「竜とそばかすの姫」細田守監督にインタビュー

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「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「未来のミライ」などの数々のアニメーション映画作品で知られる細田守監督。最新作「竜とそばかすの姫」は、公開から38日間で興行収入が52億円を突破、観客動員が約370万人を超えるなど大ヒットを記録しています。さらにカンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクションである「カンヌ・プルミエール」部門に日本映画として唯一選ばれたことでも話題に。細田監督に作品のテーマや込められたメッセージについてお話を伺いました。

細田守監督が描くインターネット世界の「美女と野獣」とは


■本作品は「美女と野獣」がモチーフになっているそうですね
「美女と野獣」といえばアニメ版が有名ですが、 それ以外でも何度も映画化されています。 私が最初に見たのは学生時代で、芸術家ジャン・コクトーが実写映画化した作品。その後、アニメーションの会社に入社し、業界の厳しさにくじけそうになっていたとき、ディズニー版の「美女と野獣」を見て、感銘を受けたんです。「こんなに素晴らしいアニメが世の中にあるのなら、自分もいつかこんな作品を創りたい」と。アニメーションの世界でやっていこうと、あらためて決意するきっかけになりました。
■どういったポイントがモチーフになっているのでしょうか。
キーワードは〝二面性〟ですね。「美女と野獣」の〝野獣〟は恐ろしい見た目ですが、裏には、悲しく傷ついた素顔を隠し持っています。「竜とそばかすの姫」の舞台になっているインターネットのSNSも同じ。人を傷つけるような書き込みをしている人も、本当は気が弱い人かもしれないし、そこでのふるまいがすべてではない。誰しも、外見だけではわからない〝本質〟があるという人間の奥深さを、インターネット世界の〝美女と野獣〟で描きたいと考えたんです。

 ■主人公「すず」は、内気で大人しい女子高生ですが、仮想世界<U(ユー)>での出会いを通して、強く成長していきます
「すず」は教室の片隅にいるような、目立たない女の子ですが、大切な人のために、強い心で行動を起こすように変わっていきます。私はつねづね、困難にくじげず、立ち向かっていく姿こそが、男女問わず人の美しさだと考えています。「すず」が成長して手に入れた強さ=美しさであり、今の時代を象徴する〝美〟ではないかと思っています。

■「すず」の、仮想世界<U(ユー)>での<As(アズ)>と呼ばれる自分の分身「ベル」は、とても個性的なビジュアルですね。
「ベル」のデザインは、「アナと雪の女王」をはじめ、数多くのディズニー作品のキャラクターデザインを手がけたジン・キムさんにお願いしました。そうしたら、非常にアメリカ的というか、日本的な感覚にはない、意思の強い女性「ベル」を自然に描いてくれました。特に、毅然と立ち向かっていくような表情が、リアルで素晴らしいですよね。拝見したときに「あぁこれだ」と思って。ほぼ、最初に描いていただいたデザインのまま映画になっています。
▲キャラクターデザインのほか、衣装や都市のビジュアル、音楽など、多彩なジャンルの世界的なクリエイターが集結して作り上げたことでも注目される本作品

 ■最後に映画を見る人へのメッセージをお願いします。
いま、世界のあらゆる人が困難に直面しています。また、コロナ禍で、特に社会的に弱い立場の人が辛い目にあうことも増えています。この映画を見て、自分の殻を打ち破って、困難に立ち向かっていく糧にしていただけたらうれしいですね。また、くじけず頑張っている多くの人たちに、この作品で「一緒にがんばっていきましょう!」というエールを贈りたいと思います。

「竜とそばかすの姫」
原作・脚本・監督/細田 守
★全国東宝系にて公開中
©2021 スタジオ地図
https://ryu-to-sobakasu-no-hime.jp/

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  • シティリビングWeb

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