コロナ、非正規雇用、母子家庭…子どもの貧困とその要因
ラジオの中の学校、TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」。8月30日からの4日間は、『しんどー相談室』と題し、しんどい、つらい思いを抱えている10代のリスナーの声を取り上げています。3日目となる9月1日のテーマは『貧困でしんどい』です。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの田代光恵さんをゲストに迎え、パーソナリティのさかた校長とこもり教頭が、日本における子供たちの貧困について教えてもらいました。
――セーブ・ザ・チルドレンはどういう組織? 田代さんの主な活動は?
田代:セーブ・ザ・チルドレンはその名の通り“子どもたちを守る”ということで、子どもの権利の実現を目指して世界中で活動しています。
私はそのなかで、日本国内の子どもたちの貧困問題を解決するための活動を担当しています。これまでは、東北の被災地の沿岸部で教育に関わる費用の負担を少しでも減らそうと給付金を提供したり、去年はコロナの影響で食事もままならないご家庭に食料品を提供したりしました。そういう直接的な活動だけじゃなくて、社会や制度を変えていくということがすごく大事だと思っていまして、活動でつながった子どもたちやお子さんの声を社会や政治に届ける、という活動を行っています。
――日本における“貧困”とは?
田代:“相対的貧困”といわれています。その国の中で一般的にできること、当たり前だと思われていることが経済的な理由でできないという感じです。収入の目安で言うと、貧困線というのが、最新の数値で年間127万円未満ぐらい、お父さんとお母さんと子どもがいる3人家族で大体219万円未満とか。そのくらいで暮らしているイメージかなと思います。
いま子どもの貧困率は13.5%といわれていまして、日本全国で約260万人……7人から8人に1人くらいが相対的貧困にあるといわれています。
こもり教頭:7人から8人ということは……1クラスに4、5人ですか。
さかた校長:めちゃくちゃ多いんですね。
――貧困の具体的な要因は?
田代:いろんな要素が絡み合っているので、“これが”というのはなかなか言いづらいのですが、そもそも所得が低いということ、日本全体の収入の状況がだんだん下がってきていたり、非正規雇用という不安定な働き方が広がってきていたり、ということで収入が担保されない。
あとは子どもの貧困のなかでも、ひとり親家庭の貧困が非常に深刻なんです。ひとり親家庭の場合は、48.1%……二世帯に一世帯が相対的貧困にあるといわれています。非常に高い数値でして、特に母子家庭の貧困状況が深刻だといわれています。
ほかにも親御さんが病気だったり障がいがあったりで、家計が安定しない。コロナの影響など突発的なことで急に家計が厳しくなる、そういうことも原因になっていると思います。
さかた校長:親御さんは家族を守るために一生懸命働かれていて、それでも経済的に苦しくなってしまう状況もあるってことですね。
田代:そうですね。そういう方々をサポートするために、いろんな制度を国や自治体が用意しているのですが、その情報が行き届かなかったり、自分が使っていいのかな? と、利用を控えてしまう方々もおられます。
さかた校長:うん……10代の生徒たちも周りに助けを求めづらかったり、親御さんも家庭内で話しづらかったり、情報の周知が行き届かなかったり……この放送をきっかけにしてもらって、少し勇気を持って声をあげてもらえたらと思います。
こもり教頭:声をあげるのは大事ですよね。
田代:そうですね。相対的貧困の特徴に、見えづらいというのがありまして。傍目には大丈夫そうに見えるんだけど実は困っているという子たちが、日本には本当にまだまだ多いなと思います。でも声をあげてもらってみんなで共有することで、社会がよくなっていく……そういうことにもつながるので、今日はいろんな声を聞かせていただきたいなと思います。
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聴取期限 2021年9月9日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:SCHOOL OF LOCK!
パーソナリティ:さかた校長、こもり教頭
放送日時:月~木曜 22:00~23:55/金曜 22:00~22:55
番組Webサイト ⇒ https://www.tfm.co.jp/lock/