総務省も手を焼く「第2回特別定額給付金」詐欺、親世代を守るためには
◆「第2回特別定額給付金」がSNSで話題に。これって詐欺?
Twitterで「第2回特別定額給付金」が大きな話題になった。これは総務省が個人に対してメールを送付し、特設サイトの利用を促すというもの。メールに記載のURLから、氏名・住所・電話番号・クレジットカード番号を登録するプラットフォームに移って必須事項を明記し、送信する。これで特別給付金申請が完了というわけだが……ちょっと待ってほしい。
これはいくら何でも怪し過ぎないか!? そこで、総務省に問い合わせてみると、案の定「詐欺」だった。
◆差出人は「総務省」?
そもそも、「第2回特別定額給付金」などという政策決定はいつされたのだろうか? そんな話は、筆者も未だ聞いたことがない。が、実際に「差出人 総務省」と書かれたメールが全国各地に送られているという。「特別給付金の申請はオンラインでできます!」という触れ込みと同時に、クレジットカード番号やカード裏側の確認コードの記載が必須のプラットフォームに誘導される。
なぜ、国から給付金を受け取るのにクレカが必要なのか?
ここで結論を言えば、このようなメールは詐欺に他ならない。個人情報を入力したら最後、限度額までクレジットカードを使われてしまう。
もちろん、給付金が振り込まれることも一切ない。
◆総務省担当者「このようなメールは絶対に送りません」
この件について、総務省に問い合わせてみた。すると、「第2回特別定額給付金」にかんする問い合わせは連日あるらしく、この話題に関しては電話口の担当者も断定口調である。
「総務省からこうしたメールを個人に出すことは一切ありません」(総務省担当者)
つまりURLを記載したメールを送り、そのURLから給付金の申請を誘導する行為は絶対にしないということだ。また、ATMの操作の仕方を教えることや手数料を要求することも一切ない。
総務省の担当者は、公式サイトを参照に、読者に注意を呼びかけてほしい旨を力強く話した。それだけこの問題は深刻化していると捉えることもできる。
◆公式Twitterアカウントも注意喚起
なお、総務省のTwitterアカウントも「給付金詐欺」にかんする注意喚起をツイートしている。
<【注意喚起】総務省を騙るメールアドレスから二回目の特別定額給付金の特設サイトを開設した旨のメールの送信があったとの情報がありました。総務省・国の機関によるものではありませんので、メールに記載のリンクには決してアクセスしないよう、御注意ください>
総務省の公式サイトで「特別定額給付金の給付を騙ったメールに対する注意喚起」が出された日付を見ると、「令和2年10月15日」と記されている。
つまり、1年近くこうした詐欺が続いているということだ。
◆親世代を守るためには
このような手口の詐欺の被害に遭ってしまうのは、どんな人たちなのだろうか。
スマホの扱い方に慣れていない高齢者であれば、このメールを読んで「私も早く申請しないと!」という具合に慌ててしまうかもしれない。つまり、実家の両親が「給付金詐欺」の被害に遭っているかもしれない……ということだ。
詐欺から親を守るには、何をすればいいか? まずは「カネの絡む話が舞い込んだらワンクッション置く」という原則を徹底させよう。金銭的な利益が得られる話は、いかなる場合でも絶対に即答しない。まずは家族に相談するよう、事前に念を押す必要がある。
◆困った時には消費者ホットラインへ
また、消費者庁が開設している「消費者ホットライン」に電話してみるのも有効な手段だ。市外局番なしの3桁の番号。
TEL:188
こうした窓口の存在は、実家の両親だけでなく遠くで働く子供たちも知っておくべきだ。給付金関連の詐欺だけでなく、いわゆる「振り込め詐欺」にも対応できる。怪しいメールが届いたら、ひとりで慌てずにまずは相談。
また、特殊詐欺の新しい手口は常に開発され続けているが、その基本は「より本物らしく見せること」と「相手を急かすこと」である。報道等をチェックし、どのような手口が横行しているのかを確認するのも詐欺被害防止につながる。
<取材・文/澤田真一>
【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』