★MY『レミニセンス』レビュー ハードSF?いいえハートに染みる切ない物語です。

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すぴ豊です。 ヒュー・ジャックマン出演の話題のSFサスペンス、『レミニセンス』の試写にお邪魔しました。人の記憶に潜入できるスキルを持つ男が謎の女と出会い事件に巻き込まれます。 『インターセプション』や『テネット』に通じるSFサスペンスですがとてもハートにささる映画でした。ネタバレなしのレビューです。

ヒュー・ジャックマン版ブレードランナー!

物語の舞台は近未来。海面が上昇し多くの国や都市が浸水状態、さらに戦争もあり人々の心がすさんでいる時代です。
金持ちは陸地に住み、貧困層は水浸しの街に住んでいます。社会も分断されているわけです。ヒュー・ジャックマン演じる主人公ニックは、マイアミでちょっと変わったビジネスをしています。彼は退役軍人でしたが、戦時中拷問(尋問)の道具として作られた脳に影響を与える装置を使って人々の過去を記憶を呼び起こし追体験させるというものです。例えば戦争で歩けなくなった男は、愛犬と一緒に暮らし走り回っていた楽しかった思い出を何度も追体験できるのです。そんなニックの前に美しい女が現れます。ニックはたちまち魅了され恋に落ちますが、ある日突然彼女が消えてしまう。
ニック自分の中にある彼女との思い出を追体験し彼女を探し出そうとするのですが、彼女には大きな秘密がありました。なんと彼女は社会を揺るがす大スキャンダルとつながっていたのです。

まずこの世界が半ば水没状態にあるという世界観にビックリです。(ここは冒頭、ヒュー・ジャックマンの一人語りにあわせこの水没世界を見せていく演出がとてもCOOL。いっきにこの映画の世界観にひきこまれてします。)
そして物語はニックが運命の女とその背後にある事件を追っていくという探偵物調のミステリーになります。
僕はハリソン・フォード出演のSF映画の名作『ブレードランナー』を思い出しました。
あの作品では雨が降りつ続ける退廃した未来都市を舞台に、ハリソン・フォード演じる捜査官が活躍しますが、やはり一人の女にふりまわされます。
すさんだ近未来×ハードボイルド×運命の女。両作に通じるものは多いです。

ヒュー・ジャックマン版インセプション!

この物語のキーとなるのは人の記憶に潜入するというテクノロジーです。人の潜在意識、夢の中に入り込むというデカプリオ出演の『インセプション』を彷彿させます。
そして記憶の中の話なのか、いま現実に起こっていることなのかがシャッフルされて語られるので“だまし絵”的にストーリーがすすみます。このへんちょっと『テネット』っぽい。
けれど『インセプション』や『テネット』ほど難解ではありません。なぜならヒュー・ジャックマンはとにかく運命の女性を見つけ出したいのであり動機はシンプルであり、観客も筋を追いやすい。この“わかりやすさ”が『テネット』的なものを期待していると少し肩透かしをくらうかもしれません。しかしながら、あの女は本当に悪女なのか?それとも?という興味でぐいぐいと物語にひっぱられていきます。だからすべての真相が明らかになった時、
「ああ、そういうことだったのか」と思わずうなってしまいました。そしてその真実はあまりにも切なく、それを知った主人公が最後に選んだ選択に胸が締め付けられました。
様々なSF的な設定、小道具、世界観が用意されていますが、これはラブ・ストーリーです。
そしてこの映画が問いかけてくるのは、未来に夢がもてなくなった時、美しい過去の思い出にひたって現実逃避することはゆるされるのか?ここは観客一人一人が自問自答するところです。「過去は人にとりつかない。人が過去にとりつくだけだ」というセリフにはっとしました。
そして「殺人」よりも罪が重い犯罪行為が描かれます。確かにこれは絶対やってはいけないことです。それがなにか?確かに自分がそれをされたらと思うとぞーっとします。
SFというフォーマットだからこそ描けた寓話ですね。

ノーラン・ファミリー仕掛けのエンタテインメント!

運命の女を演じるのはレベッカ・ファーガソン。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』以降のセミ・レギュラーともいうべきイルサ役で有名ですが
僕はホラー映画『ドクター・スリープ』の吸”生”鬼のリーダー、ローズ・ザ・ハット役が印象的でした。本作でも妖艶で素敵です。
主人公が一目ぼれしてしまう理由がよくわかります(笑)
製作はクリストファー・ノーランの弟で『メメント 』『プレステージ 』『ダークナイト』
『ダークナイト・ライジング』『インターステラー』の脚本およびTVドラマ『ウエストワールド』を手掛けるジョナサン・ノーラン。たしかに本作は『メメント』っぽいところもあります。脚本・監督はリサ・ジョイ。女性監督でTVドラマ『ウエストワールド』を手掛けています。

ヒュー・ジャックマンらしいかっこ良さも健在ですが、一人の女に心奪われうろたえる、という
弱さがまた素敵です。
悪役のクリフ・カーティス(この役者さん、最近よく見ます!)もハマり役だし、
ヒュー・ジャックマンの相棒役タンディ・ニュートンのアクションも決まっています。
タンディ・ニュートンは『ミッション・インポッシブルⅡ』のヒロインですから
レベッカ・ファーガソンと並んで、2人の”『ミッション・インポッシブル・ガール”が共演ですね!

派手なSF大作ではないですが、少し切ない気持ちといい映画を観たな、という気分で劇場をあとに出来るでしょう。

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  • 9/11 0:09
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