「マルジェラ」の無地Tシャツ、4万7300円でも日本人から強く支持される理由
―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―
◆98/108 オーバーサイズ Tシャツ(Masion Margiela)4万7300円
マルジェラ……少し前までは服好きしか知らないディープな海外デザイナーズでしたが、現在は幅広く知られる有名ブランドに成長しました。
足袋型のブーツや古着風のデザインなどが人気で、絢爛豪華なハイブランドとは異なり、独自のクラシックな世界観を築いています。
◆「無自覚の色気(アンコンシャス・グラマー)」を体現
マルジェラが人気になったのは元ディオールのデザイナー ジョン・ガリアーノ氏の就任以降。ディオールで培ったラグジュアリーな世界観を古着やミリタリーをベースとするマルジェラに流し込み「無自覚の色気(アンコンシャス・グラマー)」を打ち出しました。
清潔感のないあせた古着スタイルには抵抗を感じる人も多いでしょうが、他方、目が痛いほど輝かしいハイラグジュアリーな世界観に嫌悪感を覚える人もいるはず。
この相反する二つの要素、カジュアル感とラグジュアリー感を共存させたのが歴史に残るデザイナー・ガリアーノの偉業なのです。
◆「古着っぽいのに高級感がある」という唯一無二
Tシャツ一枚とっても表現されていて、着込んだ古着は生地が痩せて柔らかく風合いが滑らかになっていくもの。それを新品の素材で再現し、かつ程よいツヤ感を与えることでシルク調の光沢を感じさせたのがこのアイテムなのです。
古着のような色あせやムラがあり、生地感も痩せた印象がありながら、どこかシルクタッチな光沢感と高級生地特有の滑らかさを違和感なく同居させています。
「古着なのに高級感がある」、このハイブリッドなセンスこそがガリアーノが打ち出した「無自覚の色気」なのです。
◆「普通っぽいけど何かが違う」が日本市場で大ウケ
マルジェラはシンプルな服が多いので昔から「通販映え」しないブランドでもあります。
しかし、実際に手元で見て触ってみると質感の違いや細やかなシルエットの妙に気づく。「普通っぽいけど何かが違う」、この程よい差別化デザインが控えめな日本人にウケ、世界的に見ても日本市場では特に支持されているようです。
中古市場でのリセールバリューも高く、ワンシーズン楽しんだあと出品すればかなりの割合の金額が返ってくるので意外と「お得」でもあります。世界屈指のデザイナーが手がける無地Tシャツ、興味があればぜひ一度通販ではなく「触って」みてください。
商品、衣装/すべて私物 撮影/林紘輝(商品) 岡戸雅樹(人物)
―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)