観光バスに手を振り続けた4歳男児、運転手らの人気者に「君がいないとさみしいよ」(英)

英リバプールに暮らすカイ・ガーディナー・ハウアース君(Kai Gardiner Howearth、4)は1歳の時に父親を亡くし、母親と一緒にモスリーヒルの祖母の家に引っ越した。

引っ越して間もなく、カイ君は家の前を一日に何度もリバプールの観光バスが通過することに気づき、バスが通るたびに手を振るようになった。

祖母のヘザー・ハウアースさん(Heather Howearth)は、当時の様子をこう明かしている。

「カイのパパが亡くなった後、ママと一緒にこの家に引っ越してきました。ある日のこと、カイと玄関の階段に座って一緒にママの帰りを待っている時にバスが通ったのです。カイが手を振ると運転手も手を振り返してくれてとても喜んでいました。今ではどの運転手もカイに手を振って通り過ぎ、観光客も声援を送ってくれます。この3年間、カイはいつも手を振ってきました。その瞬間が大好きで、庭にいても手を振るために家の中を突っ切って正面の窓に向かうほどです。」

しかしロックダウンのためツアーが中止になってしまい、ヘザーさんによるとカイ君はショックを受けていたそうだ。

「あの子は一人っ子で、自分の習慣が好きで変化を嫌う子です。バスが通らなくなって落ち込んでいましたが、5月に再開した時はとても喜んでいました。」

続けて「パパが亡くなってから家族全員が辛い思いをしています。カイにはいつもパパのことを話していますが、その状況をよく理解していません。カイがバスに手を振ることで、私たちは本当に元気になりました」と語った。

今月から小学校に通い始めたカイ君は、何本かのバスを見逃してしまうことにがっかりしていたが、ヘザーさんは「学校が終わってからもバスは2本通るから手を振ってね」と励ましたという。しかし学校が始まって寂しいのはカイ君だけではなく、バスの運転手らも同じだった。カイ君が小学校に入学したことを知らなかった運転手たちは、彼の姿が見えないことに困惑したそうだ。

カイ君が学校に通い始めたことを知った観光バス会社のスタッフは、それを記念してVIP待遇で彼をバスに乗せることを決め、車両には「Good luck on starting school Kai. We’ll miss your wave(カイ、学校生活楽しんでね。君がいないとさみしいよ)」と書かれた横断幕がかけられていた。

ヘザーさんによると、バスの中では運転手がインカムを使って話しかけ、カイ君もマイクで返事をするなど素晴らしい体験になったそうだ。

観光バス会社のオーナーであるフィリップ・オリバーさん(Philip Olivier)は後日、このように語っている。

「カイ君が笑顔で手を振ってくれる姿はいつもスタッフの気分を盛り上げてくれます。ロックダウンの後、彼と再会できた時にはスタッフみんなとても喜んでいました。」

「ロックダウン明けの5月、ツアーが再開できるようになっても最初はお客さんがいませんでした。しかしドライバーたちが街を走ると活気が戻ったんです。人々はそれが日常に戻ることを意味するかのように歓声を上げていたので、ツアーを続けることにしました。」

「カイ君は私たちのツアーでとても重要な役割を果たしていますが、月曜日に彼がいないことがとても残念でした。彼の家の前を通り過ぎる時、カイ君はいつもスタッフの気分を盛り上げてくれます。そして彼のおかげでスタッフは自分たちの仕事に情熱を持てるようになりました。カイ君がいる限り、私たちはこの仕事を続けていくでしょう。」

画像は『The Mirror 2021年9月13日付「Boy, 4, becomes huge hit with Liverpool tourists thank to his daily routine」(Image: Liverpool ECHO)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 上川華子)

2021/9/15 21:50

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