映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』あらすじ、ネタバレ!寂しい兄弟のドラマをサイコ映画で描く

拡大画像を見る

2つの人格が入れ替わる青年のドラマをサスペンスフルに描く映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』の見どころをネタバレありでご紹介!『ベイビー・ドライバー』での演技も記憶に新しいアンセル・エルゴートの新境地となった一人二役をはじめ、一人の青年の崩壊をじわじわと描く演出も必見の作品です。

これまで映画だけなく、漫画や小説でも多く取り上げられてきた「多重人格」。

ミステリーやサスペンスでは意外性のある結末や、登場人物の凶暴な2面性を表現するために用いられるひとつのテーマですが、映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』はサイコ・サスペンスとは異なる「多重人格者」の描き方が印象的な作品です。

今回は映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』の見どころをネタバレありでご紹介します!

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』概要

内向的な青年ジョナサン(アンセル・エルゴート)は、毎朝7時に起き、ランニングをした後、パートタイムの仕事へ行く。帰ってくると1人で食事を取り、毎夜7時までに就寝する。その規則正しい生活は、毎日変わらず、同じように繰り返されていた。実は彼は、一つの身体に二つの人格を備えていたのだ。もう1つの人格は、ジョナサンと正反対な性格のジョン。彼らは、ナリマン博士(パトリシア・クラークソン)の手により、脳内にタイマーを埋め込み、互いがきっちり12時間で切り替わるように設定していた。毎夜7時から午前7時までがジョンの時間だ。嘘はつかず、何でも話すことをルールに、2人はビデオメッセージを通して、些細で取るに足らないようなことまで日々の行動について逐一報告し合っていた。他人との交流を最低限にとどめるなど、日々の生活は制限されてはいるものの、彼らの生活は順調のように見えた。しかし、ジョナサンは探偵のロス(マット・ボマー)を通じて、ジョンがエレナ(スーキー・ウォーターハウス)という女性と密かに交際にしていることを知る。これをきっかけに、2人の関係に狂いが生じてゆく……。

出典元:https://eiga-board.com/movies/92363

ジョナサン ふたつの顔の男

ジョナサン ふたつの顔の男

2018年/アメリカ/95分

作品情報 / レビューはこちら

脳に埋め込まれたタイマーによって、2つの人格が入れ替わる斬新な設定を手掛けたのはビル・オリバー監督。本作では監督の友人が身に覚えのない経験をした際に「自分の知らない間に誰かが体を乗っ取ったのか?」という、奇妙な発言から着想を得たそうです。

多重人格もののサイコスリラーというより、自分の知らないもう一人の自分と肉体や生活を共用しているドラマ要素の強い作品と言えます。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』キャスト

NEW YORK, NY - APRIL 21: Ansel Elgort, Bill Oliver and Suki Waterhouse attend "Jonathan" during the 2018 Tribeca Film Festival at SVA Theater on April 21, 2018 in New York City. (Photo by John Lamparski/WireImage)

▶アンセル・エルゴート(ジョナサン/ジョン役)
12時間おきに2つの人格が入れ替わる青年。ジョナサンは内向的、ジョンはその逆の性格

▶スキ・ウォーターハウス(エレナ役)
ジョンの恋人

▶マット・ボマー(ロス役)
ジョナサンがジョンの行動を探るために雇った探偵

▶パトリシア・クラークソン(ミナ・ナリマン博士役)
ジョナサン/ジョンを幼い頃から見守っている博士


主演を演じるのは『ベイビー・ドライバー』の演技で日本からも注目を集めているアンセル・エルゴート。本作では性格の異なる2人の人物を演じ分けており、徐々にお互いの人格のズレによって翻弄される姿を熱演しました。ちなみ監督のビル・オリバーは「ジョン」の人格が普段のアンセル・エルゴートに近いと明かしています。

ジョンの恋人・エレナを演じるのはSFアクション映画『ダイバージェントNEO』(15)でアンセル・エルゴートと共演したスキ・ウォーターハウス。ジョナサンたちを見守るナリマン博士を『エイプリルの七面鳥』(03)でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、『しあわせへのまわり道』(14)にて主演を務めたパトリシア・クラークソンが演じます。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』あらすじ(ネタバレなし)

ここからは映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』のあらすじを前半はネタバレなし、後半はネタバレありでご紹介します。

12時間おきに入れ替わる人格と生活

建築会社に勤める青年・ジョナサンは夜7時になると、別の人格であり兄弟であるジョンと入れ替わり、朝7時になるとジョナサンの人格に切り替わる。

ジョナサンはドクターであるナリマンによって脳に小型な装置を付けられており、人格の切り替えはこの装置でコントロールされている。ジョナサンとジョンはお互いの出来事を共有するために、毎日ビデオメッセージを残し「恋人は作らない」「隠し事はしない」といったルールを設けていた。

ある日、ジョナサンがジョンの服を片付けていると、ポケットから「リアルト」と書かれた紙ナプキンを見つける。これはジョンから知らされていないバーの店名だった。ルールを破ったジョンを問い詰めるジョナサン。翌日、ビデオメッセージでジョンは謝罪する。

まだジョンには隠し事があると思ったジョナサンは探偵・ロスに"自分の尾行"を依頼する。するとジョンには「エレナ」という恋人がいると発覚する。

ジョンとエレナの関係

ジョンの恋人・エレナについて知りたくなったジョナサンは、昼の時間にエレナと接触する。ジョンとエレナが付き合っていることを目の当たりにし、ジョンに問い詰めるジョナサン。ジョンはエレナと別れると告げるが、次第にジョンの様子は変わり、ついにビデオメッセージを残すことをやめてしまう。

不安になったジョナサンは苦肉の策から、エレナにジョナサンとして接触し、自分は同じ肉体を共有する別人格だと話す。半信半疑のエレナだが、エレナからジョンに連絡を取れないか頼み込むジョナサン。誠実なジョナサンに心を開き始めるエレナ。ジョナサンはエレナに自分の出自を明かす…。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』あらすじ(ネタバレあり)

ここからは映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』のあらすじをネタバレありでご紹介します!作品を未見の方はご注意ください。

ジョナサンとジョンの出自

ジョナサンは赤ん坊の頃、終始泣き止まないことから母親に捨てられていた。ジョナサンを育てたのはドクターナリマンであり、彼女はジョナサンとジョンは赤ん坊の頃から2重人格であると突き止めた人物でもあった。本当の自分を打ち明けたことでジョナサンとエレナの距離は急接近していく。

エレナとの関係に入れ込んでいくジョナサンは、ついにビデオメッセージを残すことをやめてしまう。翌日、音信不通だったジョンからジョナサンを心配するメッセージが残っていた。安心したジョナサンは仕事も順調になり、自分の意識がある時間のギリギリまで働くようになる。

しかしこの状況を良く思わないのはナリマン博士だった。次にジョナサンが意識を戻すと、顔には殴られた痣があった。ジョンが探偵のロスと偶然出くわしたことで、自分のことを調べれらていたことがバレたのだ。

消えていた"もう一つ"の人格

ジョンの件でナリマンに助言を求めるジョナサン。そこでナリマンは、過去にジョナサン・ジョンとは別の人格が存在していたと知らされる。しかしその人格はジョナサンたちとの共存を拒絶し、ナリマン博士によって"消された"のだった。さらにナリマン博士はジョンがうつ病になっていると言う。

ジョナサンとジョンのバランスが崩れて心配するナリマンは、ジョンにエレナとの関係を正直に話すように勧める。しかしジョナサンはその提案を拒否してしまう。その後、ジョナサンのオフィスのデスクはジョンによってひどく荒らされていた。エレナとも破局し仕事も失ったジョナサンだが、次に目を覚ますとジョンが自殺未遂を図っていた。

やがて12時間おきのルールが崩壊し、ジョナサンの意思に関係なくジョンの人格が現れるようになり、自殺を図ろうとする。事態を重く見たナリマンはジョナサンの肉体の主人格はジョンであると明かし、やがてジョナサンの時間は減っていくだろうと告げる。

その後もジョンの人格はたびたび現れ、ジョナサンの意識が戻ると空港に向かって移動しているタクシーの中だった。慌てて車を降りるジョナサンだが、やがて何かを悟ったようにジョンとの絆を確かめると、ジョンの人格が現れる。そのままジョンは車に戻ると、タクシーは再び空港に向かうのだった。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』見どころ①:多重人格もので描く切ないドラマ

NEW YORK, NY - APRIL 21: Suki Waterhouse and Ansel Elgort attend "Jonathan" during the 2018 Tribeca Film Festival at SVA Theater on April 21, 2018 in New York City. (Photo by John Lamparski/WireImage)

映画における「多重人格」となるとM・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』(16)をはじめ、ホラーやサスペンス映画で恐怖・狂気のイメージとして用いられることが多くあります。

しかし映画『ジョナサン』では多重人格の青年が日常に溶け込もうとするドラマ要素が印象的。大きな事件が起きないため、サスペンスやスリラー要素として見ると物足りないかもしれませんが、異色のヒューマンドラマとして見ると、意外な面白さに気づくかもしれません。

例えば、ジョナサンたちは12時間ごとに人格が切り替わるため、フルタイムの仕事に就くことが困難です。人間関係でも友人の結婚式に行けないなど、細かい点で多重人格にしか起きえない生活の不憫な点が丁寧に描かれています。

本作に少し似た設定の映画『水曜日が消えた』(20)では、中村倫也演じる主人公・僕の人格が曜日ごとに入れ替わります。例えば「火曜日」の人格にとって、図書館が常に閉まっているのが悩みです。こうした「多重人格もののヒューマンドラマ」では、主人公の生活スタイルや感情を細かく描くことで、観客である私たちも彼らの苦悩を知ることができます。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』見どころ②:一番身近なのに、絶対に会うことのない存在

本作では、ジョナサンにとって一番身近なはずのジョンを常に他人のように見せる演出が印象的です。ストーリーはほぼジョナサンの目線で進み、ジョンの出来事は録画されたメッセージのみで知ることができます。

その効果も相まって、本作はヒューマンドラマとしてはずっと"寂しさ"が付きまとう内容となっていました。誰かと繋がりたくても繋がれない、望んだ仕事もできない、一番身近な兄弟にすら直接会うことができない…。ジョンが突然メッセージを残さなくなったとき、ジョナサンが「どこに行ったんだ?」とジョンに問いかけるセリフは切ない皮肉となっています。

また「隣の芝は青く見える」なんて言葉がありますが、ジョナサンがこうした感情を抱く相手が兄弟のジョンという設定もまた、切なさを感じます。隣どころかゼロ距離ですからね…。

話は変わりますが、ジョナサンとジョンはやたらと「初体験」についてメッセージ越しで話していましたが、兄弟ってそんな話をするものなのでしょうか‥‥。自分なら兄弟の初体験の話なんて(自分より早かったらなんか嫌なので…)聞きたくないですが…笑

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』見どころ③:ラストは見方によってハッピーエンド?

映画の終盤では、主人格がジョナサンではなくジョンだったことが明らかになります。これをきっかけにジョナサンは自分の人格が消えていくことを知り、ジョンとの別れを決意しました。

ラストはジョンが空港へ向かう途中、フランス語の流れるカーラジオを聴きながら映画は終了します。フランス語はジョナサンが日頃勉強のために聞いていたシーンが幾度か登場しており、ジョンが向かう先もフランスであることが想像できます。

多重人格ものとなると、ジョナサンの人格が消える=ジョンが肉体を乗っ取るようなニュアンスを感じてしまいますが、ジョナサンがいなくなってからも、彼を想って行動するジョンの姿は必ずしもバットエンドとは言い難い展開です。

また実際の多重人格では、表に出ていない人格でも、客観的に表に出ている人格の様子を見ている感覚があるそうです。もしジョナサン達の場合も同じケースなら、ジョナサンが完全に消えてしまう前に、ジョンがフランスへの旅を叶えようとしているように見えます。

意識が消えることをきっかけに絆が深まるとは悲しい結末でありますが、この出来事を気にジョンの人生が前に進むと感じました。

映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』まとめ

今回は映画『ジョナサン-ふたつの顔の男-』の見どころをネタバレありで紹介しました。数ある多重人格をテーマにした作品の中でも、限られた登場人物でスリリングな展開を見せつつ、独特な兄弟の絆を描いたドラマ作品にもなっています。

サスペンスやスリラーを期待すると肩透かしを食うかもしれませんが、異質なヒューマンドラマとしてみると面白みの増す作品だと感じました。

関連リンク

  • 8/31 0:06
  • 映画board

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます