豪雨被害ではお金が出ない保険も。自宅・実家の災害保険をチェックして

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<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.11/経済評論家・佐藤治彦>

 大きな財産、マイホーム。でも台風や地震などの災害で被害をこうむることも。

 今回は住宅保険や火災保険の注意点についてです。あなたの家や実家は大丈夫でしょうか?
(以下、佐藤治彦さんの寄稿です。)

◆台風や異常気象、マイホームは大丈夫?

 東京オリンピック2020も中盤の7月28日。
 台風8号が1951年の統計開始以来、初めて東北に上陸し東北各県を襲いました。

 今までの常識では、日本にやってくる台風は、西日本や関東までは台風としての勢力を保っていても、東北や北海道に達するころには温帯低気圧にスケールダウンする、とされていました。台風のまま東北に上陸するようなことはありませんでした。

 温暖化による異常気象の影響でしょうか。その常識が今年の夏に覆りました。

 2018年夏に200人もの命を奪った西日本豪雨以来、毎年のように50年や100年に一度という災害が日本を襲っています。

 この数年でよく聞くようになった気象用語「線状(せんじょう)降水帯」が今年の8月半ばは1日どころかほぼ1週間近くも日本列島に居座り、西日本から中部地方を断続的に襲い、各地は深刻な被害を被りました。そして、翌週からすぐに野菜の値段は跳ね上がりました。生産地にどれだけの被害をもたらしたかを如実(にょじつ)に表しています。

 皆さん、そして、皆さんの実家は大丈夫だったでしょうか?

◆あなたの住宅保険や火災保険、対象は?

 マイホームは誰にとっても大きな財産です。いざという時にその資産を守ってくれる、マイホームをお持ちの方のほとんどが入っている火災保険や住宅総合保険。

 それらは火事だけでなく、台風などで被害を被ったときも適用されることがあります。ただ注意点があります。

 それは、保険を建物にかけているか? 家財道具にかけているか? 両方にかけているか? というところにあります。風によって窓ガラスが割れ、激しい風雨で家のカーテン、家具、テレビなどの家電製品が使えなくなった。そんな時、窓ガラスは建物の保険で、テレビなどは家財にかけた保険でカバーされます。自転車は家財ですが、自家用車はどちらの対象にもなりません。ご存知だったでしょうか?

 そこで、今回は建物と家財道具にかけている住宅保険や火災保険について考えてみたいと思います。

 ぜひ、自宅だけでなく、実家のことも考えてあげてください。被害を受けて、保険を調べてみたら不備があり、保険金が出なかったとなったら、親の人生だけでなく、間違いなくあなた自身の人生にも大きな影響が出ると思うからです。

◆水害は補償の対象になってない場合がある

 住宅にまつわる保険の多くが、火災と風害で被害を被った時にお金が出ることになっています。台風で屋根瓦(やねがわら)が飛んできて屋根を壊して雨漏りがするようになってしまった。竜巻が起きて家が壊れてしまった。こうした風害については多くの場合、今までの火災保険でカバーされることがほとんどです。

 ところが、台風や集中豪雨による水害については補償の対象になってない場合が多々あります。まずはここを調べてもらいたいのです。
 なぜなら、台風の被害は、風による被害風災と、雨による被害の水災があり、近年は雨による被害がどんどん大きくなってきているからです。

 水災は、洪水などによる床上浸水などによる被害や、近くの山に大量の雨が降って土砂崩れが起きて家を壊すなど、雨が原因で起こる被害です。保険金をもらうためには、水災による補償が明記されている保険契約でなければ補償されません。

 雨による被害というものは、例えば20階建てのタワマンの高層階に住む家が床上浸水する可能性はまずありません。山や崖から何キロも離れたところの住宅であれば、土砂崩れによる心配もほとんどないでしょう。逆に川のそば、崖や山のそばの住宅は大いに心配です。

 このように、住んでいる場所によって必要な人とそうでない人があるのです。そのため、水災による補償は一律にセットされていないことが多いのです。

 しかし、最近は川のそばでないから安心だと言っていられなくなりました。川が決壊しなくても、川岸から遠い場所でも、内水氾濫(はんらん)の心配があるからです。

 これは、川などから遠く離れているのに、想定以上の大雨が降り、下水道などが処理できる能力を超えてしまったため、降った雨がはけきれずに洪水のようになることを言います。

 特に同じ町内でも坂の上と坂の下の住宅ではリスクが大きく違います。なだらかでもたった5メートルや10メートルの高低差でも、降った雨は低い地域に集中し、そこにある住宅はあっという間に被害を被ることがあります。

 今や日本全国が注目する神奈川県のおしゃれタウン、武蔵小杉や世田谷の一部が2019年にこの内水氾濫の被害を被り、憧れのタワーマンションの住民でさえ電気も水も来ないという日々を過ごしたことも記憶に新しいことですよね。

◆ハザードマップを確認して

 雨による被害が心配であれば、まずは保険契約に雨による水の被害がカバーされるものになっているか確認しましょう。

 そのためにもまずは各地域で出しているハザードマップも確認しておきたいです。今はネットで見ることもできますし、多くの自治体でハザードマップを無料配布しています。それらによって、自分の住んでいる場所が実は水害の危険性のあるところなのかどうかを判断する参考にしてもらいたいのです。

 もしも、リスクがあるのであれば、今までの火災保険、住宅保険に、水災の時にも補償してもらえるように契約の見直しが必要だからです。

 火災保険では、地震による被害は補償の対象外であることはよく知られたことです。これには噴火による被害も対象外であるため、心配して地震保険に入る人も多いです。しかし、その保険料は安くありません。

 それに対して、水災による補償を今までの保険契約に付け加えたとしても、毎年2、3割も保険料が値上がりするということはまずありません。比較的安価につけることができます。ぜひ検討してみてください。

 またハザードマップを見ることは、いざという時に避難する場合の道順も大きな示唆を与えてくれます。近年の豪雨災害の特長として、激しい雨の中、自家用車で避難しようとして水に襲われ車内で命を落とす人が少なくありません。

 大雨の時には遠回りでも安全なルートを選ばないといけない。それを教えてくれるのがハザードマップだったりもします。将来はハザードマップを考慮した災害時のカーナビなんかができるといいんですけどね。

◆大切なものは家の中の安全な場所へ

 保険はいざという時の財産は守ってくれますが、決して命を守ってくれるものではありません。しかし、地震と違って台風や大雨は数日前には気象庁が天気予報でリスクを教えてくれます。

 老人や身体の不自由な人など、避難するのが大変な環境の方であれば、危険が来る前にどこか安全なところに一時的に避難することによって、命を確実に守ることも考えていただきたいです。

 安全な場所にある親戚や友人知人の家に身を寄せるのもいいのですが、今や毎年、数回の避難が必要になったりもします。それを考えると、安全で気軽に過ごせるホテルや旅館などに身を寄せるのもいいかもしれません。

 特に土砂崩れの心配があったり、水害の可能性があるところに住んでいる方ならなおさらです。宿泊料はかかったとしても、命と安心が手にはいるのであれば安いものではないでしょうか?

 また、保険でお金はカバーされたとしても、大切な思い出の写真などや通帳などの重要書類、水に濡れると壊れてしまようなものは、出来るだけ家の中でも安全な場所へ。例えば1階よりも2階に保管する、いざという時にすぐに持ち出せるようにまとめておく、といった工夫も必要だと思います。

◆次回は保険料の値上げを避ける方法

 住宅にまつわる保険の話。次回も続けます。

 1年以内に最大30%の保険料の値上げがあるといわれています。ただし、賢く立ち回れば、その値上げを避ける方法もあります。

 また、被害を被った時にスムーズに保険金を受け取るために必要なこと。そんな住宅の保険にまつわる話を続けたいと思います。

<文/佐藤治彦>

【佐藤治彦】
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』『急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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