません。

 もちろん、妬みなんて、いくらやろうが時間の無駄です。嫉妬に狂う前に、まずはやるべき努力をこなすべきでしょう。

◆「嫉妬の連鎖」から距離を置くためには?

 それでは、どうすれば他人の環境に嫉妬せずに頑張れるのでしょうか?

 嫉妬しないで頑張ることは大変難しいことです。その上で、まずは「親ガチャ」という言葉を使わず、意識して避けることが大事だと思います。

 ここまで述べたように、「親ガチャ」という言葉は嫉妬の塊です。この言葉を使う限りは、どうしても嫉妬の連鎖に巻き込まれてしまいます。

 ですから、そもそもこんなものには近寄らないのが吉でしょう。「親ガチャ」なんて言葉は使わないようにする。それが他人に嫉妬せず頑張るための第一歩だと思います。

◆いつまでも親のせいにしていたら前に進めない

「親ガチャ」には「失敗をすべて親のせいにして、自分の無能を声高に主張する」という意味が含まれています。

 気持ちはわかりますが、どこかのタイミングで前に進む必要があるのではないでしょうか。

 個人的には、一刻も早く「親ガチャ」という言葉が廃れていくことを願っています。この言葉の恐ろしさについて、皆さんに少しでもお伝えできたなら幸いです。

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある(Twitterアカウント:@Temma_Fusegawa)

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