100万円以下で買える「コスパ最強中古車」8選。値上がりしても不思議じゃない

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

◆買った値段と同額で売れる車はある

 クルマ大好き、腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は、普段腕時計を「買って⇒使って⇒高く売る」ということを実践しているのですが、そういったことをするには、ある程度の目利き力が重要です。そして、私はありとあらゆるモノを買うときに、そういった目利きをしているわけですが、腕時計以外で得意なのがクルマです。

 クルマは、腕時計と違って、「買って⇒高く売る」ということが難しいのですが、「買った値段と同額」を目指すぐらいは可能。そして、損せず買うということを心がけた結果、これまで私は数十台のクルマを乗り継ぐということができました。というわけで、将来的には「今の値段」で買えなくなりそうなクルマを8車種ほど紹介したいと思います。今回は、今100万円以下で購入可能な国産車という縛りで選んでみました。

◆世界的に見れば、日本は“レアカーの宝庫”

 日本は、世界有数の自動車大国でありながら、日本という1つの国のために作られた車種が豊富。日本人から見るとレアカーでなかったとしても、ワールドワイドな視点で見るとレアカーの宝庫であります。それでいて、日本の中古車はとても綺麗で安価。まさに、日本の中古車を取り巻く環境は、オアシスのようであります。

 そして、そういったレアカーたちの中には、まだまだ「ぜんぜん評価されていない」という車種があるのです。このところといえば、スカイラインGT-Rが高騰するなど、日本車の価値が上がっているという印象。実際、日産フィガロや三菱FTOといったクルマは、イギリスなどでの評価が高く、多くが中古で並行輸出されています。そのため、すでに値段はずいぶん高いといった状態です。

 けれども、その一方で、魅力的な要素を持ちながらも、まだ総額100万円以下で購入可能という車種がたくさんあります。ですから、「日本国内向け」かつ「総額100万円以下(修復歴なし、10万km以下)」という条件で購入可能なクルマで、私が魅力的だと思うモノを紹介したいと思います。

◆①トヨタ プログレ 

5万kmが、総額約30万円で購入可能

 トヨタが1998年に発表したプログレは、「小さな高級車」というテーマで出されたクルマ。今のレクサスISとは異なり、「セグメント」ということを意識されず作られたといえるため、独特なクルマに仕上がっているのが面白いといえます。

 また、プログレには、世界初が満載。例えば、世界で一番最初にカーテンエアバッグが装備されたのも、このプログレです。また、純正ナビゲーションには、ナビ上のカーブをクルマが認識し、カーブ前でギアを1段落とすといった仕掛け(ナビ協調シフト制御)が備わっています。

 ナビ機能は、今の時代からすると、「古い」といわれてしまうかもしれませんが、曲がり角を確認するには便利。むしろ、そういったことにはシンプルなナビのほうが便利だったりします。

 私が推奨するプログレは、『前期、本革シート、ウォールナットパッケージ、純正ナビ付き』といった車両です。後期は、初期の直噴エンジンであるため、前期のほうが自然なフィールでトルクフル。また、純正ナビは、技術遺産的な観点で重要です。そして、プログレならではの上質感を存分に感じるには、本革シートと、ウォールナットの本木目はかかせません。なお、ウォールナットパッケージか否かの見分け方は、ウィンカーレバーとワイパーレバーの縁が「木目か否か」。木目であればウォールナットです。

◆②トヨタ クラウンエステート

5万km台が、総額約80万円で購入可能

 日本人目線だと、クラウンという車種に対して「レア」という印象はありません。しかしクラウンは、基本的には日本国内向けであるため、世界的には珍しいクルマだといえます。ただ、オーストラリアといった一部地域には、7代目ぐらいの時代から、積極的に輸出されていたという側面もあるため、今回は、全くもって日本専用といえるエステートを選びました。

 このクラウンエステートには、名機と名高い1JZ-GTEエンジン搭載車(アスリートV)があるのですが、そちらは非常に評価が高いため、この予算では無理。3リッターの「アスリートG」なら5万km台でも約80万円で購入可能です。

 なお、クラウンエステートには、ワゴン車では世界初となる後席電動リクライニング機能が備わっています。これは、上級グレードにしか装備されていないのですが、アスリートGならバッチリ装備。レア機能を楽しむことができます。

◆③ダイハツ ミゼットII

1万km台が、総額約30万円で購入可能

 1996年にダイハツが「ミゼットの復刻版」といった遊び心で出したのがこのミゼットIIです。この年は、ホンダからも、ステップバンの復刻版といえる「ステップワゴン」が出るなど、ちょっとした復刻版ブームといった時代でした。ステップワゴンは、その後人気車種として定着した反面、ミゼットIIはこの代限りで消滅しています。

 そんな、ミゼットIIは、一人乗り(ATのみ二人乗り版あり)というクルマ。両側にドアがあるのに、座席は一つというのが最大の面白さだといえます。ただ、このクルマをメインカーとして利用するには、やや不便であるため、セカンドカーという選択が良いかもしれません。

◆④三菱パジェロミニ

7万km台が、総額約40万円で購入可能

 パジェロの軽自動車版といえるパジェロミニ。パジェロのほうは、世界戦略車として販売されている一方、パジェロミニは日本国内専用だといえます。そのため、海外でパジェロを知っているという方が、そのミニバージョンがあるということを知ったならば「ツボ」となることだとでしょう。ただ、パジェロは、一部地域ではモンテロやショーグンという名称であるため、パジェロミニがモンテロ/ショーグンのミニバージョンと分かってもらう必要があるかもしれません。

 そのため、今回のおすすめ車種としては、最もパジェロに似ている2代目後期を選んでみました。ちょっと前まで、2代目後期は100万円近い印象でしたが、今ではノンターボ車であれば、7万km台で総額約40万円で購入できます。ただし、パジェロのノンターボは非常に遅いらしいので、もう少し予算を増やしてターボ車を買うほうが良いかもしれません。

◆⑤三菱デリカD:5

8万km台が、約40万円で購入可能

 ここで、なんと現行モデルが登場。マイナーチェンジ前の初期型D:5は、なんと8万km台が約40万円で手に入るわけですから、驚くほどのバーゲン価格だといえます。

 デリカは、オフロード性能が高いミニバンとして名高く、特に先代のスペースギアは二代目パジェロのプラットフォームを使ってミニバン化したという内容でした。ただ、先代デリカは輸出されていたり、韓国の現代自動車へ事実上のOEMを行っていたりしたため、日本国内向けのレアカーという観点では現行のD:5に軍配が上がるでしょう。

“世界視点でレアカー”という観点よりも、「両側スライドドアのミニバンが40万円台」という内容が「びっくり」と感じられる1台ですが、オフロード性能が高いなど独特の魅力を兼ね備えているため、とても良い選択だと思います。

◆⑥日産セドリック/グロリア エクストロイドCVT搭載車

グロリア:6万km台が、総額約50万円で購入可能

 セドリックとグロリアは、クラウン同様日本国内向けという印象ですが、実は積極的に輸出されており、初代セドリックから430までは海外ではダットサン220Cといった名前で販売されていました。ただ、Y30からは日本国内専用色が強くなります。セダンは、香港のタクシーに採用されているといったことがありますが、ハードトップは日本専用だといって差し支えないでしょう。そんな中でも、特にレアポイントが高いのが、Y34型のエクストロイドCVT搭載モデル。と思ったら、Y34は後期型グロリアが海外でインフィニティM45として輸出されていたのを忘れていました。ただ、デビュー当初は国内向けだったこと、海外版はインパネがシーマと同じデザインとなっていること、また、エクストロイドCVT搭載車は国内専用であることなどから、今回は国内向け車種枠で選出したいと思います。

 エクストロイドCVTは、高出力エンジンに対応したCVTで、「自動車技術330選」にも選ばれているモノなのですが、Y34の最上級グレードとスカイライン350GT-8だけに採用された後消えてしまいました。

 このCVT搭載車は、セドリックでは、VIP-Z、グロリアではアルティマZとなっています。レア機構を備え、なおかつ最上級グレードであるため、数は少ない傾向ですが、現在は6台が売り出されている状況です。エクストロイドCVTは、壊れると高いといわれていますが、それでも今の売出し数を考慮すると、それなりに残存率が高いといえるため、「ものすごく壊れやすい」というわけではなさそうだと推測できます。

◆⑦日産ステージア 2.5 AR-X FOUR

8万km台が、総額約40万円で購入可能

 スカイラインのワゴン版ともいえるステージア。V35型スカイラインが、海外ではインフィニティG35として売られていたのに対し、ステージアは日本向けでした。そのため、海外でもスカイラインの名前が知られている昨今の事情を考慮すると、そろそろ注目されても不思議でないのがステージアだといえます。

 そんなステージアの中でも、私が一押しなのは、2代目の2.5 AR-X FOUR 。これは、最上級グレードといった役割を担っており、本革シートやBOSEのスピーカーが魅力的。それでいて、2.5リッターのターボエンジン(前期のみ)が、41.5kgf·mものトルクを発する力強さを備えており、ツボに刺さる1台だといえます。

◆⑧アンフィニ MS-9

5万km台が、車両本体価格60万円台で購入可能

 1989年に、マツダが5チャンネル化を実施した結果、誕生した「アンフィニ」や「ユーノス」といったブランド。ユーノスは、コスモやロードスター、300といった、『おしゃれ、高級、スポーツ』といったキーを持つクルマが目立っていました。その一方、アンフィニでは、上級サルーンのラインナップが充実していたといえます。アンフィニというとRX-7が有名でありますが、ブランド全体のラインナップではセダンが多数派だったわけです。

 そんなアンフィニの最上級車が、このMS-9なのですが、これはマツダブランドでも「センティア」として売られていました。

 私は、この型のセンティア/MS-9が大好きで、新車で売られていた時代から憧れの1台でした。ただ、私が免許を取れる年になった頃には、すでに中古車数がかなり少ない状況となっており、その後は結構な価格帯で売られていたと思います。私の記憶によると、特にMS-9は高く、2010年頃には200万円以上といった価格帯が目立っていました。

 それが、今では不思議と100万円以下で買える様子に変化。また、なぜかセンティアよりもMS-9のほうが多く売られている状況でもあります。ですから、以前のMS-9中古車事情を知る私としては、今、かなり買いやすい状態だと感じます。

◆どれもコレクター目線でグッとくる1台

 以上、ワールドワイドな視点でレアカーといえる車種を紹介しましたが、これらはいずれも「コレクター目線で」グッと来る1台だといえます。そういった魅力を持つクルマでも、現在総額50万円台といった価格帯で手に入るわけです。将来的に確実に高くなるとはお約束できませんが、100万円以下という価格帯の選択肢としては、どれも魅力ある1台だと思います。

 

 新車が200万円、300万円は当たり前といわれる今、こういった魅力を持つ中古車を検討してみてはいかがでしょうか。

<文/斉藤由貴生>

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】

1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

2021/9/19 15:53

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