大阪のパチンコ店がワクチン接種会場に店を提供「1億円よりも大切なこと」

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◆大阪のパチンコ店がワクチン接種会場に……

 今月13日、大阪市北区のパチンコ店で新型コロナウイルスのワクチン接種が行われたことが大きな話題を呼んだ。「接種会場」になったのは天神橋筋六丁目駅近くのパチンコ店「フリーダム天六店」。13~14日の2日間を休業し、商店街組合員や近隣住民などを対象に1500人の接種が実施された。

 パチンコ店がワクチン接種会場になったのには、どのような経緯があったのだろうか。同社広報の内藤新二郎さんに話を伺った。

「弊社代表が地域貢献を理念の1つとしており、今年6月に職域接種が国の支援で行われることを受けて、地域貢献に役立てるのではないかと考えました。地元の総合病院に弊社パチンコ店を接種会場として使用できないかと打診。

 医療関係者にパチンコ店でのワクチン接種が可能なのかを視察に来てもらい、座席数や空調設備などを確認して環境上、問題ないとの判断が出たので接種会場として提供させてもらうことになりました」

◆なぜパチンコ店は接種会場に最適なのか?

 パチンコ店と接種会場。一見、結びつかなそうかと思いきや実はワクチン接種に適している環境だという。

「座席数が多いので、感染防止対策で間隔を開けても1度で60~70人が接種を受けることができます。椅子が台の方に向いており、各席にパーテーションが付いているので接種を待つ間は飛沫対策になります。

 椅子が回転式なので注射が打ちやすというメリットも。台にはスタッフの呼び出し用のボタンがあり、体調が急変した場合も医者や看護師がすぐに駆けつけることができます。また、スタッフは普段からお客様の行列整理や誘導を行っているので案内もスムーズです。期間中、スタッフは接種を受けに来た人の案内業務を行ってもらっています」

 1度の接種は30分のローテーションで手際良く進んでいく。接種を受ける人は通路片側の椅子に1席ずつ間隔を開けて座り、医師が周って接種を行う。接種後の15分の経過観察時間も台の電光掲示板でカウントされるという。接種が終わり、人が入れ替わるまで間、席の消毒をスタッフが行うこともできるのである。

 いちいち接種するために動線を作ってパーティションを用意することも、空調を整えることも必要ない。さらには気分が悪くなったりした場合はランプを押せば店員、もとい、医師や看護師が駆けつけてくれる。

 もはやワクチンと医師や看護師さえ確保できればすぐに接種会場に転用できる設備が整っていたのである。

◆接種に提供した4日間の売上げ1億円よりも大切なこと

 実際に接種を受けたという30代の男性に話を聞いてみた。

「他の接種会場でなかなか予約が取れなかったので良かったです。大規模接種会場だとシャトルバスでの移動があると聞いていたのですが、パチンコ店は駅チカなのでアクセスしやすいのが良いですね。店内は換気もしっかりと行われていて居心地が良かったです。

 ひと席ずつに『体調にお変わりがある方は呼び出しボタンを押してください』と書かれた紙が貼っているので不安もありませんでした。音楽などは流れていなかったのですごい静かでしたが、パチンコ台のライトがついているので非日常感を味わうことができましたね(笑)」

 1回目の接種は9月13~14日、2回目は10月12~13日に行われる予定で、パチンコ店としては4日間休業することになる。休業の損失は1億円弱と売上的にはかなり痛手だと思うが、「売上よりも打ちたくても打てない人が優先。これを機にパチンコ業界にも一石を投じることになれば」と広報の内藤さんは言う。

◆パチンコ店のあるべき姿とは……

 一時はコロナ感染拡大を招くと批判を受けていたパチンコ店だが、今回の接収会場提供は大きな反響を呼んだという。パチンコ屋での大規模接種は今回の件を皮切りに今後、全国的に広まっていくのかもしれない。フリーダム天六店が投じた一石は、業界にどう響くのか。これからも注目したい。

取材・文/カワノアユミ

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは @ayumikawano

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