“ワクチン接種した”とウソをついた彼氏。問い詰めると泣き出して…
新型コロナウィルスのワクチン接種についての考え方は人それぞれ。だからこそ、パートナーとの間で合わないことも…。
今回は、ワクチン接種が原因でケンカになってしまったカップルのエピソードをご紹介しましょう。
◆気を抜いていたら意外と痛かった
J子さん(30歳・派遣社員)の場合。
「昨年から彼と結婚を前提とした同棲を始めたんですよ」
彼氏のNさん(34歳・メーカー勤務)は、身長185cmのガッチリ体型で一見少し怖そうな見た目をしています。
「しかもボクシングジムに通っていて強いし、ものすごい私のタイプなんですよ。つい私の方から同棲しようと誘ってしまいました(笑)」
そんな2人は、同時期にワクチン接種の予約が取れました。
「私の方がNより4日早いですが、同じ会場で取る事ができてホッとしていたんですよ」
そしてJ子さんのワクチン接種当日。
「私の友人達から『副反応はつらいけど、注射自体は全然痛くないから』と聞いていたので気を抜いて挑んだら、結構痛くてビクッとしてしまいました。ちょっと乱暴に刺されたような感じがして」
そして帰宅し、彼に事細かに報告しながら夕食を食べていると…。
◆ワクチン接種から帰宅した彼の様子がおかしい
「Nの顔色がだんだんと悪くなってきて『J子ちゃん大変だったね、大丈夫?僕に出来る事ある?」とものすごく心配してくれて」
大丈夫だよ、と笑っていたJ子さんでしたがその後じょじょに腕が痛くなってきて、熱を持ち腫れてきてしまいました。
「あと頭痛がすごくて、何も出来ずに寝込んでいるとNがスポーツドリンクやアイスを買ってきてくれて助かりました」
それから3日程でJ子さんの体調は元通りに戻ったそう。
「そしてNのワクチン接種の日になったのですが、帰宅したNの様子がおかしくて」
何だか挙動不審で、ふだんは無口なタイプなのに饒舌に「注射はあっという間で痛くなかったよ」などと話してきたそうで…。
「なんとなく気になって、Nがトイレに行ったすきにカバンのポケットに突っ込んであった接種券の入った封筒を開けて見てみたら…なんと無記入の予診表は入ったままだし、接種済のシールも無かったんですよ」
◆怖くてキャンセルしてしまった彼
戻ってきた彼に「何でワクチン打ってないの?しかも打った演技なんかして嘘ついて」と詰め寄ったJ子さん。
「気まずそうにNが『実はワクチン接種が怖かった。しかもJ子ちゃんが痛そうに苦しんでいる姿を見ていたら、さらに恐怖感が強くなってしまい、接種日前日にキャンセルしてしまった』なんて言うので『注射ぐらいなんて事ないでしょ?情け無い』って思わず笑っちゃったんです」
するといつも冷静な彼が泣き出して「確かに注射自体も怖いけど、よく分からない未知の液体を体内に入れるのが怖いんだよ。笑うなんて酷いよ」と機嫌を損ねてベッドに潜り込んで口を聞いてくれなくなってしまいました。
「思っていたよりもずっと繊細な人だったんだなと初めて気がつきました。無神経なこと言ってごめんね、と何度も謝ったら許してくれてホッとしましたね」
それから2人は話し合い、彼は再びワクチン接種の予約を入れたそう。
「2人一緒にずっと仲良く暮らしていくためには、やっぱり打った方がいいと納得してくれました。副反応がでたら今度は私がお世話をしてあげたいですね」
続いては、無理解な彼氏のいる女性の話です。
◆ワクチン接種後の彼氏が遊びにきた
「彼とは付き合って半年になります。マッチングアプリで知り合ったんですよ」
先日、彼氏のKさん(28歳・会社員)がワクチン接種をした足でH実さん(28歳・会社員)の部屋に遊びに来ました。
「副反応とかないの?と聞いてみても『全然大丈夫!腕を上げるとちょっと痛いぐらいで何でもないよ』とふだん通りにしていましたね」
しかも、ビールで晩酌までしていたそうで…。
「さすがにお酒はまずいんじゃない?と言ったのですが聞いてくれなくて。でも翌朝も元気そうに出かけて行ったので安心しました」
そうしてH実さんもワクチン接種の日を迎えたのですが…。
◆副反応のツラさを彼氏に話したら…
「接種を終えて、家に着いてシャワーを浴びている最中から具合が悪くなってきて。熱を測ってみると38度ありました。とにかくダルくて寝ていたらお腹まで痛くなってきて」
副反応の熱から来たのか、他の原因なのか、下痢になってしまったH実さん。
「水分をいっぱい摂った方が良いと聞いていたので、アクエリアスをガブ飲みしていたせいかもしれませんが。ダルくて寝ていたいのに頻繁(ひんぱん)にトイレに行きたくなって辛かったです」
そんな時に彼氏から電話がかかってきました。
「副反応の辛さを聞いてもらって、慰めてもらおうと思ったら『いや、大した事ないだろ?大げさなんだよ。オレ達同じ歳で、一緒のファイザー打ったんだから副反応も同じようなものだろ』なんて言うんですよ!はぁ?って感じですよね」
◆想像力の無い彼に不安になった
年齢や、ワクチンの種類も多少は関係あるかもしれませんが、副反応は人それぞれ個人差があってバラバラだと思うよ、と説明してみましたが…。
「今度は『個人差っていうのは、大げさにツラさをアピールしたい性格か、冷静にありのまま受け入れられるかの差だろ?もういいから、これからご飯食べに行こうよ』とか言うので『勝手に決めつけるな!誰が行くか!』って切っちゃいました」
彼の想像力の無さに、頭にくるよりも不安を覚えたH実さん。
「Nとはいずれ結婚できたらなと考えていたのですが、今後妊娠したり出産したりした時に、私の状況をまったく想像できずに、勝手に決めつけて変な事を言ってきそうだなと怖くなってしまって」
彼からの連絡は無視して、独り副反応の辛さを耐え抜いたH実さん。
「身体が元に戻った頃には、もうNから連絡がこなくなっていました。きっとこのまま自然消滅でしょうね…まぁもめないだけよかったです」
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop