“宇宙”で稲作ができる時代がやってくる!? 東京農業大学最先端の研究「宇宙農業」とは?

川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMの番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学から、最先端の農学研究を紹介します。9月7日(火)の放送では、東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 植物共生微生物学研究室の山本紘輔(やまもと・こうすけ)准教授に、最先端の研究「宇宙農業」について伺いました。

(左から)山本紘輔さん、川瀬良子

◆最先端の研究「宇宙農業」とは?

アメリカでは民間人の宇宙飛行が始まるなど、新時代の幕開けとして注目されましたが、山本准教授は「宇宙でも農業が必要になってくる時代になるので、『宇宙農業』という研究が始まりつつあります。私は、そこで使えるような作物、主に“稲”にフォーカスし、研究しております」と話します。

山本准教授が注目しているのは“植物と重力の関係”。植物はおもに、光、水、重力を感知し、成長する方向を決めています。例えば、光や水のある方向に枝や根っこを伸ばすのと同様に、重力を感じて、その逆方向に幹を伸ばす性質があります。

では、植物が重力をどう感知しているのかというと、「人間も動物も一般的に耳のなかに石(耳石)が入っていて、その石が動くことで重力を感知しています。そして、植物も同様の原理で重力を感じています」と山本准教授。また、人間の耳石の主成分は炭酸カルシウムなのに対し、「植物は、でんぷんの塊のようなものが石になっていると言われています」と解説します。

そこで現在、注目しているたんぱく質があるそうで、「そのたんぱく質の量を、植物のなかで人工的に増やしてあげると、重力に対してすごく敏感になったり、量を減らしてあげると重力の感じ方が弱くなったりすることが分かっています。ですので、人工的に(たんぱく質の量を)操作すれば、植物の重力の感じ方を操作することも可能」と言います。

ここで川瀬が、宇宙でどのようにして稲を栽培するのかを尋ねると、「地上でもおこなわれている『植物工場』という、人工的な光を与えて植物を育てられる大きな温室があるのですが、それを応用して(同様の仕組みを)月や火星などに持って行って育てる、ということが考えられています」と答えます。

既に宇宙で植物の栽培がおこなわれているものの“生育が細く弱々しい”という問題があり、山本准教授は植物が持つ重力センサーが無重力空間に合っていないのではと考えています。山本准教授の研究がさらに進めば、そうした問題が解決して、「宇宙農業」を一気に進歩させる可能性があると見られています。

<番組概要>

番組名:あぐりずむ

放送日時:毎週火曜 15:50~16:00(番組「THE TRAD」内)

パーソナリティ:川瀬良子

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/agrizm/

2021/9/17 6:40

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