それって未来予知?中止になったイベント【LINE怖い話 #30/消えた祭り 2】

知らない人からLINEが来る。そんな経験をしたことはありませんか?

多くの人は、詐欺やいたずらだと思って無視してしまうでしょう。でも、中には違和感を覚えるものもあるようです。

LINEの向こう側にいるのは、人間なのでしょうか。それとも……。

連載「LINE怖い話」では、LINEにまつわる怖い話をお届けします。

「消えた祭り」その2


地元観光事業所に勤めて3年目の琴子さん。

琴子さんの住む瀬里原市は、水が綺麗で穏やかな街です。6月になればホタルも飛び、毎年観光客で賑わっていました。

しかしそれ以外に目玉になるような観光名所はなく、さらに昨今のコロナの影響もあり、街の活気はどんどん失われていました。

琴子さんが管理人を務めるオープンチャット「雑談チャット瀬里原」では、市内在住と思われる人たちが1日10件ほど他愛もないやりとりをしています。

ある日、老舗の喫茶店が閉店するという噂をオープンチャットで目にした琴子さんは、その喫茶店に足を運びますが、店主は「閉店は考えていない」と言っていました。

しかしその後、店主の骨折を機に店は畳むことに。店主さえ予想していなかったはずなのに「20日で閉店する」という噂は現実のものとなりました。

琴子さんはLINEを見せてくれました。

「私しか気づいていなかったのか、もうオープンチャットではあの喫茶店の話題にはなりませんでしたが、未来予知をしていた『(O_O)』という人がまたチャットで発言したんです」



「おかしいんですよ。私は観光業だから、地域行事の中止があったらすぐ耳に入るのに、この人が発言した日には、祭りはまだ中止決定してなかったんです。どこから仕入れた情報なのか聞いてみたんですけど、スルーされてしまいました」

結局、祭りの中止が決定したことが琴子さんの耳に入ったのは、「(O_O)」の発言から1週間後のことでした。

祭り中止に伴い、琴子さんの会社はてんやわんや。数日後、同期で仲の良い企画営業部の麻美さんから、愚痴を聞いてほしいと仕事終わりに呼ばれました。

「進めてた仕事がパーになったとのことでした。私の部署もそれなりでしたけど、麻美のところは遠巻きに見ててもえげつなかったですね。絶対1年以内にこんなところ辞めてやるって言ってました。その後麻美に話の流れで、オープンチャットで予言してる人いるんだよねって、一連のことを話してみたんですけど……」

麻美さんは「1週間も前に祭り中止が分かってたなら早く言え」と最初こそ憤慨していたものの、例の喫茶店が閉店することも予言していたと話すと、興味津々で聞き入っていたようです。

そして、麻美さんも面白がってオープンチャットに参加することになりました。

「麻美には『そっちこそ仕事辞めたがってるくせに、プライベートで地域コミュニティのオープンチャット作るなんて、案外真面目じゃん』と言われました。あれは入社1年目に立ち上げたトークルームでしたが、あの時の仕事への熱意はもうありませんよ」

生まれ育った地元に愛着はありましたが、仕事のモチベーションはもはや底をついていました。

さらに、琴子さんには出会いすらないまま20代後半に差しかかろうとしています。一方の同僚の麻美さんは、大学時代に知り合った人と入籍していて「子どもができたら仕事辞めるのになあ」が口癖でした。

琴子さんの中に焦りがあるのは確かで、仕事と出会いを求めて地元を離れようかと考えることも多くなりました。

人生の選択に迷う琴子さんでしたが……。


連載「LINE怖い話」は毎日更新中です。

(園田亜真理)

※この物語はフィクションです。実在する人物・団体とは一切関係がありません

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