岸田は女性宮家の創設に反対、河野は男系優先も議論するべき自民党総裁選“候補者の横顔”

 菅義偉首相の「次期自民党総裁選へは立候補しない」との発言により、自民党総裁選が注目を集めている。そこで、総裁候補者と見られる(9月7日時点)5人の横顔をまとめてみた。

 まず、自民党総裁選について、簡単に説明しておこう。

 今回の自民党総裁選は、9月17日告示、29日投開票となる。投票は、「国会議員票」と「党員票」の766票の獲得を競う。

 立候補には国会議員20人の推薦が必要となる。投票は、国会議員票は1人1票で383票、全国の党員・党友による投票で配分が決まる党員票も383票だ。全国の自民党員は20年末の時点で113万人強だ。766票のうち有効票の過半数を得た候補者が当選となるが、過半数に届かなかった場合には、上位2人の決選投票が行われる。

 今回、総裁選に立候補の意思を表明しているのは5人と見られている。もちろん、国会議員20人の推薦が取れた前提でだが。そこで、5人の横顔を順に見て行こう。

 <岸田文雄(64歳)>

 第8代目の宏池会会長。祖父、父とも衆議院議員で2世議員。日本長期信用銀行(現:新生銀行)での会社員を経験後に政治の道に。

 2000年に加藤紘一・山崎拓らが起こした第2次森喜朗内閣の倒閣運動「加藤の乱」に、血判状をしたためて参加した。

 20年の総裁選に出馬したが、内閣官房長官だった菅義偉に敗れて、2位だった。

 政策的には、「財政健全化の道筋を示すことで、消費を刺激して経済の循環を完成させる」という緊縮財政派で、「憲法は時代の変化に応じて然るべきもの」と憲法改正に賛成している。

 また、集団的自衛権の行使に賛成しており、憲法解釈を見直すことを主張している。エネルギー政策では、原子力発電の推進派で原子力規制委員会の新基準をクリアした原発は再開すべきとの考え。女性宮家の創設には反対。

<河野太郎(58歳)>

 父は自由民主党総裁を務めた河野洋平。2世議員。富士ゼロックス(現:富士フイルムビジネスイノベーション)で会社員を経験。 09年の総裁選挙に出馬したが、谷垣禎一に敗れる。

 政策的には「小さな政府と大きな年金」が持論。国民年金は消費税を財源とし、保険料を廃止、厚生年金は個人の積立方式へ変更を主張。

 消費税増税に賛成しており、軽減税率制には反対している。財政再建には賛成だが、政府の試算について“絵に描いた餅”と批判している。

 規制緩和を強く主張しており、「国内産業の生産性を上げるためには規制緩和による競争が必要」との考え。

 雇用制度では、「同一労働同一賃金」の実現や「新卒一括採用」廃止、「年齢差別」の禁止を主張。

 選択的夫婦別姓制度に賛成しており、皇位継承問題については、男系継承を優先させながらも女性天皇・女系天皇についても議論するべきとしている。

<高市早苗(60歳)>

 大学卒業後に松下政経塾に入塾。

 思想的には、日本国民に日本国旗を尊重させることを義務付け、違反者を処罰できる規定が必要であると主張。憲法改正に賛同。

 政策面では、富の再分配の削減、社会保障の削減、企業への増税を提唱。自らの政策を「サナエノミクス」と名付け、第1の矢を「大胆な金融緩和」、第2の矢を「緊急時に限定した機動的な財政出動」、第3の矢を「大胆な危機管理投資・成長投資」として打ち出す。原子力発電の推進派で、女系天皇へは反対姿勢を示す。選択的夫婦別姓の導入には一貫して否定的な姿勢。

<野田聖子(61歳)>

 祖父は建設大臣などを歴任した野田卯一で2世議員。帝国ホテルで会社員を経験。 国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)の初代会長。

 15年、18年の総裁選挙で立候補に必要な推薦人20人が集まらなかった。

 政策面では、財政・金融政策は「ともに正常化に向かうべき時期」と主張。財政健全化派。

 女系天皇に賛成。選択的夫婦別姓制度導入に賛成している。

<石破茂(64歳)>

 父は参議院議員、自治大臣などを歴任した石破二朗の2世議員。キリスト教徒(プロテスタント)。

 大学卒業後、三井銀行(現:三井住友銀行)で会社員を経験。

 12年総裁選挙への出馬し、安倍晋三元首相に敗れる18年にも総裁選挙への出馬し、3選を目指した安倍元首相と一騎討ちとなり敗れた。20年の総裁選挙では、菅義偉、岸田文雄に次ぐ最下位で敗れた。

 政策面では、「税収以上のお金を使うと、借金が増えて次の世代は大変になる」と述べる財政再建論者。財政健全化を憲法に明記することを提案した。消費税率の引き上げに賛成。原子力発電政策については、「核の潜在的抑止力」として原発を維持すべきとの考え方。憲法改正については、憲法9条について、「戦力の不保持を定めた9条2項を削除し、軍隊の保持を定めるべき」と主張している。

 女系天皇については、男系男子の皇位継承を基本としつつ、女系天皇の可能性も検討すするべきとの考え方。

<自民党総裁選候補の横顔>

岸田文雄

河野太郎

高市早苗

野田聖子

石破茂

2世議員

×

過去の総裁選立候補

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×

財政健全化

×

憲法改正

女系天皇

×

×

 

2021/9/8 11:00

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