「婦人科って苦手」な人に知って欲しい、受診をラクにする“準備”とは

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 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 アラフォーになって、生理の周期や量が変化したり、めまいや多汗といった、今までにない不調が体に出始めたり……今までにない不調が体に出始めたら要注意。いろいろな原因が考えられますが、早い人では30代後半から始まると言われる「プレ更年期」の諸症状にも当てはまるからです。

 前回、前々回と、「対馬ルリ子女性ライフクリニック」の産婦人科医・石山尚子先生に、大人女性が通る道である「プレ更年期」の詳細や、起きる仕組みを解説してもらいました。

 更年期について、事前に筆者が当事者の方々に聞いたお話の中には、「不調があってクリニックへ行ったものの症状をうまく理解してもらえなかった」「満足のいく治療計画を立てられなかった」といった悩みもありました。
 女性の人生におけるQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を上げるには、婦人科系の不調とうまく付き合うことも欠かせません。それを叶えるには、自分の体のことをよく知り、何でも相談できる、かかりつけ医を作っておくのが大切です。

 そこで今回は「もしかしてプレ更年期?」と感じた時、受診タイミングの目安とクリニックの選び方、満足度の高い治療を受けるためのポイント、持っておくべき知識について、石山先生の解説とともに紹介します。

◆「なんか変かも」体の不調。病院にかかるタイミングは?

 プレ更年期という呼び方は医学的な名称ではありません。そのためなのか、体調に変化を感じていても、「我慢すればいいか……」とやり過ごす人もいるかもしれません。しかし石山先生は「辛いなら、なるべく早くクリニックに来てほしい」と警鐘を鳴らします(以下、「」内コメントすべて石山先生)。

「医師としては、どんな些細(ささい)な不調でも、早めに相談には来てほしいと思います。ただ、忙しい毎日の中で現実的には難しいことも分かっています。クリニックに来院される目安としては、プレ更年期(と分かっていてもいなくても)による諸症状が、日常生活に支障をきたすほどになっていると感じたら、病院に来るのが良いのではと思います」

 例えば生理がキッチリ終わらず、おりものシートが欠かせなくなったとか、めまいやだるさによって、以前のようにバリバリ働けなくなったなど。症状によって日常生活にも影響するようなら、それは専門機関の出番ということです。

「更年期症状の治療は、“薬を出したら即解決”ではありません。そのため、症状が重くなればなるほど、それだけ回復にも時間がかかるんです。また治療方針もいくつかあるため、患者さんに合ったものを見つける時間も必要です。私の患者さんにも『こんなに楽になるなら、もっと早くに治療を始めればよかった』と対応の遅さを振り返る方もいます。
 ご自身にとっては些細(ささい)な不調かもしれませんが、クリニックの力は早いうちから借りることをおすすめします

◆自分に合ったクリニック探しのポイントは

 クリニックには早めにかかったほうが良い――とはいっても、女性の中には「婦人科が苦手」と話す人も少なくありません。その点はどう払拭(ふっしょく)していけば良いのでしょう。

「前回記事でも少しお伝えしましたが、自分に合ったクリニック探しは、年1回の子宮がん検診などの時から意識して行えると良いでしょう。クリニックを選ぶ際は、自分の本音をきちんと話し、そして聞いてもらえるか。納得いくまで治療方針を相談し、提案してもらえるか、を見てください。
 症状が辛くなってから病院を探すと、合わない医師にあたった時の精神的なダメージが大きいので、心身に余裕がある時から準備できるのが理想です」

 もちろんこれは、病院との“理想の付き合い方”になります。更年期による体調不良が疑われるケースで、切羽(せっぱ)詰まっている際の病院選びでは、各医療機関のホームページもポイントになるそう。ホームページに、ピルの処方経験や更年期におけるホルモン補充療法の知識が豊富と感じる記述があるかどうかも、チェックした方が良いといいます。

◆受診前の“準備”でも、満足度が変わる!

 自分に合ったクリニックが見つかったら、この問題は解決……かと思いきや、「プレ更年期などの治療は、適切な準備が満足度を大きく分けます!」と石山先生。

 一般的な病院だと、「いつから悪い?」「どの辺が痛い?」「熱は?」など、医師を前にして質問に答えれば良いだけだったりしますが、婦人科系の不調の場合はちょっと勝手が違います。「最終月経はいつ? 具体的な量は?」「どんな時にどんな症状が出るのか?」などの質問に、ぱっと答えられず困った経験がある人も多いのではないでしょうか。

「まず、月経周期はできればメモしておいてください。これと合わせて、元々の周期や量にどれくらい変化があったのか、どんな時期にどんな体調の変化が出るかも、日記などで記録をつけておけると良いです」

 メモすることには、2つの効果があるのだそう。1つは、医師とのスムーズなコミュニケーションを取れること。もう1つは、自分の体の変化を自分で記録・把握するだけで、問題の全容が分かり精神的にも楽になること。
 ちなみにこの体調日記は、PMS(月経前症候群)の人にも有効なのだとか。月経や体調のメモというと、妊娠へ向けた取り組みというイメージを持つ方もいます。ですが、自分の体と向き合う取り組みとして、日々の体調メモは全世代の女性におすすめできることだと思います。

◆更年期障害に関しては、事前の情報収集が「おすすめ」

「余裕があればで良いのですが、クリニックにかかる前の準備としてさらにもう1つおすすめしたいことがあります。更年期に伴う治療法について少し調べておき、『自分だったらこれをやってみたい』といった、大まかな希望を持って診察に望めるとなお良いでしょう。
 なぜこれを勧めるかというと、更年期治療にはいくつかのアプローチがあるため、その場で説明を受けて選択するよりも、事前に知識を入れた上で選択できたほうが、気持ち的にもミスマッチが起きにくいからです」

 一般的な病気の場合、受診前にネットの医療情報を調べるのは、誤った情報を信じてしまったり、そのために医師の判断を遮(さえぎ)ってしまったりする可能性が出てくるため、勧められないという話を耳にします。一体なぜ、更年期の治療において先生は逆のことを勧めるのでしょうか。

「更年期症状に対しての治療法の代表的なものには、漢方、低用量ピル、プラセンタ、ホルモン補充療法など、大きく分けるだけでもこれだけあり、どれも特徴が異なります。更に細分化すると、例えばホルモン補充療法には、塗るタイプや貼るタイプ、飲み薬タイプなど、使用方法もメーカーも様々です。
 もちろんご本人の希望する治療法が、明らかに症状と合っていなければ医師から説明があるとは思います。ただ、これら多岐にわたる治療法をその場で初めて知って判断するのは、結構ハードルが高いものです」

 石山先生いわく、治療方法やメリット・デメリットを少し理解しているだけでも、希望にあった治療方針を医師と一緒に探れるのではないかということです。

◆怖くないの?「ホルモンを補う」治療とは

 先ほどから何度か出てきた「ホルモン補充療法」ですが、簡単に言うと、卵巣機能の低下によって足りなくなった女性ホルモン、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類を、薬によって補充する「ホルモン療法※」の一種だそうです。
 日本人の多くは、いまだに「ホルモン」と聞くと、怖いもの、不自然なもの、身体に良くないもの、といったネガティブなイメージを抱く人が少なくありません。その傾向は、低用量ピルの服用率の低さにも見て取れます。

※ホルモン療法とは、諸症状に対して適切なホルモン剤を投与し、ホルモンの分泌や促進、抑制を目的とする治療法の総称です。例えば、月経困難症に対して低用量ピルを用いたり、妊活のために排卵を促す薬を服用したりするのも、ホルモン療法です。

◆漢方薬やサプリメントから様子を見ることも可能

「『ホルモンを補う』といっても、更年期に行うホルモン補充療法は、足りない分を少し補う程度といえます。ホルモンを人工的な薬で取り入れることに抵抗感がある方が多いのは理解していますが、仕組みを知ってきちんと取り入れれば、安全なのはもちろん、体の負担を減らし、日々の生活を快適にしてくれるものです。
 どうしても抵抗があるのであれば、漢方薬やサプリメントから様子を見ることもできます。こうした心理的な抵抗感も含め、きちんと相談できる医師にかかり、体と向き合っていけるといいですね」

 自分の人生・生活の質を上げるために、自分の体と向き合う。大切なことですね。まずは、月経周期と体調のメモからつけ始めてみませんか?

―30代から知っておきたい「更年期」のこと―

【石山尚子】
1996年富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。産婦人科専門医。富山大学附属病院および関連病院勤務の後、2007年より対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座勤務。

<取材・文&イラスト/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

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